まるで呪いのような3

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 改めて、恋人やめたいんだけど、と口に出す。恋人という関係だけ解消して親友に戻りたい、というのであれば、相手の執着心を刺激しにくいのではと考えた、姑息な言い回しであることは認める。
「なぁこれ、どうやって使えばお前的に満足なの?」
 なのに相手は、こちらの恋人止めたいって言葉をまるっと無視した言葉を吐いた。
「は?」
「捨てないし、引き出しにも入れないし、使う。けど使い方わかんねぇから教えて」
「捨てろよ」
「ヤダ」
 どうやらこちらの言葉を無視したわけじゃなかったらしい。恋人云々に触れずとも、恋人関係をやめる気はないという彼の意思が、嫌というほど伝わってくる。
「貰ってもたいして嬉しくもないようなもの、むりやり使おうとする必要ないだろ。あと、恋人やめたいとは言ったけど、お前の親友やめたいとまでは言ってないからな」
「でも親友やめたいって言われてるのとほぼ同じだから、むりやりだって使う必要はあんだよ。あと、一応言っておくけど、嬉しくないとは言ってないから」
 熱のない声だった。
 勉強机の椅子を引いて、向き合って話せるよう横向きに腰掛けて話していた相手が、ケースを手に立ち上がり、そのままベッドに腰掛けているこちらへ向かって歩いてくる。
 つり上がった眉も、キュっと引き結ばれた口も、まるで苛立ちを押さえ込んでいるようだった。だからこの後彼に何を言われたとしても、みっともなく泣いたりしないように、相手の怒りを受け止める覚悟を決めるしかない。
 相手はベッドヘッドの棚に置かれた目覚まし時計の隣にケースを置いた後、今にも肌が触れ合いそうなほどの近さで隣に腰を下ろした。
「使うってのとは違うかもだけど、取り敢えず、あそこ置いときゃ毎朝目に入る。中身は後で筆箱入れる」
 やっぱり何かを酷く押さえ込んだような声ではあったけれど、いきなり別れを切り出したこちらを、糾弾してくる気はまだないらしい。
「で?」
「で、って?」
「恋人やめたいってのは、好きって言ったりキスしたりだけじゃ不満だってことだろ? で、何したら恋人って満足すんの、って聞いてる」
 察しろとか無理っぽいんだけどと零しながら、相手は少し身を乗り出して、こちらの顔を覗き込んでくる。何かを探るような冷たい視線が痛くて、何かを見透かされてしまうのが怖くて、逃げるようにそっと顔を背けてしまう。
「キス以上のこと、すりゃいいの?」
「は?」
 驚いて背けた顔を戻した先、相手は真剣な目でこちらを見つめていた。冗談でも何でも無く、本気で言っているらしい。
「男同士でもセックス、できんだろ?」
「待て待て待て。するわけないだろ」
「なんで? 付き合ってからの期間考えたら、むしろ遅い方じゃね?」
 突っ込んだり突っ込まれたりは無理にしても、取り敢えず抜き合いくらいなら今すぐ出来そうだけどと言った相手は、いきなり股間に手を伸ばしてくる。
「ひぇっ」
 驚きすぎて妙な声を上げてしまえば、フッと息を吐くように笑れて、けれどそれによって相手の纏う空気が、ようやく少しばかり緩んだ気がした。
「や、ちょ、なっ、」
 もちろん握られた最初は全く反応なんてしていなかったけれど、確かめるようにグニグニ揉まれて、焦っているうちにそれはあっさり形を変えていく。
「出来そうだな。で、どうすんだよ」
「どうするって、何、が」
「このまましていいの? てか気持ち良くイカせてやったら、恋人やめるっての、撤回する気ある?」
「撤回、は、しない」
「なら、どうして欲しいのか、何したら満足すんのか、教える気になったら言って」
 それまで取り敢えず続きしとくと言いながら、股間に置いた手が再度動き出すから、慌ててその手首を押さえるように握った。
「やめろって」
「俺のポンコツな察し能力が、取り敢えず続けろって言ってる。ていうか、ホント、何していいかわかんねぇんだって。だから言えよ。なるべく、叶えてやるから」
「だから!」
 思わず叫んだ。
 違う。そうじゃない。何かをねだって、それを叶えて貰えば、満足できるって話じゃない。
 胸が軋んで痛い。怒りをぶつけられてるわけじゃないのに、結局、みっともなく泣いてしまいそうだった。

続きました→

 
 
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まるで呪いのような2

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 合格祝いを持って、相手の部屋に訪れる。綺麗にラッピングされた小箱の中身はシャーペンだけれど、最近自分も愛用している、少し高めの製品だ。
 ペンに名前を入れてやろうかとも思ったが、自分が贈られたなら大喜びで大事に使うだろうけれど、そういった細工を彼が手放しに喜んでくれるイメージが持てなくて、結局、箱の方にだけ名前を入れた。
 受け取って中身を確認した相手は、少し困った様子で高級そうすぎて使うの躊躇うなんてことを言う。まぁ、言われそうな気はしてた。
「箱に入れたからそう見えるだけで、本体自体はそう高くないし、それ、俺が普段使いしてるやつだから」
 実は箱の方が高いと言いながら、プレゼントに掛けた値段をぶっちゃけてやる。
「てわけで、お前から貰ったのと、値段はそう変わらないから使ってよ」
「いやでも、俺なんて、去年ファミレス奢っただけっつーか」
「がっつり肉料理にデザートまで食わせてくれたじゃん」
「値段の問題じゃなくて、なんつーか、あー……」
 まぁ合格おめでとうって言って貰ったのは好きだと伝えたあの日だし、とっくに高校生活スタートしてたし、合格祝いに何でも奢るから好きに頼んでと言われたのは、更にそこから半月くらい経過してたけど。
「形に残らないもののが良かったなら、それ返してもらって、今からファミレス連れてこうか?」
 ほら、こういうところでも、自分の想いは彼には重い。彼の精神的な負担を考えて、控えた結果でコレだ。もしペンにまで名前を入れていたら、きっともっと躊躇われ引かれていただろう。
「こんな俺の名前入ってるような箱、お前が持っててどうすんだ」
「さぁ? 捨てるんじゃない?」
 気持ちの整理をつけるのに利用したあとで、とまでは言わなかった。
「箱のが高いのにかよ!」
「つったって、お前だってこんなの何かに使える? せいぜい机の引き出ししまいこんで終わりじゃない?」
 そうだ。こんなの、贈る側のただの自己満足にすぎない。
 自分が気に入って使っているから、使いやすいと思うから、彼にも使ってみてほしかった。それだけなら、ちょっと使ってみなよと剥き出しで差し出した方が良かったに違いない。いっそ自分が使っているものをそのまま渡すくらいが、彼にとっては受け取りやすいだろう。
 わかってたのに、合格祝いという名目で、少しばかり格好つけてしまった。相手の生活なんて丸見えなのに、自分が贈られたらきっと嬉しいだろうなってものを、選んでしまった。自分だったら、箱は刻まれた名前が見えるようにして机の端に置いておくし、シャーペンだって自宅学習用にして、使ってないときはそこにしまっておくだろう。
 でも彼はそうじゃない。わかってる。知ってる。なのに、自分がして欲しくてして貰えない事を、ついつい選んでしまうのは、どうしようもなく一方通行な片想いが原因だった。独りよがりな恋を持て余している。
 自分とは違う高校を選んだ、別れるつもりの恋人相手に、嫌がらせをするつもりで選んだわけじゃない。そうだった方がずっとマシだ。ある程度の予測はしていたものの、彼が困惑する顔を見て、予想以上にショックを受けている。つまり色々と無意識でやらかしてる所が、本当に救えないし、なんともバカらしい。
「まぁそうかもしれないけど、さすがに捨てたりしねぇよ」
「捨てていいよ。でさ、俺のことも、一緒に捨てて欲しいんだけど」
「え? なんだって?」
 遅かれ早かれ別れ話はするつもりだったし、ちょうどいいかと切り出せば、相手は全く意味がわからないという様子で聞き返してきた。

続きました→

 
 
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まるで呪いのような1

はっかの味を舌でころがして→   目次へ→

※ 視点が変わっています

 高校一年の終わり頃、同じマンションの隣室に住む一学年下の幼なじみは、近所の公立高校への進学を決めた。昨年、自分が滑り止めとして受験した学校だ。
 その学校を選んだ理由は、家から一番近いからといういたって単純なものだったけれど、そこ一本で行くと聞いた秋頃から、こちらの気分はずっと底辺をさまよっている。
 いや、突き詰めていけば、自分が高校に入学してから先、この幼なじみに関する自分の感情は基本ずっと低調で、時々激しく乱高下という感じだった。
 ちょっと遠方の私立校へ入学を決めた程度で、自分たちの関係が変わるなんて欠片も思っていなかった、中学時代の自分を殴ってやりたい。相手の家庭の経済状況はちゃんと考慮したのに、彼自身が自分の通う私立校に見向きもしないなんて未来を、あの頃の自分は全く想像できなかった。
 だって、絶対に追いかけてくれると、信じ切っていた。物心ついた頃からずっと見せつけられてきた、彼の自分への執着を疑うことは難しい。
 ただ、その執着が何であるかをずっと確認せずにいたのは、間違いなく自分の落ち度だった。
 相手の気持を確認することもせず、二人の将来なんてものを勝手にあれこれ考えていたそれを、人は独りよがりと呼ぶのだ。
 そもそもなんで自分は、彼の執着を恋愛感情だなんて思ってしまったんだろう。という疑問に対して出せた答えは、その方が自分にとって都合が良かったから、という以外にない。
 彼の執着は子供の癇癪みたいなものだったのに、無自覚なまま彼を恋愛的に好きだった自分は、都合よく彼の気持ちを勘違いしたらしい。相手の想いに反応して、こちらも引っ張られるように想いが湧いて育ったのだと、そういう事にしたかった。というかずっとそういう認識だった。
 そんな盛大な勘違いは、高校へ合格した頃からなんとなく彼に避けられるようになって、これは毎年4月に彼が発症させる学年の違いへのイラツキとはなんか違うと思って焦って、好きな子に避けられてるという恋愛相談じみたことを彼に向けて発した時に気付かされた。
 そんなことを口に出したのは、こちらの想いを晒せば、彼から告白してもらえるはずだったからだ。彼が告白する気になるまで待てずに催促することを、申し訳なく思う気持ちはあったけれど、遠い私立校を選んだことに怒っているなら二人の距離感を縮めることで対処できるんじゃないかと思ってしまった。つまり一緒に過ごせる時間が減る代りに、親友から一歩進んで、恋人関係にならないかという誘いのようなものだった。
 なのに相手はこちらの告白に盛大に驚いて、たった三ヶ月生まれるのが遅かったってだけで学校でのタメ口が許されなくて、先輩後輩という縦関係に収まるのが悔しくてたまらないだけだと言って、そこに恋愛感情があるとは認めなかった。
 そのくせ、こちらが相手のことを諦めて他に恋人を作るのは嫌なようで、脅したらやけくそ気味にキスしてくれたけど。だから結局、本人の自覚が追いついてないだけで、きっと恋愛的な意味も含んだ執着なんだと、思ったんだけど。今もその可能性に、かなり縋っているんだけど。
 でも、正直本当に想定外過ぎて、毎日不安で仕方がない。だって彼は結局まだ、自分を恋愛的に好きだとは思っていない。
 いや、実のところ、夏前には告白されて、一応恋人という付き合いには発展している。ただ、こちらにだってこちらの人生があるのだからそうそう待ってられない、という宣言をしてあったことと、自分がさっさとはっきりさせろと追い込んだせいで、取り敢えず恋人って関係に収まっただけだとわかっていた。
 彼の方から好きだと言ってくれるし、キスもしてくれるけれど。好きだと言えば、顔を寄せれば、俺もと答えて目を閉じてくれるけれど。互いの想いの熱量差はどう考えても酷く大きかった。
 恋人になったんだからデートがしたいとか、もっと甘い雰囲気が欲しいとか、キス以上のこともしたいとか、言えば最終的にはこちらの希望に合わせて応じてくれるようになるんだろうけれど、それは結局のところ脅迫でしかない。恋愛だの恋人だのに興味が持てなくて、恋愛感情での好きなんてわからないと言っている相手の、だからって他の恋人を作られるのは嫌だという執着心を、こちらの欲求を満たすために利用するのはあまりに可愛そうだった。
 でも、こちらが求めなければ、彼から何かを求めてくれることはないのだ。彼の想いがないことに、不安になって心を揺らして落ち込めば、親友としてこちらの不調に気付いてくれて、一番効果的な慰めとして、キスだったり好きだの言葉だったりをくれているだけだと気づかずにはいられない。
 あの日、彼に自分の想いを晒して以降、一方的な片想いを一年近く続けている。しかも、ずっと両想いだと信じて疑ったこともなかった相手に対して。
 彼が同じ高校へ入学するなら、そんな片想いを受け入れて、この不毛な恋人関係をもう少し続けていたと思う。彼が恋愛感情を自覚するか、執着心だけで好きでもない相手と恋人でいる不毛さに気づくか、こちらへの執着心をいい加減捨てるかするのを、待ってやったと思う。
 でも、彼が選んだのは近所の公立高校だ。彼の執着心の面倒さはわかっていたから、受験が終わるのを待っていただけで、受験校を聞いた時から別れ話はするつもりだった。
 深く深く息を吐く。
 執着心だけで好きでもない相手と恋人関係になって、好きだと言ってキスできてしまうような相手と、すんなり別れられるわけがない。でももうこちらだって、いい加減色々限界だ。
 こんなバカみたいな片想い、さっさと終わりにしたかった。

続きました→

 
 
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竜人がご飯(目次)

キャラ名ありません。竜人がご飯全6話とその続編竜人はご飯だったはずなのに全24話。
スライム姦とか異種姦とかスリット姦とかしてみたかったファンタジー。
捉えられてスライムに嫐られた結果、まともな食事ができなくなって竜人の唾液・精液が食事になった冒険者の人間(視点の主)が、助けてくれた竜人二人との間に情を育てる話。
竜人は身の回りの世話をしてくれる小柄なタイプと、食事という名のセックスをしてくれる大柄なタイプの二人が居ます。視点の主本人も大柄戦士系で魔力ゼロ。
挿入のある性行為は食事担当の大柄竜人とのみ。小柄な竜人ともキスやハグはあり。
人に変身した竜人×人・竜人×人・人×竜人 の3パターンの性行為描写が有ります。食事として竜人の精液を尻穴で食べるセックスをするので、大部分は視点の主が抱かれる側です。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的なシーンが含まれるものはタイトル横に(R-18)と記載してあります。

竜人がご飯
1話 仲間のために(R-18・スライム姦)
2話 救出(R-18・スライム姦)
3話 何も食べれない
4話 ご飯が部屋にやって来た
5話 尻穴で食べる(R-18)
6話 体力回復

竜人はご飯だったはずなのに
1話 不味い液体と口直しのキス
2話 暇の潰し方
3話 気配を消した侵入者
4話 アナルへのキス(R-18)
5話 食事頻度を下げる計画
6話 言葉遊びか本心か
7話 騎乗位(R-18)
8話 竜人のペニス(R-18)
9話 反応した自身のペニス(R-18)
10話 余韻に浸りたい
11話 ギクシャクもやもや
12話 世話係お泊り
13話 好きって気持ち
14話 食事担当を呼び込む計画
15話 口直しに昂ぶる身体
16話 プロポーズのような(R-18)
17話 激変した生活
18話 双方勃起なしの体で(R-18)
19話 竜人たちの繁殖事情
20話 舌に深く穿たれて(R-18)
21話 久々の完全勃起(R-18・スリット姦)
22話 スリットの中(R-18・スリット姦)
23話 射精できない体(R-18・スリット姦)
24話 いつかきっと

続編 竜人たちの繁殖期

 
 
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竜人はご飯だったはずなのに24(終)

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 結局、泣きながら好きだ気持ちぃ愛しいと繰り返しつつ腰を振りたて、同じように好きだ気持ちぃ愛しいと喘ぎ啼いてくれる相手を追い詰める行為は、こちらの体力が尽きて終わった。正確には、ガツガツ腰を振れなくなった後も、スリットに勃起ペニスを差し込んだまま相手の胸の上に胸を合わすように寝転がって、ゆるゆると腰を揺らすような事はしていたのだけれど、気付いたら疲れ切って寝落ちしていた。
 しかも相手はそのままこちらを寝かせてくれていたので、ふと意識が戻った時には、まだペニスは相手のスリットの中だったらしい。たださすがにもう、萎えて小さくなっていたから、ちょっと身じろいだだけでそれはズルリと彼の中からこぼれ落ちてしまう。というよりも、抜け出るその感触と彼の零す甘い吐息で、初めてまだ彼の中だったことに気付いたのだった。
「うわっ、ずっとそのままで居たのかよ。てか疲れて寝落ちただけなんだから、脇に転がしてくれて良かったのに」
「そんな勿体無いまねをするはずがないだろう」
「勿体無い?」
「自分の中で、お前のペニスが少しずつ柔らかになっていくのを感じるのも、幸せだった」
「幸せ?」
 わけがわからないと首を傾げるような違和感はないものの、彼の言葉をすんなり飲み込めずに、彼の言葉に疑問符をつけて繰り返すばかりだ。
「そうだ。訓練すれば発情がなくともスリットを突かれて気持ち良くなれる、というのとは別にして、好きな相手の発情を受け止めるのは喜ばしいことだ、というのをまさに実感した」
 どこかうっとりと言い募る言葉に、嘘はなさそうに思える。
「俺が疲れて寝落ちしたことで?」
 さっきは射精が出来ないこの状態は発情なんかじゃないと言ってしまったけれど、さすがにそれを繰り返したりはしなかった。自身の勃起ペニスで相手と繋がれることに、誰のペニスも受け入れたことがないという彼のスリットに、初めての男として迎え入れてもらうことに、酷く興奮しきっていたあれを発情と呼ばずになんと呼ぶのか。
「いや。一連の行為全てで、だ」
 そっと頬をなでた手が、そのまま髪を梳いていく。愛しげな手つきに思わずうっとり身を任す。加減を覚えた彼の手は、ただ撫でてくれるだけでもたまらなく気持ちが良かった。
「はっきり雄の顔をしたお前は、随分と生き生きとしていたな。久々の勃起に相当興奮していたせいだろうか。言葉がいつも以上に荒くなっているのが酷く可愛かった。途中で泣いてしまったが、昂ぶる感情全てを晒して、それら全てで求められたことが、やはりたまらなく嬉しいと思う」
「俺の中では、みっともない姿晒しまくった、歴代最悪に近いセックスだったんだけど」
 なのにこんな、本気で嬉しくて幸せでたまらなかったみたいな評価をされてしまって、なんともむず痒くて仕方がない。
「お前の言うみっともない姿は、私からすれば、とても愛しく、可愛らしかった」
「その評価はそうとう微妙。というか欠片も嬉しくない」
「お前だって、抱かれながら私を可愛いと言っていたじゃないか。しかも、大概、終わりかけの疲れ切ったひどい状態になっている時ばかり」
 言われてみれば、確かにそうだった。みっともない姿が可愛らしかったという彼の言葉も、それと同じなのかもしれない。
「あー……薬使ってむりやり発情してた時のお前、疲れが増すほど色気も増す感じで、最後の方とかかなり凄いんだよな。基本めっちゃ紳士なのに、少しぶっきらぼうになってくのとか、たまんなかった。考えたらあの頃から、こっちは抱かれて元気になるばっかなんだから、勃起さえすりゃ立場入れ替えてお前に突っ込んでやるのに、とか思ってたような気がしないこともない」
「きっと今後は私が、そう思うようになるのだろうな」
「えっ?」
「だってそうだろう? 私の繁殖期はまだまだかなり先だし、食事としてのセックスはもうほぼ必要がないから、薬を使って体を発情させることもこのままなくなるはずだ。低リスクの薬が出来たら、実験的に何度か試す可能性がある、くらいじゃないか?」
「確かにな。てかお前の繁殖期来るまでお預けなのもちょっと寂しいし、低リスクの薬ができて、実験的に何回かじゃなくて定期的にそれ使えるようになる、ってのが理想だなぁ」
「そう思うなら、お前も頑張ってくれ」
「え、何を?」
「お前が私を抱くセックスを」
「そりゃもちろん、頑張るっつーか一緒にもっともっと気持ちよくなりたいし、お前イカせたいし、いつかはお前の中に精液ぶちまけたいとか色々考えてるけど、でもごめん。良くわからん」
 相手はそれでいいと言ったが、全然納得行かない。食い下がってどういう意味かと尋ねた。
「リスクを負ってでもお前を定期的に抱きたい、と思うくらい、食事ではないセックスを楽しませてくれ、という意味だから、それでいいと言ったんだ」
「定期的に抱きたいって思ってくれたって、定期的に薬使わせて貰えるかどうかは別問題だろ?」
「そうでもない。今回、お前の食事でキツイ薬を頻繁に使った実績があるから、低リスクな薬の実験を私のこの体でという方向で売り込むことは可能な気がする。まぁ、抱かれたいと言いまくるお前のためにちょっと無茶して薬の都合をつけれる程度の権限は元々あるし、低リスクであればより入手しやすいだろうよ」
「つまり、お前さえその気にさせれば、薬が出来たら定期的に抱いてやるよって宣言?」
「結局は薬のリスクと、こちらの体への負担とを考えながら、あまり無理のない範囲で、たまにって感じだろうけれどな。そもそも薬が出来上がる頃に、私達がどういう関係にあるかもわからない」
「たとえ体の機能が元通りになっても、人間界戻りたいとか一切思ってないどころか、死ぬまでずっとこのままお前らに面倒見てもらう気でいるんだけど?」
「その覚悟はどちらかといえばありがたいな。さすがにお前を人間界に戻せるとは、私達も考えていないから」
 人間界の食べ物で生きていく体に戻すのは現状無理だそうだ。それを聞いてなぜかホッとしているから、なんだかおかしくて笑ってしまう。
「じゃ、低リスクの薬が出来る頃、俺がまだセックスとか出来る年齢かどうかが問題な感じ? だったらお前の次の繁殖期が先にくるよな。それとも実は後10年も生きてられそうにないとか言う?」
「言わない。お前には人の寿命を全うして貰う予定でいる。こんな場所へ閉じ込められてもそう悪い人生ではなかったと言ってもらえるように、今後も全力でサポートする」
 長命な彼らにとっての人の寿命なんて、きっと儚いものだろう。自分が老いてヨボヨボになっても、目の前の彼は今と変わらぬ容姿で、今と同じように優しい手つきで、愛しげに撫でてくれるのだろうか。そうだったらいいなと、自分にとってはまだまだ先の、遠い未来へ思いを馳せる。
「先程私が言った、どういう関係になっているかわからないの大部分は、お前が私に抱かれることを欲していない可能性とか、そういう話だ。雄の機能を完全に取り戻したら、抱くだけで満足するかもしれないだろう」
「ああ、そういう話。それはどうかな。指や舌で十分気持ち良くして貰ってるし、お前の繁殖期が相当先ってことも、薬使う負担も知ってるから言わないだけで、お前が俺をまた抱きたいと思ってくれて、それが可能なら、俺は喜んでお前に股開いてねだると思うよ」
「そうか」
「だから安心して、また俺を抱きたいって思って。まぁ、薬使ってまで俺を抱きたいなんて思わないほど、俺に抱かれるのがキモチくてたまらない、ってなってた場合は、さすがに俺もそれで満足かもだけどな」
 ひひっとイヤラシク笑ってやりながら、それも悪くないなと思う。
 時間はたっぷりありそうだし、体の機能は間違いなく少しずつ回復しているから、今後も彼のスリットを開発しながら、まずはいつかそこを、自分の精液で満たす日を楽しみに待とうと思った。

<終>

エンド付けたくて大遅刻すみません。長々とお付き合いありがとうございました。
ずっと竜人受けも書きたいと思ってたので凄く楽しかったです。

続編が出来ました。
お世話係の繁殖期1→

 
 
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竜人はご飯だったはずなのに23

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 結構な期間ほぼ放置されていただけの、まず間違いなく射精には至れないペニスで、どこまで気持ちよくなれるだろうかという不安はもちろんある。
 最後に女を抱いたのは、どれくらい前だっただろう。はるか遠い昔のことに思えて、誰かを抱いてイクという感覚が思い出せない。
 狭い袋の中、彼のペニスと触れ合いながらぬるぬるの粘液をかき混ぜるペニスは、間違いなく気持ちが良いのだけれど、その刺激に追い詰められて体が昂っていく様子はやはりない。
 結局、相手の性感を煽ろうなんてしなくても、スリットの中をいつもより乱暴にぐいぐいと突かれている相手の方が、だんだんと追い詰められているのがわかる。先程から時折、布の避けるような音が聞こえているから、きつく爪を立てすぎてシーツを破いているのだろうと思う。
 だからこそ、その手を取ってやることも、自分の体に導いて縋らせることも、してやれない。
 苦しそうに喘ぎながら、文句も言わずに受け止め続けてくれる姿に、胸が痛い。かわいそうで、申し訳なくて、それ以上に愛しくて、可愛くて、たまらなくなる。
 相手の胸に倒れ込むように抱きついて、縋り付いて、自分から触れにいった。
「ごめんな」
「どう、ぁあっ、あっ…いう」
 腰は打ち付けたままだから相手は言葉をつむげないけれど、どういう意味だと聞かれているのはわかる。
「お前にいっぱい、無理させてる。気持ちよく、させてやれてない。苦しいの、受け入れさせてる。しかも、気持ちぃイクたまんねぇ止められねぇ何発でもぶっ放してぇ、ってんじゃない。お前ん中に、俺の精液注いでやれない。けど、止めたくない。終わりたくない。体力続く限り、お前の中、ぐちゅぐちゅかき回し続けてぇって思ってる」
 腰を振りたて言い募れば、喘ぎながらも相手が笑ったようだった。
「ん、ぁあっ、それっで……ぁ、いいっ」
「なんで、だよっ」
「お前、がっ、ぁあ、はつじょ、ぁ、して」
「してねぇよ。この体、射精できねぇんだよっ。こんな、なにもかも、中途半端でっ。お前の体で、イッてやれない。しかも、お前に抱きつかれたら下手したら死ぬようなヤワな体で、お前こんなに可愛いのに、満足に、可愛がってやることも出来ねぇとか、情けねぇだろ。なのに、それでも、お前抱き続けてたい。お前が苦しがってんのに、かわいそうだとか、やめてやらなきゃってより、愛しくて、抱きしめて、好きだって言いたくなるばっかなんだよ」
 だから、止めて欲しい。もうこれ以上はツライと言って欲しい。耐えるのに使っている力を、逃げ出すことに使って欲しい。
 そう言ったら、やはり相手は笑ったらしい。
「きも、ちぃ……ぁ、ああっ、きもちが、いいっ」
「嘘つけ」
 突然すぎて思わず腰の動きを緩めてしまったら、体の下から揺するように体を跳ね上げられた。
「うぁっ、ああっ」
 跳ね上がったとは言ってももちろんほんの僅かではあったが、それでも、落ちる衝撃でスリットを抉られた相手がなんとも辛そうに呻く。そのくせ、二回三回と体を下から揺すり上げ続ける。ただ、最初の一回に比べたら、それはかなり弱い力であったけれど。
「ちょ、おまっ」
「ん、あ、いいっ、きもちっ」
「くそっ、本気にすんぞっ」
 甘やかに零す声は多分間違いなく演技混じりだけれど、でも口にだすことで興奮が増したり、本当に気持ちがよく感じてきたりする効果は間違いなくあると知っている。
「泣く、なっ、ぁ…ぁあ、嘘じゃ、ない、からっ」
「泣いてねぇ」
 柔らかに笑う気配に、先程あれこれ言い募っていた時に溢れ始め、今もだらだらと流れ落ちている涙の存在には気付いていたが、強がって否定の言葉を吐いた。

続きました→

 
 
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