兄は疲れ切っている(目次)

キャラ名ありません。全40話。
雄っぱい持ち大学生弟(視点の主)×疲労困憊社会人兄。どちらも女性経験ありで男性経験なし。
同情から雄っぱいを揉ませたことで兄を意識するようになった視点の主が、彼女ができそうという兄に焦って、酔い潰して先に体だけ手に入れたら大失敗だった話。
目一杯優しくしても一向に絆されてくれないどころか心を閉じていく兄と、最終的には恋人同士になります。
21話から先はダラダラと恋人同士の甘ったるいセックスをしているだけですが、S字結腸まで突っ込んじゃったり、後始末でお湯の排泄させたりが混ざってます。描写は控えめ。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的なシーンが含まれるものはタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 1分百円
2話 酔った兄に絆されて
3話 兄の奢りで居酒屋へ
4話 ラブホ連れ込み(R-18)
5話 兄覚醒と抱く宣言(R-18)
6話 とにかく諦めて(R-18)
7話 泣かれて一時中断(R-18)
8話 再開したけど(R-18)
9話 その後の迷い
10話 上手くいかない(R-18)
11話 兄だけ先に(R-18)
12話 兄の口奉仕(R-18)
13話 精飲と湧き上がる怒り(R-18)
14話 嫌だと言えば開放する
15話 兄の告白
16話 ポンコツなりに必死
17話 兄の惨めさの正体
18話 土下座で謝罪
19話 セックス前から好きだった
20話 やっと恋人同士
21話 初デートの余韻を残して
22話 ちっぱい堪能(R-18)
23話 襲っていいよ
24話 嬉しくて仕方がない(R-18)
25話 いつもと違って(R-18)
26話 耳元に甘い声(R-18)
27話 ゴムを口で着けてみたい
28話 初の対面座位(R-18)
29話 兄が自分で(R-18)
30話 初トコロテン(R-18)
31話 もっと、愛して(R-18)
32話 中出しマーキング(R-18)
33話 奥までじっくり(R-18)
34話 奥のその先(R-18)
35話 これから先はいつだって
36話 抱っこで風呂場
37話 後始末のお手伝い了承
38話 排泄中だって可愛い(R-18)
39話 湯船でうとうと
40話 おやすみ

 
 
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兄は疲れ切っている40(終)

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 気持ちよさそうに目を閉じる兄を起こさずベッドまで運ぶのはさすがに無理だったけれど、風呂場から連れ出して体を拭いてやって未使用の部屋着を着せてやる間、兄は眠そうにぽやぽやしていて、ただただされるがままだった。
 ベッド行くよとだけ告げ問答無用で抱き上げても、さすがにもう慌てることもしがみついてくることもなく、ゆるっと体を預けてくれるどころかまた目を閉じている。口元がゆるっと笑んでいるのが可愛くて、愛しくて、信用されきっているのがわかるから嬉しくて仕方がない。
 ベッドの比較的綺麗そうな場所を選んで兄を下ろし、布団をかけてやる間も、兄はずっと目を閉じたままだった。きっともうこのまま眠ってしまうんだろう。もしくはもう既に寝ている。
 自分もその隣に潜り込んで、眠る兄の顔をジッと見つめた。もう少し眠くなるまで、このまま眠る兄を見続けるつもりだった。なのにゆっくりと兄が目を開いていく。
 目が合った。と思ったら、兄が嬉しそうにふふっと笑う。
「かいがいしぃ」
「そりゃあ、そこまで疲れさせたの、俺なわけだし」
「うん。でも、うれしい」
 好きだよって囁くみたいにこぼされて、俺だって好きだと返せば、やっぱりんふふと嬉しそうに笑っている。眠いせいもあるのだろうけれど、とろっと甘い気配が漂っているのがたまらない。
 どうにも兄に触れていたくて手を伸ばした。とはいえ、これ以上性的な興奮を煽るわけに行かないので、結果、頭を撫でるように髪を梳く。
「気持ちぃ……」
 うっとりと目を細めながら、小さな声がやっぱりとろりと吐き出されてきた。
「ん……っ、き…ちぃ……」
 そのまま瞼を閉じてしまったものの、必死に気持ちよさを伝えようとしているのか、途切れ途切れに気持ちぃの言葉の切れ端が口からこぼされたり、んっんっと気持ちよさげに鼻を鳴らしたりもする。
 相変わらずサービス精神旺盛すぎだと苦笑した。そんなに頑張って気持ちよさを伝えてくれなくても、もう充分に伝わっている。
「ほんっと可愛いんだから。ね、もう、寝ちゃっていいよ?」
「んっ……」
 小さな返事の後、すーっと息が深くなって頭を撫でても反応しなくなったから、今度こそ本当に眠ったのだと思った。しかし暫くそのまま頭を撫で続ければ、また唐突に兄が話し出す。
「なんか、ねちゃうの、もったない」
 舌っ足らずに吐き出されてくる言葉は、眠気にむりやり抗っているようで、やっぱり苦笑を誘った。
「もったいなくないって。てか可愛い寝顔、もっとじっくり見させてよ」
「んー、それ、は、ずる、い」
 もぞっと動いたかと思うと、兄がすり寄ってきて胸に顔を押し当ててくる。寝顔を見せたくないってことかと思ったら、兄がくふくふと妙な笑い方をしながら肩を揺するから何事かと思う。
「え、何?」
「おっぱい、やらかい」
「あー……」
「ここ、きもちぃ」
「知ってるって。で? そこに顔埋めて眠りたいって話?」
 聞けばやっぱり小さく肩を揺すって笑う。
「それも、いいけど」
「いいけど?」
「それより、いっしょ、ねて、ほしぃ、かなぁ」
 寝ないのと聞かれて、つまり兄が眠気にむりやり抗って起きているのは、こちらにまだ眠る気がないせいらしいとやっと理解した。
 わかったと小さくため息を吐き出して、手を伸ばして部屋の明かりを落としてやる。
「これで安心して寝れる?」
「おまえも、ねる?」
「寝るよ」
 言えばまたもぞっと動いて、胸に埋めていた頭が離れていった。しかし近づいた距離は離れず、兄の体がすぐ近くに密着している。そっと抱きかかえれば、んふっと満足げな吐息が漏れた。
「おやすみ」
「んっ……すみ」
 どうにかという感じで小さく返事をくれた後は、静かな寝息が聞こえてくる。暫く様子を見ていたが、今度はもう、兄が話し出すことはなかった。
 とはいえ、もう一度電気をつけて寝顔を眺めてやろうとまでは思わない。疲れ切った兄はきっとぐっする眠るだろうから、兄より早く目覚めて、寝顔も寝起きも堪能してやればいいのだ。
 そんな決意を胸に、腕の中の熱と寝息に誘われるまま目を閉じた。

<終>

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昨年内に終わらず年越しまでしてしまいましたが、長々とお付き合いどうもありがとうございました。恋人同士の既に慣れた気持ちいいセックスを書く機会が少ないので、ついダラダラと書いてしまいましたが、とても楽しかったです。
2回ほど休憩を挟んで、次回更新は10日の予定です。

 
 
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兄は疲れ切っている39

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 中を洗い終えた後は、椅子に座らせた兄の体を丁寧に洗ってやる。ほぼお湯だけとは言え、排泄している姿を散々可愛いと言われまくった兄は少々放心気味で、自分で出来るだとか必要ないとか言うことなく、おとなしくこちらに体を預け洗われている。
 肌の上を滑るスポンジに、うっとりと甘い息を零して見せるから、ムクムクと湧き上がる悪戯心を抑えるのが大変だ。
 今日だけじゃないんだからと、何度も自分に言い聞かした。さすがに今日、これ以上兄の体に負担をかける行為をする気はない。
 けれど当然、いつかは事後に風呂場で襲ってやろう、とは考えていた。いや、前準備を手伝わせてもらえるようになったら、先に風呂場で一発、みたいなのも楽しそうだ。
 いつか、兄の可愛い声が風呂場に反響するのを堪能したい。
「はい、終わり」
 頭の中を不埒な妄想でいっぱいにしながらも、なんとか余計な刺激を与えてしまわないように気をつけつつ、やっぱり丁寧に泡を流してやって終了を告げた。
「俺も体洗うけど、先に湯船入ってる?」
 先に連れて行こうかと言えば、すぐそこなのに? と笑われてしまう。家とは比べ物にならないくらい広々としたバスルームではあるが、それでも確かに、湯船までは数歩でたどり着ける距離だった。
「すぐそこでも、だよ。なんなら、抱き上げて運んで、そっと風呂の湯の中に下ろしてやるけど?」
 兄はふふっと笑って、抱き上げて連れて行こうかという提案への返答ではなく、待ってるから体洗っちゃいなと言った。
 けれど素早く体を洗い終えて兄に向き直れば、ん、と両腕を持ち上げて突き出してくる。抱いて連れて行けという催促だ。まさかの行動に、デレデレとにやけてしまうのを止められない。
「にやけすぎ。そんな嬉しい?」
「うん、めちゃくちゃ嬉しい」
 指摘にもあっさり頷いて、広げられた両腕の中に身を屈めていく。
「ほんっと大好き。いくらでも甘やかすから、これからもいっぱい甘えて?」
 おでこにちゅっと唇を落としてから、兄の背と脚を支えるように腕を差し込み抱き上げた。慣れていない兄が、やはりきゅっとしがみついてくる。たまらなく愛しいと思った。
 先程言った通り、そっと兄を湯の中に下ろしてやってから、自分も湯船に踏み入って、兄の背後に体を滑り込ませる。
「こんな広いのに、なんでそっち?」
「なんでって、そんなの、こうしたいからに決まってる」
 振り返って不思議そうに聞いてくる兄の腰を掴んで、開いた足の間に引き寄せた。
「ぅわっ」
 小さな驚きの声は上がったものの、ふわっと湯の中を滑って、兄の体があっさり腕の中に収まってしまえば、何も言わずとも兄が背を倒して胸に凭れ掛かってくる。んふふっと小さな笑いが溢れて、どうやら兄も楽しんでくれているようだ。
 湯に浸かりきらない肩に向かって、お湯をすくって撫でるように掛けてやる。
「気持ちぃ」
 数度繰り返せば、とろりとした声がうっとりと響いた。
「ん、なら、良かった」
「これ、いいな。これなら、うっかり寝ちゃっても、溺れない」
「眠い?」
「んー……まぁ、ちょっと」
 横から兄の顔を覗き込めば、既に瞼が落ちている。
「溺れさせることはないけど、のぼせても困るし、上がろうか」
「んっ……も、ちょっと」
 ああこれ、本気で寝そう。そう思いながらも、あまりに気持ちよさそうな声での「もうちょっと」のお願いを聞いてあげたくて、脳内でゆっくりと数を数え始める。
 カウント100までくらいなら、このままゆるっとお湯に浸かっていてもいいだろうと思いながら、お湯をすくっては兄の肩に撫で掛けてやるのを繰り返した。

続きました→

 
 
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兄は疲れ切っている38

※ 軽めの排泄描写あり

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 嫌そうな呻き声と共に、中からとろりとした半透明の液が少量こぼれ出てくる。そしてその声を聞いたせいで、さっきから時折呻いていたのは、中からこぼれ出る感触が気持ち悪くてということらしいと気づいた。
 なるほど、これは口に出して説明しにくいのも頷ける。体のどこかが痛くて呻いているわけではないというのも、納得だし安心もする。
「中から溢れてくるのって、ちゃんとわかるんだな。シーツも部屋着も汚したって言ってたから、全部出ちゃったのかと思ってた」
 残ってるなら先に指で掻き出そうかと言ってみたら、もう殆ど残ってないはずだから必要ないと、割とガチトーンで返された。確かにこぼれ出てきたのは少量だったし、指を突っ込み掻き出してみたいのは単にこちらの好奇心と下種な欲望だという自覚もあった。それにこれから幾らでもチャンスはありそうだし、とも思う。
 それならばと予定通り、ちょろちょろとぬるま湯を吐き出し続けるホースの尖端を押し付けた。
「んっっ」
「いつもどれくらい入れてるの」
 頭の中で数を数えながら、ストップ掛けてねと言っておく。
 後始末としての洗腸というだけで、無理をさせる気も苦しませる気も欠片だってないけれど、当然初めてなのだから、加減なんてわからない。だったら兄本人に教えて貰えばいい。
 脳内のカウントと、兄の様子と、お湯で膨らむ腹具合はきっちり覚えて、次回に活かそうという心づもりでもあった。
「っ、もっ、それくらい」
 兄の訴えに、素直にホースの先を離せば、ホッとした様子で壁から手を離しこちらに向き直る。排泄するところなんて見せないぞって意味かと思ったら、そのままヨロヨロと歩き出す。
「え、どこ行く気?」
 前準備でトイレと風呂場とを何度も行き来しているなんてことはないはずだけれど、自分がいるせいでトイレまで行く気なのかと思って聞いた。けれどさすがに風呂場を出る気まではなかったらしい。
「どこって、そこ」
 兄の視線の先を追えば、そこにあるのは排水口だった。
 なるほど、と思う。兄が普段しているのは前準備なのだから、汚物も一緒に排泄されてしまう可能性を考えたら、なるべく排水口の近くでというのも納得だった。
 蓋を開けてそこに向かってしゃがみこんだ兄の顔は赤い。追いかけるように近づいて、兄の正面に自分も腰を落とす。
「えっ……」
 ギョッとする兄の頬を軽く撫でながら、約束、と口にした。
「やく、そく?」
「可愛いねってキスしてあげるよ、って言ったろ」
 言いながら顔を近づける。可愛いって囁きながら、ちゅっと唇を吸ってやる。
「どう洗ってるか知らなかったから、お湯が吹き出てくるとこじっくり見てあげようかと思ってたけど、代わりに恥ずかしそうな顔、ずっと見ててあげる」
 少し意地悪かなと思いながらも、この距離ならお湯が吐き出されてくる音も聞こえそうだし、とにっこり笑ってみた。
「は、ちょっ」
 兄はますます顔を赤くしていく。
「我慢してる間も、お湯吐き出してる間も、いっぱいキスしてあげるよ」
 今度は極力優しく笑いかければ、真っ赤な顔がふにゃっと歪む。唇がわなわなと震えているから、可愛いって言いながらちゅっちゅと唇を吸った。
 可愛いねと口づけるのを繰り返せば、やがて兄の体がふるふると小さく震えだす。既に真っ赤でふにゃふにゃな顔が、今にも泣きそうになっている。
「いいよ」
 大丈夫、と囁やけば、兄の口から小さな吐息が漏れて、ほぼ同時に、ぷしゃっとお湯の跳ねる音が聞こえてくる。
「ぁ……ぁぁ……」
 絶望混じりにこぼれ出てくる息を、大丈夫、可愛い、と繰り返しながら吸って、合間にぽろっと流れ落ちた涙へも唇を寄せた。

続きました→

 
 
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兄は疲れ切っている37

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 準備と違って、一度綺麗に洗ってある場所で、そこを汚したのはこちらで、何より兄は足元をふらつかせるくらい疲れ切っている。汚いなんて欠片も思わないし、疲れ切った体を預けてもらって、自分の手で綺麗にしてあげたい。
 そもそも汚くたって別にそう気になんかならないんだけど。だって兄がそういう準備をするようになる前は、洗っていない腸内に指を突っ込んでまさぐっていたわけだし。準備をするようになってからだって、最初っから完璧に洗えていたわけではなかったし。つまり、指だったりゴムだったりが汚れてしまうことが全く無かったわけじゃないし。でもそれで気持ちが萎えたことなんてない。
 だから本当に、いつかは準備だって手伝いたいと、本気で思っているのだ。
「いやだから、お前が汚いと思うかどうかじゃなくて。というか、そう思ってくれてるのはわかってるけど、それとこれとは別っていうか」
 とにかく恥ずかしいんだよと言い募る兄に、じゃあもういっそと、その恥ずかしい姿が見たいんだよと返してみたら、呆気にとられた顔をした後、変態と罵られてしまった。
「変態でいいし。事実だし。期待してるから」
「え、期待って?」
「お腹に入れられたお湯、我慢できなくてお漏らしするとこ見せてもらうから、恥ずかしいって泣いてもいいよ」
 可愛いねってキスしてあげるよと言えば、想像したのか羞恥と恐怖とが入り混じったような顔で後ずさる。といっても、兄の背後には浴室へのドアがあるだけなのだけど。
「あ、風呂場行く気になってきた?」
「ち、ちがっ」
 慌てて否定する兄をいいからいいからと宥めつつ、浴室のドアを開けてしまう。兄の肩を抱いて促すように中へ踏み込めば、諦めたように兄もついてくる。
「なんだ。もっと早くこうすりゃ良かった」
 多少強引にでもさっさと浴室に連れ込んでしまえば良かったのだと思い至って、つい口からこぼせば、隣で不満そうな声が上がった。
「俺はまだ全然納得してないけど」
「そりゃあ俺だって、兄貴が嫌がること、極力したくないし、納得して体預けてほしいなとは思ってるけど。でも、恥ずかしいからが一番の理由なら、今すぐどうこうできねぇもん」
 慣れてよと言えば、慣れたくないと即答されたけれど、別にそれならそれでも構わない。
「いつまで経っても後始末手伝われるのが恥ずかしいってぐずってくれるなら、それはそれでそういうプレイを楽しませて貰うから」
「なんだよプレイって」
「最終的には俺に洗われるのわかっててぐずるなら、それはもうそういうやりとりを楽しむプレイって事でいいんじゃないの。嫌がって無理やり俺にお湯注がれて、恥ずかしいよぉって言いながらお漏らしするとこ見て貰いたいんでしょ?」
「んなわけ」
「ないって言うなら、俺に無理やりお湯注がせるようなこと、しないで」
 今の疲れきった兄の体なんて、容易に押さえ込めてしまえる。それは兄だってわかっているだろう。
「ほら、お尻こっちに向けて」
 ヘッドを外して温度と湯量を調節したシャワーホース片手に告げれば、小さな溜息と、ずるいと言うボヤキを零しながら、壁に手を付き腰を突き出してくる。さすがにもう抗う気はないらしい。
 尻タブを割ってホースの先を穴に押し当てようとして、内腿へと流れるように続く汚れに気づいて、思わずその汚れを指ですくい上げた。
「ぁっ、おいっ」
「次、中出しした時は、俺の精液がこぼれ出てくるとこ、見たいかも」
「へ、へんたい」
「だからそう言ってんじゃん」
 なんなら指を突っ込んで掻き出してやってもいい。なんてことを思いながら、濡れてふっくらとした尻穴を開くように、縁に当てた二本の指に力を込めてみた。

続きました→

 
 
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兄は疲れ切っている36

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 なんとなく戻りづらく、風呂の湯がたまるのをその場で待ってしまってから部屋へ戻れば、兄はベッドの上には居なかった。すぐにベッド脇に降りてベッドに背を預けて座り込んでいるのに気づいて焦る。
 どうしたのと声を掛けながら近寄れば、声に反応してゆるっと頭を上げた兄が、こちらを向いてへらっと笑った。力のない笑みは疲れがにじみ出ている。
「体起こしとけって、お前が言ったんだろ」
「ああ、それで」
「でさぁ……」
 へらへらっと笑い続けながらも、じわっと頬を染めていくから何事かと思ったら、漏れ出た精液がやばいって話だったので、こちらの顔も釣られたように熱くなる。
「やばいって、何がどうやばいんだよ」
「シーツ汚した。あと、部屋着も」
「あー……まぁそれくらいは仕方ないんじゃねぇの。てか汚した部屋着ってつまりそれ?」
 座る兄の尻の下に敷かれている布に見覚えがある。
「そう。さすがに、カーペット汚すのはって思って。あと直に座るのもやだった」
「んじゃ、風呂出たら俺の分の部屋着使っていいよ。で、その感じだと立って歩くのも辛いよな」
 抱いてっていいかと言えば、さすがに驚いた様子で目を見張ったあと、けっこう体重あると思うけど、と返される。頭脳労働タイプの運動嫌いでも、小柄とは言えないどころか男性平均身長よりは幾分高い、並の体格の男の体がそこそこ重いのなんてわかりきっている。
「だーいじょうぶだって。俺の筋力舐めないで」
 絶対落とさないからと言いながら、兄の隣にしゃがみこんで、背と膝裏に腕を差し込んだ。兄は照れ戸惑いながらも、嫌がることなく首に腕を回してくる。
「えーこれやっぱ、恥ずかしいな」
「今更今更。ほら、立ち上がるからもっとぎゅってして」
 下に敷かれた部屋着ごと一緒にすくい上げて立ち上がれば、慌てたようにぎゅっとしがみついてくるから可愛かった。
「んじゃ風呂いこっか」
 言って歩きだして数秒、兄が悩ましげに唸るので思わず足を止める。
「どした? どっか痛い?」
 歩く振動が酷使した腰に響く、なんてこともあるかもと尋ねてみたが、すぐに平気だと返ってくる。どこも痛くはないと言い募る声音が、何かを隠している気がして、本当かとしつこく聞いてしまった。
「結構むちゃした自覚あるから、どっか痛いなら正直に言ってよ。もっと静かに歩いた方がいい?」
「あ、じゃあ、もっと静かに」
「あ、ほら、やっぱどっか痛いんだ」
「違っ」
「違くないだろ。腰? それとも穴の方?」
「違うんだって。てかもういいから、さっさと風呂場連れてってよ」
「静かに歩くのは?」
 どっちでもいいよもう、と若干キレ気味に急かされて、それ以上の追求は出来ないまま、極力静かな歩調で風呂場へ急いだ。
「あ、待って。ここでいいよ。下ろして」
 そのまま浴室に連れ込もうとしたところ、脱衣所で待ったが掛かる。なんで、と思いながらも、洗面台の椅子に座らせる形で下ろしてやれば、よろりと立ち上がった兄がまた嫌そうに小さく呻いた。
「大丈夫!?」
「平気だって。てか、いいって言うまで、お前はここで待機な」
「え、なんで?」
「なんで、って、そんなの……」
「ただ立ってるだけでもそんな頼りなさげなくせに、一人で風呂場になんて行かせられるわけないだろ」
 一緒に入るという主張に、兄は必死で嫌だと抗ってくる。意味がわからない。と思ったら、とうとう兄が焦れた様子で、中に出されたもの洗うんだから一緒に入れるわけがないだろうと言う。
 ああなるほど。とは思ったものの、わかってないな、とも同時に思う。
「うん、だから、俺が洗ってあげるつもりなんだけど」
 絶対イヤだ、とすぐさまキツく拒否されたけれど、こちらだって引く気なんてなかった。

続きました→

 
 
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