雷が怖いので END直後3

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 何度も何度も飽くことなく繰り返される「好きだよ」の言葉を貰いながら、自分で動いて腰を振る。中のイイトコを彼の大きなペニスに擦り付けるようにしながら、自分のペニスを自身の腹と彼の腹との間に挟むようにして揺すれば、快感が何倍にも跳ね上がる。
 はしたなく気持ちが良いと喘いで、込み上げる気持ちを零すように好きだと繰り返せば、やはり優しいキスが降った。けれどそこには「俺もだ」という言葉が付属してもいる。
 嬉しくて、幸せで、好きと言葉に出すだけでは追いつかないものが、涙になって流れ落ちた。泣きながら、でも半分くらいは笑っていたようにも思う。相手も嬉しそうに、愛しそうに、大好きな優しい顔を見せてくれていた。
 もちろん、時々こちらをからかうみたいに意地悪なことを言って、興奮を煽り引き出すことも忘れない。
 たまらなく、キモチガイイ。心ごと、快感で震えた。
 どれくらいの時間、そうして過ごしていたのだろう。何度も休憩を挟みながらではあったが、それでもそれは、本気でこちらの体力が尽きるまで続けられた。
 宣言通り、意識を飛ばして何も考えられなくなるような時間はなかったけれど、やっぱり何回イッたかなんて覚えてない。自分で動いても射精なく上り詰めるのを繰り返すなんて真似はできないので、ペニスの先からだって何度も、ダラダラと白いものを零した。
 でも彼がイッた回数ならしっかり覚えてる。自分で動くようになってからは一回で、最初に口に出して貰って飲んだ分も入れれば四回だ。
 ずっと繋がったままで、彼の胸に倒れ込んで動けなくなっている今も、それはまだ自分の中で脈打っていた。多少小さく柔らかになってはいるものの、元が大きいのとこちらの疲れも相まって、物足りなさなんてまるでないどころか、じっとしててもついそこへ意識が向かってしまうくらいの存在感がある。
 一晩でこんなに彼が射精してくれたのは初めてなのだけれど、でもまだ全然余裕がありそうだ。でもそれは、余裕をなくした姿を見られたくはないからだろうとも思った。だから今日、彼はあまり動かずにいるのではないのか。
 それでもいつかは、余裕なく求めてくれる日も来るだろうか?
 激しく貪られながら、彼自身もう出ないというくらいまで、自分も彼を貪り尽くしたい。
 この人はもう自分のもので、これから先もまだまだ続いていくのだから、いつかきっと、そんな彼を見せて貰える日だってくるに違いない。そうなったらいいなと思いながら、ふふっと息を漏らした。
「どうした?」
 くったり凭れ掛かる自分の背を優しく撫でてくれていた彼が、それを聞きつけ尋ねてくる。
「あなたはまだまだイケそうだなって思ったら、いつか、あなたの限界まで抱いて貰えるような日もくるのかなって、そうなったらいいなって、思っちゃって」
「今日がもう終わりだなんて、俺は一言だって言ってないけど?」
「……えっ?」
「まぁさすがに平日だし、明日もずらせない予定入っちまってるから限界までは頑張れないが、最低でも後一回、俺がイクまでは付き合って貰うぞ」
 それはいったいどれくらいの時間が掛かるのか。射精コントロールは四回出した後でもまだ可能なのか。不可能なら彼が気持ちよくなれるまでというのに全く予想がつかないし、可能だとしても、どこまでこちらを追い詰めるつもりで居るかがさっぱりわからない。だってもう、今日はこれで終わりだと、すっかり思い込んでいた。
 こちらはもう殆ど体力が尽きているけれど、彼が動く分には問題がないという意味なのはわかっている。たとえ出すものが無くなったって、お尻でイかされる分には関係がないということも。彼にされたら、自分の意志で体を動かせないほどに疲れ切っていたって、また気持ちよくなれてしまうのだ。
 さすがに期待よりも不安が大きくなって気持ちが揺れる。なのに。
「だってお前、俺に激しく貪られてみたいだろ?」
 そう続いた言葉に、頷く以外出来なかった。

続きました→

 
 
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雷が怖いので END直後2

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 俺も好きですと告げる声は少し震えていたかもしれない。躊躇いなく好きだと繰り返し与えてくれる言葉が嬉しくて堪らないのに、嬉しいからこそ泣きそうだった。
 何も考えられなくなるような抱き方をされて居ないせいもあるだろう。
 今までだって、じわりと快感を引き出されていくようなセックスを、してなかったわけじゃない。特に関係を変えた後、泊まりで抱かれる時はそんなセックスが多かった。
 それだって十分に嬉しかったけれど、プレイ要素控えめに抱かれているとどうしたって好きだという気持ちが溢れ出したし、約束通りの優しいキスを貰いながら、自分の気持ちばかり押し付けるようで申し訳ないと思ってしまう気持ちを、止めることも出来なかった。好きだと返してくれない人を、恋人になれないような相手を、諦めることも出来ずに卑しく求め続けた日々に、迷いがなかったはずがない。
 思考を奪われていないせいで、やっと掴んだ幸せの前だというのに、苦しくてしんどかったアレコレを思い出してしまう。もうあんな思いはしなくて良いのだと思うと、嬉しくて嬉しくて、キュウと胸が締め付けられる。
「それは嬉し泣きだよな?」
「そ、です」
 泣きそうになっているのはバレバレで、苦笑交じりの問いかけには必死で頷き肯定を返した。
「お前は本当に可愛いな。好きだよ。何度だって言ってやるから」
 だからもっといっぱい泣いてと笑う顔は少し意地悪だったけれど、それは当然見慣れたもので、その顔を見ただけでドキドキが加速してしまう。
「っぁ……」
 連動したようにアナルがひくつき、相手を締め付けてしまったのがわかるから恥ずかしい。泣いてと言われてこの反応なところが我ながら浅ましいと思うのに、恥ずかしいと思ってしまう気持ちまでも含めて、彼的には十分満足のいく反応だったようだ。
「このまま起きれるか?」
 ハイと返せば繋がりを解かないまま、片腕を背中に差し込まれ、もう片手には腕の付け根を掴まれて、ゆっくりと引き起こされる。
「ぁ、っあ、」
 繋がったままの動きにどうしたって熱い息がこぼれ出てしまう。
「ぎゅってして」
 促されるまま、彼の胸に倒れ込むようにして抱きついた。そのまま腰を抱えられるようにして支えられながら、彼が体勢を整えるのを少しばかり待つ。
「今度はお前が動いて、自分で気持ちよく、なれるよな?」
 元気だもんなとからかう口調にまた恥ずかしさから顔が熱くなりながらも、再度ハイと返してまずは両足に力を込めた。
「俺にたくさん好きだよって言われて、泣きながら気持ちよく果てるとこ、じっくり見ててあげような」
 ゆっくりと腰を浮かそうとした所で、どこかうっとりとした声音でそんな事を言われて、思わず身を固めてしまう。
「どうした?」
「……だ、って」
 なんとか声を絞り出した。
 まだ困惑してはいるものの、なんとなく、わかってきたような気がする。
「だって?」
「気持ちに任せて抱くって、こういう事になるって、思って、なかった……から」
「激しく貪られるとでも思ったか?」
「そりゃあ……明日、使い物にならなくてもいいならなんて言われたし」
「考えが甘い。後、相変わらず迂闊だな」
 楽しそうなニヤニヤ顔をされた。でもそれが嬉しいのだから困ったものだ。
「ようやくお前を好きだと認められたんだから、今まで返せなかった分をたっぷり返してやるよ。ちゃんと俺の言葉を聞き取れて、理解もできる状態で抱き続けるに決まってるだろ。意識飛ばして逃げるみたいに終われるなんて思うなよ」
 イッてるのはお前のが断然多いけど射精はほとんどしてないんだから、後は若さで乗り切ってと続いた言葉に、確かにこれじゃあ明日は使い物にならないだろうと思った。
「もっとして、なんてねだったこと、後悔してるか?」
 フルリと小さく体を震わせればそんな風に聞かれはしたけれど、ゾクリと背中を走ったのはどちらかと言えば期待だった。そりゃあ、不安や恐怖に似た気持ちがゼロと言うわけではないけれど。
「まぁ後悔してるって言われた所で止める気ないし、後悔なんか忘れるくらい善くしてやるけどな」
 自信満々に言い切る相手に、後悔なんかするわけ無いと返して、中断していた動きを再開させる。
「いい子だ」
 それは満足気な声音だったのに、次にはとろりと甘やかな声が好きだよと続いた。

続きました→

 
 
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雷が怖いので END直後1

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 気持ちに任せて抱くことになるなんて言われたら、普段みたいな気遣い無しで、彼の快楽を優先させるセックスをされるのだと思うだろう。余裕をなくした相手にガンガンと奥を突かれたら、体がどこまで持つのか、どれだけそんな彼を見つめることが出来るのか、心配したのはそんな事ばかりだったのに。
 決して大きな動きではなく、深い所を緩やかに、そして柔らかに押し上げる優しい動きは、その場所を起点に体中をトロかせる。
「んっ……ぁっ……きも、ちぃ」
「俺も、きもちぃよ」
 甘く降りかかる声は確かに気持ちが良さそうなのに、全くと言っていいほど余裕をなくしては居なかった。結局、追い詰められているのは自分の方だ。
 奥深くでじわじわと上り詰める経験はさっきが初めてだったのに、忘れないうちに覚えなさいとでも言われているみたいに、さっき以上の緩やかさでゆっくりと上り詰める事を繰り返させられている。腰はがっちり掴まれてしまって、さっきみたいに自分から腰を揺すって快楽を拾うことも許されない。
 もちろん、もっと激しく突いてというお願いは、とっくに却下されていた。それでももう自分ばかり二回も、ゆっくりと押し上げられるままに達している。
 ゆっくりとだからか、最奥に入り込まれて何度も気持ち良くイかされているのに、頭の中がドロドロのぐちゃぐちゃになって、快楽を追うこと以外何も考えられなくなる、なんてことはなかった。
「イッ、ちゃう……また、おしり、イッちゃう、ょぉ……」
「ん、じゃあ、今度はまた、一緒にいこっか」
「ほ、……ほん、と?」
「ホント」
 さっきみたいにお尻の奥で上手に絞り上げてと言われたけれど、やり方なんかわからない。イッてしまう時に、勝手にナカが収縮してしまうだけだからだ。
 それでも自分で何か出来ないかとお腹に力を込めてみたら、相手が少しだけ息を詰めたようだった。しかしその直後、自分自身が大きな快楽に飲み込まれていく。
「んぁああああ」
 相手は全く動きを変えていないのに、お腹に力を入れて相手を締め付けた事で、体が勝手に上り詰めてしまった。じわっと押し上げられて達することを繰り返していたはずで、今回も同じようにイクと思っていた所に、突然の激しい快感に目の奥がチカチカする。
 それでも、奥深くにじんわりと熱が広がった気がするのと、彼のペニスの脈動とで、本当に一緒にイッてくれたのはわかった。
「ああ、ぁあ……」
 呆然としながらも細く息を吐きだせば、優しい手つきで髪を梳くように頭を撫でられる。
「すごい上手に、自分から奥でイケたな。気持ちよかったよ」
 褒められればやっぱり嬉しい。ホッとしながら良かったと返せば、柔らかに笑い返されて、可愛いなの言葉とともに顔が寄せられる。キスを待ってそっと瞼を降ろせば、唇が塞がれる前に再度彼の声が耳に届いた。
「ああ、やっぱり今の少し訂正」
 えっと思いながら綴じていた瞳を慌てて開けば、間近で悪戯っぽく笑っている。
「お前が好きだよ」
「えっ、」
 さすがに今度は声が漏れた。それを待っていたように、与えられたキスはすぐに深いものへと変わっていく。
「んっ、んっ」
 達したばかりで口の中も敏感になっていて、くちゅくちゅと舐め回されて絡ませた舌を擦られれば、甘く鼻を鳴らしてしまう。今日は既に五度も達して確かに疲れているのに、最初に口でして貰って以降はお尻だけでイッてるせいか、またキモチヨクなりたくなってしまって困る。
 繋がったまま覆いかぶさるようにキスをされているので、自分のペニスが彼のお腹に触れているせいもあるかもしれない。もっと快楽を拾えないかと、そっと腰を浮かしてペニスの尖端を彼のお腹で擦ってしまったら、当然すぐに気づかれたらしく、重ねていた唇がスッと離れてしまった。
「元気だな」
「ご、ごめんなさ、ぃ」
「怒ってないよ。可愛いし、可愛くてたまらないなと思うこの気持も、お前を好きって事なんだろうって思ってる」
 好きだよと繰り返して、今度は触れるだけのキスが一つ、唇の上に落ちた。

続きました→

 

 
 
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雷が怖いので(目次)

「雷が怖いので」プレイリクエストについて

キャラ名はありません。全47話で、他の話に比べるとかなり長めです。
お金持ちなS ✕ 貧乏大学生(視点の主)。はっきりとした年齢差は出てませんが、8歳前後上のイメージで書いてました。
雷が怖い視点の主が、突然の雷雨に逃げ込んだ先で出会った男に、愛人契約という高額時給のバイトを持ちかけられて頷いてしまい、お金と引き換えにほんのりSM混じりの開発調教をされまくるうちに相手の男への恋心を自覚していく話。
攻めは親に売られて痛めつけたいタイプのサディストに所有されていた過去あり。人を好きと思う気持ちがわからないという相手に視点の主が諦めずに奮闘し、最後には「お前が好きだ」と言わせます。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
今回は性的な内容が含まれるものが多いので、性的描写が多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

2017年3月6日追記。
最終話直後のオマケ話、全4話を追加しました。

1話 逃げ込んだガレージ
2話 雷が聞こえない部屋へ
3話 バイトはクビに
4話 愛人契約の提示
5話 時給千五百円
6話 お試しチャレンジ
7話 契約成立
8話 バイト初日
9話 キスだけで(R-18)
10話 やだって言ったのに(R-18)
11話 初日終了
12話 次回はお泊り
13話 豪華ホテルで誕生祝
14話 食事の前に(R-18)
15話 二日酔い
16話 昨夜の記憶(R-18)
17話 チェックアウト
18話 イヤラシイおねだり(R-18)
19話 抱いてもらえない理由(R-18)
20話 抱かれたい理由と恋の自覚
21話 アナルプラグを入れて向かう(R-18)
22話 ずっとこの日を待っていた(R-18)
23話 気持ちいいばかりの初めてだったのに(R-18)
24話 逃げ出す
25話 雷と彼に追われて
26話 ずぶ濡れの告白
27話 彼の肌に残る傷
28話 一緒にお風呂
29話 痛くて怖いだけのおしおき
30話 好きで居てもいい
31話 洗ってもらう
32話 突き返すバイト代
33話 少し変わったその後の関係(R-18)
34話 彼の過去
35話 大学生活最後の年末
36話 ただただ裸で寄り添って
37話 彼の目的
38話 気づいてしまった
39話 それでも受け入れてはくれない
40話 親から勘当されてきた
41話 彼のものになっていく
42話 心に言葉を刻むということ
43話 ポジティブシンキング
44話 彼を貰う(R-18)
45話 互いに互いだけのもの(R-18)
46話 最奥まで全部(R-18)
47話 いつか二人で挨拶に

直後1 ゆっくり抱かれ続ける(R-18)
直後2 嬉しくて泣きそう(R-18)
直後3 繰り返される好き(R-18)
直後4 目覚めた後もずっと幸せ(R-18)

本編隙間埋めプレイ(目次)

 
 
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雷が怖いので47(終)

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 繋がりを解かずに頬や髪を優しく撫でられる。それを感じたまま、上がってしまった息を整えているうちに、霞みきっていた思考も視界も開けてくる。
 ぼんやりと見上げる先で、柔らかな瞳が楽しそうに、満足げに、優しくこちらを見下ろし笑っていた。
「それで、俺の全部を受け取った感想は?」
「そん、なの、……」
 凄く嬉しいに決まっている。まさか彼の口から好きだという言葉が告げられるとは思っていなかった。彼の声で、お前が好きだと、そう言ってくれるのを聞けるなんて。
 彼が聞かせてくれた好きが、繰り返し耳の奥でこだましている。体ではなく心が、ようやくそれを認識して、じわじわと喜びが広がっていく。
「なんか、嘘、みたい」
「なにが嘘?」
「あなたはきっと俺を好きだって、そう確信はしてたけど。でも、それをあなた自身が認めるのは、もっとずっと先だろうなって、考えてた」
「お前が好きだよ。お前の全部を俺のものにして、ここまで嬉しくなってたら、さすがにもう自分の気持ちをごまかせないだろ」
「良か、った」
 へへっと笑ったらお前にゃ負けたよと苦笑されて、指先が目元にじわりと浮かんでしまっていた涙を拭っていった。
「ごめんな。本当はあの日、お前の愛のあまりのでかさに気づいてから、お前を手放せない未来も少し見え始めてた。でもその未来に抗ってしまった。もっと早くに、お前の想いもこの先の人生も受け取ってやる決断ができてたら、お前に家族を捨てさせるような真似をさせなくて済んだかも知れないのに。お前が俺を選んでも、それで家族から縁を切られずに済む方法を、探してやれたと思うのに」
 お前の行動が早すぎたと、心底申し訳なさそうに悔やんだ顔を見せるので、こちらも本気で申し訳ない気持ちになりつつ口を開く。
「それなんだけど、あの、いつかもうちょっと落ち着いたらでいいから、俺と一緒に、俺の家族に会ってくれない、かな?」
「お前の家族に何を言われたって、もう、お前を手放すことはしてやれないのに?」
「それでいいよ。というかそれが重要というか」
「ちょっと待て。お前、これから先の人生を共にしたい男性が居るって言って、勘当されたんだよな?」
「違いますよ。というか、そこに関してなら、人生の伴侶に男を選んだくらいで親子の縁を切るほど狭量じゃないって怒られました」
「信じられないな。せっかく育てた息子が、明らかに道踏み外してて、それを許す親がいるのか? お前の親が、お前を愛人になれとそそのかして、大金チラつかせてお前の体を汚したような男に、そのまま息子を差し出すようには思えないんだが?」
「あー……さすがに愛人やってたとまでは、言えてない、です。親が十分なお金を出せなかったせいでそんなバイトしてたって思われたくなかったし、実際、お金の問題だけで続けてたわけじゃないし。だから出会いと経緯はちょっと誤魔化しちゃった。けど、俺の事は基本的には信じてくれてるんで、俺が本気で考えて選んだことは、応援、してくれるんですよ」
「ますます意味がわからないぞ。お前は何を話して、何が原因で勘当までされる事になったんだ」
「勘当されたってより、勘当してもらってきた、が正しい、ですかね」
「して貰ってきた?」
「そう。だって親から大事にされてる俺じゃあなたは貰ってくれないけど、逆に、親に捨てられた俺なら、あなたはきっと受け取ってくれると思ったから」
 だからさと、本当に本当に申し訳ない気持ちで、正直に真相を打ち明ける。
「どうしてもあなたを頷かせて、俺との関係を大学卒業後も切らずに居てほしかったから、やれることはなんでもやろうって思って。あなたが手強いから、なりふり構ってられないって、言ったでしょう。親にもそう言って、だから縁切ってって頼み込んで、勘当して貰っただけです。それで勘当を解いてもらう条件は、俺があなたをしっかり捕まえて、あなたと一緒になれて本当に幸せって状態を、家族に見せること。なんですよね」
 ごめんなさいと謝ったら、なんとも言えない顔で、本当にそんなことを親が了承したのかと再度確認された。
「うん、した。実は、頑張りなさいって言われて、こっち帰ってきました」
「お前といい、お前の親といい、俺の想像しうる範囲を大きく逸脱した行動にびっくりだよ」
「生きてきた世界が違いすぎる?」
「そうだな」
「でももう、俺は全部あなたのものだし、あなたも俺のもの、ですよ。違いは埋められなくても、そういう世界もあるって認識くらいなら、出来ますか?」
「ああ。きっとお前は嘘を言ってない」
「それで十分。さっき、あなたが俺への気持ちを認めるのはもっともっとずっと後になると思ってたって言いましたよね。そういう覚悟だったんで、俺の家族に会いに行くのも、いつか、あなたの気持ちがもっと落ち着いてはっきりしてからで、いいんです。あなたが、俺が勘当されたことを気にしてくれたから、ちょっと、焦って話しちゃっただけで」
「いや。少し、安心した気もする。でもそういうことなら、近いうちにお前の家族に会いにいくよ。ただその前に、お前が俺との関係をどう説明したのか、聞いておかないとな」
 急がなくていいよと言ったら、お前が全部俺のものになったってことの重要性がわかってないなと、意味深に笑われて首を傾げた。
「そこに気づかないお前だからこそ、俺も、俺を全部お前にやってもいいって思えるんだけどな」
「どういうこと? 俺が気付いてない重要なことって、何?」
「それは追々、教えてあげる。色っぽい話じゃないし、今はそれより、体が落ち着いたならバスルームに移動しようか」
「も、ちょっと、このままが、いい」
「洗い流すの勿体ない?」
「うん」
「お前の奥深くまで、全部俺に染まった事実は、洗い流したところで変わらないけど?」
「うん」
「もっとして、ってのはなしだぞ? それとも、奥まで綺麗にされるのを怖がってる?」
「もっと、されたい」
 甘えるようにねだってみたら、小さなため息の後で、明日使い物にならなくなってもいいならと返される。これ以上を煽るなら、気持ちに任せて抱くことになるぞという忠告に、それは忠告なんかじゃなくて、まるで甘美な誘惑でしかないと笑ってやった。

<  終  >

ここで終わるか凄く迷った末、あまりに長くなった話なので、もう終わっていいかなとエンドを付けました。なお、本人が気付いてない重要なこと=相手の資産に関する話です。
あまりの長さに更新時間が守れず、最後まで大遅刻ですみません。そして本当に長々とおつきあい、どうもありがとうございました〜!

END直後のオマケ話を読む→

 
 
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雷が怖いので46

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 誰に気持ちよくさせられているのか、イきたくてたまらないほど気持ち良くなっている自分にイく許可を与えられるのが誰なのか。今、泣きながらイくのを耐えているのでさえも、自分が彼のものだからなのだと、丁寧に教えるように一つ一つ言葉を刻み込まれていく。同時に、彼がペニスを突き立て気持ちよさを与えるのは、自分ただ一人なのだと宣言する言葉も甘やかに刻まれていく。
「ほら、ここが最奥。お前のこんな深い場所に入っていいのは俺だけだね?」
 もう言葉なんて出なくて、必死で頷きながら彼の首に縋り付く腕に力を込める。
 最奥へ到達されても、痛みはない。苦しさはあるが、イかせて貰えない方の苦しさが圧倒的で、奥へ入り込まれた苦しさは良くわからなかった。
「じゃあ、今からこの一番深い場所も、俺だけのものになろうな。俺をたくさん擦り付けて、俺の吐き出すもので汚して、俺の全部をお前の深くに刻み込んであげるから」
 意識は保ってろよと言われて、震えそうになりながらもやっぱり必死で頷いた。
 意識を保てというのは、イくなと言われているのと同義だ。だってここまで焦らされてたら、まともな意識を保ったまま達することなんてきっとできない。
 いや、そもそもこの状態で、奥を突かれてどうなるのか想像がつかない。だって一度も中イきしてない状態で、ここまで入り込まれたことがそもそも初めてだ。中イきしてたって快感が足りなければ痛かったり苦しかったりするのに。だから動かれたらやっぱり痛みや苦しさに圧倒されて、イきたくてたまらない気持ちなんて霧散するかもしれない。
「ああ、大丈夫」
 こちらの不安にはやはり気づいたらしく、優しい声が宥めてくる。
「ゆっくりやるし、お前もちゃんと気持ちよくなれるから」
 お前も一緒にイくんだよと言われて、無理だと首を横に振る。彼が言うからには、このまま突かれても気持ちよくはなれるのかもしれないけれど、そうしたら意識を保っていられない。
「何がダメ? 気持ちよくなれそうにない?」
 今、痛くないだろ? と確認されて頷けば、気持ちよくなれるし気持ちよくしてあげるから大丈夫だと、甘やかな声が脳を揺さぶった。この体も心も、彼の声で気持ちよくしてあげると言われたら、期待で興奮が増してしまうように作られている。
 そしてそれを証明でもするように、奥深くをゆっくりと突かれて揺すられる。痛くはないが強烈な快感が走るわけでもなく、じわじわとした熱が広がるみたいにゆっくりとキモチイイも広がっていく。
「ぁ、ぁっ、……だ、めっ」
「どうして? もう、気持ちよくなり始めてる」
「イ、ったら、……飛ん、じゃ」
 こちらの感情はかなり読み取ってくれるけれど、なにもかも見透かされているわけじゃないから、言わなければ伝わらないこともあると知っている。だから言葉をむりやりに絞り出した。
「ああ、意識を保てない不安だったのか」
 やっぱり甘やかな声が、大丈夫だと繰り返す。
「気持ちよさで頭の中が焼ききれるような、そんな激しい動きはしない。そういう抱き方は、今日は、しない。ゆっくり擦られながらじわじわ上り詰めるのも、浅いとこでなら出来るだろ? それと一緒。ここでそうするのは初めてだから、ちょっと時間かかるかもしれないし、焦らしまくったからどこまでキモチイイってなるかはわからないけど、でも、もしお前が何も考えられなくなったとしても、その前にはきっと、俺は全部お前のものになってるよ」
「きっと、じゃ、やだっ」
「わかったわかった。じゃあ、確実に、お前のものになってる。約束する」
 俺がイくまで絶対にお前をイかせない。なんて言ってちょっと意地悪なニヤリとした笑顔を見せられたけれど、ホッとしつつそれでいいと何度も頷いてみせた。
 ふふっと柔らかに笑われた気配の後、お前は本当に俺が好きだねと、今更過ぎる言葉が落ちてくる。どこまでも貪欲に俺の全部を求めてくれるのが嬉しいよとも続いた。
「すき。だい、すきっ」
「うん。俺も好き」
「ぅえっ?」
「俺も、好きだよ。お前が俺のものになっていくたび、自分の中にボコボコ空いてた隙間に、お前が入り込んで満たされていくみたいな感じがしてる。お前が俺のものになって良かったって、凄く、ホッとしてる」
 認めるよと続いた言葉は苦笑を含んでは居たけれど。
「俺はずっとお前が好きで、お前のことがずっと欲しかった。お前を自分のものにしたかった」
 好きだよ。認める。と繰り返されて、真っ先に反応したのは体だった。
「ぁあっ」
「ホント、可愛くて素直な体だね。お前のここが、早く俺だけのものになりたくて、俺のを注げって絞り込んできてる」
 甘い吐息に混ぜて、お前の中がキモチイイよと告げられて、たまらなくなる。
 めちゃくちゃに突かれて、頭の中が焼ききれるような激しい快感が欲しいとすら思いながら、自分から腰を揺すった。
「あ、あっ、すき、すきっ。して、イッて、きもちく、なって」
「うん。俺も好き。色々待たせてゴメンな」
 一緒にキモチヨクなろうなと言われながら、こちらの動きに合わせて奥を優しく捏ねられる。
「あっ、ああっ、や、あたまっ、しろくなっ」
「ん、いいよ。も、いいから。俺はもう全部、お前のものだよ。お前がイくのと同時に、ちゃんと注いであげるから」
 だからこのままイきなさいの言葉に押し上げられて、じわじわと広がりきっていた快楽に身を委ねた。
「ぁぁぁああ、んああっっあああ」
 頭の中が真っ白になっていても、彼を咥え込むその場所を起点に体が痙攣しているのがわかる。中で脈打つ彼のペニスからビュクビュクと精子が吐き出されているのも、ちゃんと感じることが出来ていた。

続きました→

 
 
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