二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった(目次)

キャラ名ありません。全38話。
二十歳になったから一緒に飲みに行きたいと押しかけてきた、一回り以上年下の従兄弟に散々振り回された挙げ句、絆されて恋人にする話。自称ケチでクズな社会人(視点の主)×二十歳なりたて大学生。
年が離れすぎているせいで、祖父の葬儀から祖母の葬儀まで全く接点がなく、祖母の葬儀後も法事で顔を合わせる程度の関係だった従兄弟が、ある朝突然尋ねてきて、二十歳になったから一緒に飲みに連れて行って欲しいと頼まれます。
帰りがけ、酔った従兄弟にホテルに誘われ、てっきり慣れてるのだと思い込んで据え膳を食うだけのつもりでホテルの部屋を取ったら、実は全くの未経験者だと知らされるものの、相手の抱かれたい意思の強さに流されて抱いてあげることに。視点の主に男性との経験はありませんが、女性相手のアナルセックス経験はあり。
相手が、視点の主を初恋相手だの、理想の具現化だの言い出して、そのくせ恋愛がしたわけじゃないだの、都合よく抱かれる穴になりたいだの言うせいで、かなり混乱するものの、途中で相手の恋情に気づいてしまい、視点の主側から相手を落として恋人にします。
相手が今現在の視点の主へ向かう恋情を隠すせいで、その恋情に気づくまでにかなりの文字数を費やしてしまったのと、その後もだらだらと二人の初セックスを描写してしまって長いです。
自称ケチでクズの視点の主ですが、年齢差が有りすぎるせいか、相手の献身的な想いのせいか、最終的には相手が可愛くて仕方がない状態になります。
かなり初期(8話目)に洗腸を手伝う描写があります。プレイ的な要素はないのですが、相手のお腹にお湯を注いで目の前のトイレで排泄させています。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的描写が多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 突然の訪問
2話 一緒に飲みに行きたい
3話 安居酒屋3軒目
4話 ビジネスホテルのツインルーム
5話 初めてじゃだめですか?
6話 初恋のようなもの
7話 本気なら準備を
8話 洗腸の手伝い(R-18)
9話 冷えたカラダ
10話 躊躇いながらも無意識に
11話 多分きっとファーストキス
12話 気持ちよくなりたくない
13話 正直に全部話して
14話 期待したくなるから
15話 泣き出すタイミング
16話 どうせ泣くなら腕の中で
17話 危なっかしい
18話 勘違いしたくなる
19話 割りに合わないのはどっち?
20話 恋愛感情有り
21話 いっそ落としてしまおうか
22話 恋愛できない理由
23話 一年の価値
24話 結婚する気なんて無いのに
25話 恋人にするメリット
26話 恋人にして下さい
27話 褒められたい
28話 まずはただただ気持ちよく(R-18)
29話 賢者タイム
30話 アナルを解す(R-18)
31話 指を増やして(R-18)
32話 相互にゴムを着け合う(R-18)
33話 一生懸命に欲しがられる(R-18)
34話 ゆっくりと感じていく(R-18)
35話 一緒に気持ちよくなろう(R-18)
36話 お願いイッて(R-18)
37話 可愛くて仕方がない
38話 いってらっしゃいのキス

 
 
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二十歳になった従兄弟を連れて酒を飲みに行くことになった1

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 実家暮らしではあるが、土日休みの両親と違って平日休みの仕事なので、休みの日の朝、家の中は本来ひどく静かなものだ。しかし今朝は自室を出たところですぐに違和感に気づいた。
 ぼそぼそと人の話し声が聞こえる。というよりは、どうやらリビングのテレビが点いているらしい。
 消し忘れなんて随分と珍しい。そう思いながらも、とりあえずテレビはそのままにトイレを済ませて顔などを洗う。どうせ朝食を摂りながら自分もテレビを点けるのだから、別にそのままでもいいか、という判断だ。
 あれ? と思ったのは、顔を洗い終わって水を止めた時だ。先程まで確かに小さく漏れ聞こえていたテレビの音が聞こえなくなっている。
 どういうことだと疑問に思いはしたが、それでも、リビングに誰かがいるとは考えなかった。休みだと聞いては居ないが、もし親が居るならこのタイミングでテレビを消す意味がわからないし、親が居ないのに客だけそこに居るなんて考えるはずもない。
 だから無造作にリビングの扉を開けてしまったし、どうやら自分が入ってくるのを待っていたらしい相手と思いっきり目があってしまって、相手が誰かを認識するより先にまずは驚いて悲鳴とも言えそうな声を上げてしまった。腰を抜かして尻もちをつく、なんて醜態をさらさずに済んで良かった。
「うぎゃっ」
「おはようございます。やっと起きたんですね」
 待ちくたびれた様子の、呆れた声が掛けられる。親が仕事に出る前には来ていたのだろうから、確かに何時間も待たせてしまったのだろうけれど、でも来るなんて一言だって聞いてないし、なぜここに居るのかも謎すぎる。
「おはよ。つか、え、なんで?」
 そこに居たのはけっこう年の離れた従兄弟だった。同じ市内在住ではあるが、ご近所と言えるほど近くはないし、そもそも年が離れすぎてて個人的な交流などない。なんせこちらが中学生の頃に生まれたような子だし、彼が小学校に入学したくらいで、正月に祖父母宅に集まるようなこともなくなっている。
 祖父が亡くなったあと、祖母が老人ホームに入居したせいだ。
 老人ホーム絡みで親同士はそれなりに連絡を取り合っていたのかも知れないが、年の離れた子供同士が顔を合わす機会はなくなり、祖母の葬儀で久々に顔を合わせた時には彼は中学生になっていたし、自分はもう社会人だった。中学生の彼と、祖母の葬儀で会話を交わした記憶がほとんどない。多分、軽く自己紹介的な挨拶をした程度だと思う。
 それから法事で何度か顔を合わせるうちに、多少の雑談はするようになったが、3回忌から7回忌まで4年ほど空いた間はなんの音沙汰もなかったのに。
「この前の法事で、もうすぐ二十歳だって、言ったの覚えてます?」
「ああ、そういや言ってたな」
「先日、誕生日を迎えたので」
「ああ、うん、おめでとう?」
 まさか誕生日プレゼントをねだりに来たってこともないだろう。おめでとうとは口にしたけれど、さっぱり意味がわからないままなので、語尾は疑問符がついて上がってしまった。
「その、一緒にお酒を飲みに行ける年齢になったので」
「え、ちょっと待って。俺と一緒に飲みに行きたいって話? え、なんで?」
 ますます意味がわからない。酒が飲めるようになったから、という理由で、たいして交流のない従兄弟をわざわざ誘う理由なんてあるだろうか。
「一緒に飲みに行きたい、の前に、ちょっと確認させてほしいんですけど」
「確認? 何を?」
 携帯を取り出して何やら操作したあと、画面をこちらに向けてくる。そこに表示されていた画像に、ザッと血の気が引く気がしたし、彼が何を確認したいかも察してしまった。
「これ、あなたですよね?」
 そこには趣味で上げている動画が映し出されていた。

続きました→

 
 
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夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい(目次)

夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい(Web版で3章まで読めます)
社会人と学生。年の差・体格差有り。本編8章+後日談4話。
BLに夢見てる腐男子の颯真が、ゲイ掲示板経由で襲われかけたり理想の攻め(翔)に出会ったりする話。
頼み込んで抱いてもらった後、好きになったと告白するが恋人にはなれずセフレ状態を受け入れるものの、最終的には恋人になります。
後日談は翔視点で、颯真が高校生と知って恋人にはなるが卒業まではもう抱かないという約束をしていた翔が、颯真の高校卒業を待って久々にセックスをする話。玄関で中出し。

1章 腐男子仲間
2章 豹変
3章 本当に来てくれた
4章 初めてのH
5章 忘れられなくて
6章 翔さんのトラウマ
7章 タク VS 翔
8章 卒業まで待てるから
後日談1
後日談2
後日談3
後日談4

 
 
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俺が眠らせてあげるから(目次)

CHAT NOVELさんでWeb版が3章まで読めます。
社会人と学生。本編7章+後日談3話。
添い寝やのキャストとして働く主人公のケイが、オーナーであるシュンからの依頼で、不眠が酷いという男性客(修司)を取ったら、その男性客に惚れてしまう話です。恋人エンドでキスまで。
後日談は、そんな二人が初めて体を繋げるセックスをする話。
修司視点で、自分が抱かれる側になるんだと思いこんでいた修司が、ケイを抱きます。

1章 オーナーからの紹介
2章 もっと知りたい
3章 不眠の原因
4章 友だちになりたい
5章 恋人になりたい
6章 元カノ訪問
7章 手放せないなら恋人に
後日談1
後日談2
後日談3

 
 
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夢見る腐男子は理想の攻めを手に入れたい・その後の二人の久々H1

本編数ヶ月後。颯真の高校卒業を待って久々にセックスする二人の話。本編の主人公は颯真ですが、後日談は翔視点。

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 仕事が休みの日の朝は、なるべく体を動かすようにしている。と言ってもせいぜい近所を1時間程度走ってくるだけだけれど。
 そんなわけで今朝も走りに出るつもりで靴を履いていた所、前方のドア鍵が突然ガチャリと音を立てたので、翔は驚き顔を上げた。
 とっさに頭に浮かんだのは、先日、誕生日プレゼントとして合鍵を渡した恋人の顔だったけれど、もちろんこんな早朝とも言える時間の来訪予定はない。そもそも颯真とは今日、昼前に駅で待ち合わせている。
 少し豪華なランチを奢って昨日卒業式だった彼の卒業を祝い、夕飯用に美味そうな惣菜類を買って帰ってくるのが目的だ。夜は久々のお泊りも決定している。ついでに言うなら、明日も仕事は休みである。
 卒業式当日はさすがに色々あるだろうからと、その翌日と翌々日が休めるように、かなり早くから準備していた。卒業祝いとして、泊まりでどこかへ連れて行きたいと思っていたからだ。
 しかし結局、ホテルに宿泊予約を入れることにはならなかった。なんせ、翔宅に泊まりたいというのが颯真の要望だったので、恋人としては、それを叶えてやらないわけには行かない。
 あの日の約束通り、恋人となってからはハグやキス以上の性的な触れ合いをしていなかったから、実質、恋人としては初めて抱き合う夜となるのに。翔としては、多少ロマンティックな演出をしてやるつもりだったし、颯真自身、そういうのに憧れる気持ちはあるとはっきり認めていた。
 けれど、久々に抱き合う場所はやっぱり慣れ親しんだ翔のベッドの中がいい、だとか、あのベッドに潜り込むのをどれだけ我慢してきたと思うの、なんてことを言われてしまったら、すぐにでもそのベッドの中へと連れ込みたい衝動を堪えるのが大変だった。
 頭の中では目まぐるしく颯真との記憶が巡っていたが、扉の向こうに居るのが彼だという確証はない。慌てて立ち上がり、隅に置かれた傘立てに刺さった傘を引き抜いたところで、目の前のドアが開かれる。
「ぅわっ!?」
 真っ先に驚きの声を上げたのはドアを開いた人物で、翔は脱力しつつ手にした傘を傘立てに戻した。色々と想定外ではあるが、合鍵を渡した人物が鍵を開けたのであれば、そう大きな問題はない。
「え、ちょ、何してんの?」
「何してるのはこっちのセリフだ。合鍵を使うのは構わないが、来るなら連絡くらいは入れてくれ」
「だってそれじゃ寝込み襲えないじゃん」
「んん?」
 想定外の言葉が聞こえてきて言葉が詰まる。てっきり、待ちきれなかったとか早く会いたかったとかの、可愛らしい理由を告げてくれるのかと思っていた。
「卒業したし、合鍵あるし、ならもう、寝てるとこにこっそり潜り込むしかないなって思って。まぁ、本当はもっと早く来るつもりだったの無理だったから、もう起きてるだろうなとは思ってたんだけどさ」
 さすがにドア開けた先に居るとは思ってなくて驚いたと言いながら、颯真の視線がゆっくりと、翔の姿をなぞるように上から下まで移動していく。
「もしかしなくても、走りに行くとこだった?」
「まぁ、休みの日くらいは、少し体を動かしておかないとな」
「そうなんだ。えっと、じゃあ、俺は留守番してていい? どれくらい走ってくる?」
 一緒に行きたいとこだけどさすがにこの格好で走るのはと躊躇う颯真は、昼からのデートを意識してか、普段好んで着ているカジュアル感の強いスポーツミックスコーデではなかった。前が開かれたコートからは、襟や前立てにデザインが入った白シャツや細めのコットンパンツという、スマートな装いが見えている。当然足元もカラフルなスニーカーではない。
 卒業祝いなのだからランチはコースを予約済みと言ったせいで、気を使わせてしまったのかも知れないが、見慣れない大人びた姿になんとなくソワソワしてしまう。
 大学生と思い込んで抱いてしまったが、本当は高校生と知って、せっかく恋人という関係に進んだものの行為は颯真が卒業するまでオアズケという状態に、実のところ、こちらも相当焦らされていた。颯真の手前、そんな気持ちは極力隠してきたけれど、やっと卒業したのだと思うと抑えが効かなくなりそうだ。
「翔さん?」
「うん」
 訝しげに名前を呼ばれたが、小さく頷くだけにとどめて、そっと目の前の体に腕を伸ばす。引き寄せ抱きしめた体からは、甘さのある爽やかな香りがした。
 正確には、毛先が元気よく跳ねた頭髪から漂う馴染みのあるこの香りが、香水の類ではなくシャンプーの香りだということを知っている。いつもより強い香りの中、ほのかな石鹸の香りが混じってもいた。
 先程、寝込みを襲いに来た、なんてことを言っていたから、場合によってはそのまま行為になだれ込む気だったんだろう。多分、その認識に間違いはないのだけれど、それならばと寝室へ連れ込むかは、大いに悩むところだ。

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俺が眠らせてあげるから・その後の二人の初エッチ1

本編から半年後の初挿入で修司×ケイ。本編主人公はケイですが、こちらは修司視点。

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 人間不信と深刻な不眠を抱えてどん底だった生活からすくい上げてくれた男を恋人にして半年、あっという間に半同棲じみた状態となった後は相手の手厚いサポートを受け、仕事にはなんとか復帰している。
 夜間、暗くした寝室で同じベッドに入ればやはり簡単に寝落ちてしまうけれど、日中や明かりをつけた部屋でなら、隣り合って横になっても条件反射で眠くなるような事もなくなった。
 そんなわけで、恋人として触れ合うときにベッドへ連れ込まれることも増えている。
 横向きに向かい合って寝転がる二人の距離は近く、修司の腕に緩く背を抱かれながら、ケイの手はゆるゆると修司の股間へ刺激を与えていた。その顔はひどく楽しげで、簡単に反応を示すようになった修司に、安堵と満足とを覚えているのが見て取れる。
 人間不信と不眠とを抱えるようになった原因が、恋人だった女性の裏切りだったこともあり、ケイと恋人になって共に過ごす時間が大幅に増えたあとも、二人がキス以上の行為へ進むまでにはかなりの時間を要した。その間もケイはずっと辛抱強く修司に寄り添ってくれたし、いつだって修司の抱えるトラウマを気遣ってくれたし、諦めることもしなかった。
 なぜこんなにも想って貰えるのか今ひとつ理解が出来ないものの、その想いは疑いようもなく修司へと向かっていたし、なんともありがたいことだと思う。だからこうして腕の中、興奮やら期待やらで薄っすらと頬を染めながら楽しげに股間を弄ばれていたって、胸の内は安堵と愛しさで満ちている。
「ね、修司さん、お願いがあるんだけど」
 こういう場面でケイが口にする「お願い」は、新しい何かを試したい場合が多い。既に経験済みの行為をねだるなら、お願いなどとは言わずに、はっきりして欲しい行為を口に出すからだ。
「いいよ、言ってみて?」
 彼がしたいと望むことを、出来る限り叶えてやりたい気持ちは大きい。とはいえ、トラウマのせいで思うようには行かないことも多いのだけれど。なんせ、触れたいという望みはすぐに叶えられても、彼の手に反応するようになるまでには結構な時間を要した。
 反応しない体を申し訳なく思う修司を気遣ってか、不快なわけじゃないならそれだけで嬉しいのだと笑うケイの強さに、どれほど救われたかわからない。
「その、……っ」
 緊張の滲んだ声を喉につまらせる様子を見て、どうやらケイ自身が難しいと思っている「お願い」らしいと思う。その予想はきっと外れないだろうけれど、最初から上手く行かなくてもいいのだということも、既に共通の認識になっているはずだ。
「すぐには叶えてあげられないかもしれないけど、ケイくんの望みは知っておきたいし、叶えてあげたい気持ちはちゃんとあるよ?」
「それがわかってるから、ちょっと言いにくいのもあるというか」
「ん? どういうこと?」
「俺のためにって無理して欲しいわけじゃないってのだけ、先に言っときますね。生理的に無理って思うなら、そう言って下さい」
「ああ、なるほど」
 生理的に無理ならという言葉で、だいたいの想像がついてしまった。ついにそれを言われる日が来たと言うべきかもしれない。
「体を繋げるセックスがしたくなった?」
「う、あ、はい。てか、修司さんも、俺といつかはそうなるつもり、ありました?」
「ケイくんがしたいって言い出したら、応じるつもりは最初からあったよ。だからこの先、ケイくんがどこまで俺としたいって思うかはわからなくても、やり方を調べるくらいのことはしてる」
「それ、調べた上で応じられそうと思ったって、思っていいの?」
 お尻の穴を使う事に生理的な嫌悪感は本当にないですかと再度確認されてしまったが、随分と真剣な顔をしていたから、彼にとっての最重要項目はそこなのだなと思う。まぁそれも当然かも知れないけれど、出来ればどこを使うかではなく、自分よりも断然可愛らしい容姿の年下男性に押し倒される葛藤の方を考慮して欲しかった。
「嫌悪感はないし、覚悟もまぁ、出来てるよ」
「え、覚悟?」
 不安そうに曇った顔に、余計なことを言ったかも知れないとは思ったが、でも全くの覚悟なしに応じられるようなものではないこともわかって欲しい。
「そりゃ、いくらケイくんが相手でも、覚悟もなしに抱かれるのは無理だよ」
「えっ?」
「えっ?」
 随分と驚かれてしまったことにこちらも驚いて、しばし二人見つめ合った。どうやら盛大な勘違いをしていたことにはすぐに気づいて、なんとも気恥ずかしい。
「あー……その、抱いてっていうお願いとは思わなくて……」
「いや俺も、抱いてってお願いする気はなかったから、間違いではない、です」
「あれ、やっぱり俺が抱かれる側?」
「じゃなくて。その、俺が、自分で、抱かれようと思ってたと言うか」
「え?」
「修司さんが汚いから嫌だって言わなかったら、これ、俺の中に入れてみてもいいですかって、聞こうとしてたんですよね」
 ここまでのやりとりでだいぶ萎えてしまった股間をゆるりと撫でられて、なるほどと思う。なるほどとは思ったが、それを当てるのはきっとどう頑張っても無理だった。そんな事を提案されるなど、欠片も考えたことがなかった。
「その発想はなかったな。普段の言動からして、てっきり、俺が抱かれる側になるんだと思い込んでた」
 元々ケイがキャストとして働いていた添い寝屋は女性専用の店だし、男の修司が客として対応してもらえたのは、その店のオーナーが学生時代から何かと構ってくれていた先輩だったからという、少々特殊な事情がある。
 そこで培った経験は修司との付き合いの中でも大いに発揮されているようだったし、修司のほうが4つも年上だというのに、あらゆる場面でスマートにリードされてしまって、どれだけ可愛い顔をしていたってそこにいるのは自分と同じ男で、しかも自分よりもずっと恋人を甘やかすことに手慣れているのだと感じることは多かった。相手の理不尽な我儘さえも受け入れ従うことは、恋人を甘やかすのとは全く違うのだと、思い知らされても居る。
 年齢的には修司のほうが上だけれど、男としては相手の方が完全に上な気がしていたし、女のように扱われこそしていなくても、躊躇いもなく可愛いと告げられることもあったから、いずれ体を繋ぐような行為をすることがあったら、間違いなく自分が受け入れる側を求められるのだと疑いもしなかった。
「うっ、それは、すみません。でも、修司さんの安心しきった寝顔とかホント可愛いし、それに俺も男の人と付き合うのは初めてで、甘え方がわからないというか、どうやったら手ぇ出して貰えるのかわからなくて、結局、自分から手ぇ出しちゃうっていうか」
 羞恥からか顔を赤くして、しどろもどろに言い募る様が可愛くて、同時に申し訳なくも思う。
「受け身すぎてゴメンね。俺がケイくん任せにしすぎるせいで、抱いて欲しいなんて、言えなかったよね」
「それはいいんです。修司さんのそういうとこに付け込んでる自覚はあるし、修司さんが俺がしたいって言うこと受け止めてくれようとするの、俺のこと好きって思ってくれてるからだってわかってるし、負担にならないように気をつけなきゃとは思うけど、もっと俺に積極的になって欲しいとは思ってないです。大丈夫。そういうとこも、俺にとっては修司さんの魅力の一つです」
 一転して熱心に語ってくれるそれは、紛れもなく彼の本心なんだろう。本当に、ありがたいことだと思う。彼と出会わせてくれた先輩には、感謝してもしきれない。
「それでその、どうですか? 試してみても、いい?」
 また少し口ごもりながらも期待を込めた目で見つめられ、ダメだなんて言うはずがない。
「それはもちろん構わないんだけど」
「だけど?」
「その、抱いてっていうお願いでも、俺は嬉しいよ?」
「う、あ、その申し出はありがたいんですけど、それは俺の方の覚悟がまだ出来てないと言うか、その、上手く出来なかったときのダメージがかなりデカイんで」
「ああうん、そうだ。確かに」
 最初から上手く繋がれる保証はどこにもないどころか、失敗する可能性のほうが高いんだった。
「気持ちだけじゃどうにもならないことが多くてままならないなぁ」
「抱いてあげたいって思ってくれただけで、めちゃくちゃ嬉しかったんで、今はそれで充分です。でもいつか、抱いて下さい」
「それは、もちろん」
 じゃあもう1回大きくするところから始めますと笑いながら、股間に当てられた手が動き出す。目の前にあるオレンジがかった柔らかな前髪を後ろへ向かって梳くように撫でて、現れた額にそっと口づければ、んふふっと小さな笑いだか吐息だかが漏れ聞こえてきた。

続きました→

 
 
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