弟の親友がヤバイ(目次)

キャラ名ありません。全10話。
弟の親友(高3)×社会人(視点の主)。5歳差。
弟とその親友が中学2年の時に、弟に手を出さないようにと釘をさしつつ軽く手を出した(手コキした)ら、弟の親友に恋されてしまった話。
親友がその恋を拗らせまくって、主を縛って手や口でイかせようとしたり、脅して抱こうとしたりして失敗。
弟から真相を聞いた主が、結果的には親友と恋人になります。

下記タイトルは内容に合わせた物を適当に付けてあります。
エロ描写は控えめで挿入はなしですが、それっぽいシーンが含まれるものにはタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 四年ぶり
2話 気付けば拘束
3話 勃たない(R-18)
4話 抱かれる覚悟
5話 翌朝・弟来襲
6話 弟に話す
7話 弟に聞く
8話 弟の親友と話す
9話 ホテルチェックイン
10話 恋人に(R-18)

恋人になった二人が初エッチする続編が出来ました。
続編 親友の兄貴がヤバイ

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

弟の親友がヤバイ10(終)

1話戻る→   目次へ→

 相手の手の中に握られた自身の性器は先走りをこぼして、擦られるたびに微かに湿った音を立てている。
 ハッハッと漏らす荒い息を、塞いでくれるキスはとっくに忘れ去られて、熱を孕んだ目がジッと自分を見つめていた。
 自分は今、彼が何度となく繰り返しただろう彼の中の自分と、どの程度の差違を持って痴態を晒しているんだろう。
 観察するようなその目が少し怖い。しかし目を閉じて逃げる気にもなれない。結果黙って見つめ合うばかりだった。
 達するには足りなくて、でも落ち着いたり萎えたりする隙の一切ない刺激に、じわじわと追いつめられていく。
「っ、…ぁ、も、イきたい、……かも」
 なんだか情けないかもと思いながらも、より強い刺激をねだった。
 小さく喉を鳴らしながら軽く頷いた相手が、手の動きを加速させる。強まる刺激に、あッアッとこぼれて行きそうな声を、聞かせるべきなのか飲み込むべきなのか。
「声、聞かせて下さい」
 良くわからないまま噛み殺していたら、単調なくせに熱っぽい相手の声に促されて、それならと求められるまま口を開いた。
「あッ…ああっ……いい、キモチぃ」
 イッちゃうよと訴えたらやっぱり無言で頷かれたので、そのまま相手の手の中に果てる。
 吐き出してしまうと一旦冷静になるのは仕方がなくて、ああやっちまったという思いと、彼の手でイけて良かったと安堵する気持ちとが、胸の中で交錯した。
 そんな中、相手は手の中に吐き出されたものをマジマジと観察していて、終いには鼻を近づけてクンと匂いを確かめた後、更に舌を伸ばそうとしている。
「待って待って待って」
 慌ててその手を掴んで、顔の前から引き剥がす。
「うん、あの、興味わからなくないんだけど、精神的にクるから舐めるのはちょっとなしで」
「それ、割と今更じゃないですか?」
 昨夜貴方の舐めてますけど、という声に出されない言葉が聞こえた気がした。
 手を舐めるのがダメなら、下のを口で綺麗にしてもいいですかと言われて、喉の奥に言葉が詰まる。
「嘘です。無理言ってすみません」
「いや、良いんだけど。良いんだけど気持ちの準備がね。というか、先に聞かせてよ。ちゃんと君の手でイッたけど、君の気持ちはどうなった?」
「吐き出されたものを舐めたいとか、イッた後のしゃぶりたいとかって気持ち悪い欲求が、抑えきれずに漏れ出る程度には、貴方が好きなままですが」
「ちょっ、取り繕う気ゼロ!?」
「まぁ、それなりに満足は出来たんで、無理して受け止めてもらわなくても良いかなとも思いまして」
 後々やっぱ無理って振られるより、これで終わりにしたほうが楽かなって気もするんですよねと、自嘲気味に笑うから思わず引き寄せて抱きしめた。
「あのね、俺の受け止めるって覚悟の程度を、勝手に決めつけて諦めないでくれる? 大丈夫。ビックリしたのと恥ずかしいのとでやめてって言ったけど、口での愛撫とか全然普通だから。どうしても手に吐き出されたものを舐めたいんだってわけじゃないなら、こっちの希望としては、今度する時は口でして。そしたら口の中でイくから、飲みたかったらそれ飲んでよ」
「けっこう凄い事言ってますけど、自覚あります?」
「ダイジョブ。わかってる」
 まぁ顔は間違いなく赤くなってるから、もう暫くこの腕の中にいて貰うけれど。
「俺、貴方を抱きたいって、思ってますけど」
「え、それこそ今更だろ。知ってるよ」
「こんな年下の男相手に、処女散らされても良いんですか?」
「ちょっ、処女って!!」
「あいつに聞きました。男の恋人、いた事ないんですよね?」
「ちょっと色々筒抜け過ぎて怖いんだけど」
「責任感と罪悪感、ですよね。俺なんかに抱かれるの了承したのは」
「責任感や罪悪感で抱かれるんじゃ嫌だってなら、もう少し待ってよ。俺が、君に、恋をするまで」
 腕の中の体が驚きのあまり硬直するのが分かった。だから宥めるようにその背を擦りながら、多分きっとすぐだよと、なるべく柔らかで優しい響きになるよう心がけながら告げる。
「君が持つ恋とはきっと違う。厳密には恋とは呼ばない想いかもしれない。でも俺はさっき君を確かに可愛いと思ったし、今も君を抱きしめながら可愛いなって思ってる。そして、俺を好きだと言ってくれるなら、やっぱりその想いには応えたいって思うんだ」
 腕の中の彼は、考えるように黙ったままだ。
「貴方が、好き、です」
 やがておずおずと告げられた告白に、頬が緩むのを自覚する。
「うん」
「俺と、付き合って貰えますか」
「もちろん。これからは、恋人としての俺を、宜しく」
 言えば、こちらこそよろしくお願いしますと、やや緊張の滲む固い声が返ってきた。

<終>

続編1話へ→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

弟の親友がヤバイ9

1話戻る→   目次へ→

 家には弟がいるし、男二人でしかも片方は高校生でと考えたらラブホなんてもってのほかで、結局近くのビジネスホテルのツインルームにチェックインした。
 なんでこんな所に来たかといえば、考えた末に出された彼の答えが、もう一度触れてみたいだったからだ。酷くしなければ本当に反応してくれるのか確かめたいそうだ。
 受け止めて応じる気があるなんて言葉を重ねるよりも、確かに手っ取り早くてわかりやすい。反応しないという事実に打ちのめされていた彼には、反応するという事実を突きつけてやるほうがきっといい。そう思ったから、良いよと返して連れてきた。
 もう一度触れたいと口にした彼も、まさか即座にビジネスホテルに連れ込まれるとは思ってなかっただろう。黙って後ろをついてきているが、背中に彼の緊張がはっきりと感じ取れる。
 部屋に入ってからは、交互にシャワーを使った。彼の手でイきさえすれば良いのかもしれないが、また口でされてしまう展開も多少は意識していたからだ。
 潔癖というほどではないと思うけれど、そんな場所を口にするのに綺麗に越したことはない。男が男のという部分で、行為に自分自身を重ねてしまいがちだからだろうか。萎えたら困るこの状況で、心理的な抵抗感は少なければ少ないほうが良かった。
 ホテル備え付けの簡易な寝間着を揃いで着て、片方のベッドに二人して潜り込むと、状況の異様さになんだか笑いたくなってくる。緊張すると笑ってしまうタイプなので、多分これは自分も相当緊張している。
「さっきからニヤニヤして気持ち悪いんですけど」
 そう思った矢先に、不機嫌な声が掛けられて苦笑するしかない。
「酷っ。緊張してんだよ、これでも」
 緊張すると笑っちゃう系なんだと言ったら、緊張すると怒ったみたいになる系ですと返ってきたから、今度は本気で笑ってしまった。ますますムッとした顔になったが、多分そっちも、ますます緊張したわけではないだろう。
「ごめん。可愛いなって、思った。後、おかげで少し、緊張ほぐれた」
「可愛い、ですか?」
「うん、可愛いよ」
 不信気な顔と声に、躊躇うことなく可愛いと返してやった。
「というわけで、キス、しようか」
「えっ?」
 本気で驚いた顔をするから、ますます可愛いなと思う。まぁ若干自己暗示的な部分もあるけれど。でも可愛いという気持ちが間違いなく湧いたことに安堵していた。
「俺が反応するの、確かめたいんだろ?」
「キス、で……?」
「正確には、君の想いに、反応する」
「想い……」
「復讐してやる、じゃなくてさ。できれば、俺を好きになっちゃった方の気持ちで、キスして欲しいかな」
 どう? と聞いたら、少し困ったような顔をされたけれど、そのままその顔が近づいてゆっくりと唇が触れた。
「もっと。全然足りない。もう一回」
 軽く触れただけであっさり離れていく唇に向かって、誘いをかける。
 その後もこちらが誘えば、誘った分だけ律儀にキスを繰り返してくれた。けれど一向に深くなる気配はない。そんな所に、相手の躊躇いや困惑や恐れや初心さを感じずにはいられない。
 それでも繰り返した分だけ、少しづつ変化は起こる。こわごわと掠めて行くキスが、柔らかに押し付けられるものになって、やがて離れ難いと言わんばかりに最後軽く吸われるようになった。
 その焦れったいまでの緩やかな変化に、こちらもゆっくりと煽られていく。きざし始めた股間に相手の手をそっと導いてやれば、躊躇いながらもぎこちない指先が、変えた形をたどり始める。
 性感を煽ろうとする意志よりも、何かを確かめたがるような、その手の動きがもどかしい。
 はぁ、と熱い息を吐き出せば、ようやく誘う前に口が塞がれ、相手の舌が口内に伸びてきた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

弟の親友がヤバイ8

1話戻る→   目次へ→

 弟と幸せにと丸投げした方が、彼にとっても幸せなのではと思う気持ちはもちろんあった。弟が彼を想う気持ちは本物だと思うし、あの弟ならば傷付いた彼を幸せにも出来そうな気がする。
 ただそこには兄としての欲目や、弟の恋を応援したい気持ちやらも当然含んでいるだろう。更に言うなら今回の件の発端が弟で、そこに至る原因が自分にあるなら、責任を取るのは兄である自分の方だという気持ちもある。
 しかし責任という気持ちは、余計に彼を傷付けないだろうか?
 彼に対して恋愛感情が湧くかと言えば正直かなり微妙だ。それでも、同情だったり罪悪感だったり責任感だったりが根本にあろうと、もしまだ本当に自分を求めているというなら、彼の想いに応じてやりたい気持ちも嘘ではなかった。
 というところまで考えて、そういや弟の話しか聞いていなくて、彼自身からは復讐としか言われていない事実に気づく。弟の話を鵜呑みにしていたが、彼自身に別の思惑はないのか、そもそも弟の計画に乗って告白する気があったのか、恋人になりたいという気持ちがあるのか、まずはそこを確かめるべきじゃないのかと思った。
 応じる方向で彼と直接話しをしたい。まずは誤解をといて、それから彼の本心を自分の耳で聞きたい。そう弟に告げに行ったら、弟は笑ってそう言うと思ってたと言った。兄さんってやっぱり結構チョロいよねと続けられたのには少し納得がいかない。
 もし自分が彼に応じるとして、それで弟は構わないのかという疑問に対しては、彼の想いを応援したい気持ちがなかったらこんな計画は立ててないし、もっと早い段階で普通に口説いてたよと返されて納得した。
 自分が悩んでいる間ずっと彼と何やら連絡を取り合っていたらしい弟は、ものの数分で駅前のカラオケに呼び出しを完了し、これ以上泣かせたら許さないからねと釘を差しつつも自分を送り出してくれた。一緒に行く気はないようだ。
 カラオケ店の前で待つこと数分、やってきた彼は黙ったまま軽く頭を下げる。どうしたって気になってしまう目元はまだ少し赤いままで、顔色はあまり良くなく全体的にどこか疲れた様子だった。
 取り敢えず入ろうと促した言葉にも黙って頷くだけの彼を連れて入店したが、もちろん歌いに来たわけではないので、部屋に入っても機器類に触れることはしない。
「まず、一番先に言っておきたいんだけど、俺は別に弟を恋愛対象にはしていない。可愛いけど、大事な弟ってだけだ」
 小さな部屋の中、テーブルを挟んで向かい合って席につき、少し気まずい沈黙が流れた後で口を開いた。
「聞きました」
 彼の様子に、会話が出来るかを危ぶんでいたくらいだったので、はっきりと発せられた声にまずはホッとしてしまう。
「彼が貴方に何を話したか、貴方がなんと答えたか、多分、ほぼ全て聞いてます」
「そ、そうか」
 何やら連絡を取り合ってた中身がそれだったんだろうというのはわかったが、だったらそれも送り出すときに言っておいて欲しかった。
「でも俺は、弟を信じてはいるけど、盲信してはいないんだ」
「盲信、ですか」
「そう。弟からの情報だけじゃ全然足りない。というか、弟の話は補足的なものであって、俺が直接君から聞いてるのは、復讐って言葉と、後は弟に手を出されたくないなら抱かれろって脅迫だ」
「確かに」
「始めっから、俺を脅迫して抱くつもりだった? それとも、俺が素直に君の手でイかされてたら、弟の計画通り告白する気だった?」
「告白する気は、ありましたよ、一応。でも何しても、手だけじゃなくて舐めてすら反応がなかったから、その時点で色々絶望しました」
「いやだからそれ、酷いことされたら萎えちゃう系なんだってば」
 言ったら少し険しい顔になって睨まれる。ああまだそんな顔を向けてくる気概が残っていて良かったと、やはりまた少し安堵した。
「でも俺は、逆の立場で貴方にイかされてるんです」
「穴があったら入れたい盛りの男子中学生と、仕事で日々ヘロヘロになってる社会人とを一緒にするなって」
 苦笑しつつ続ける。
「本当に、幼い君に、酷いことをしたと反省してる。だからその結果の恨みも、生まれてしまった恋心も、君がまだそれを望むならだけど、受け止めたいと思ってる」
「恨みも?」
「そう、恨みも」
「絶望して、すんなり脅迫してでも抱いてしまえって発想が出てくるくらいには、エグい妄想もかなりしてきてますけど」
「うんまぁ、それは、わかってる」
 言えば相手は少し驚いたように目を瞠った。
「本当ですか? あいつの中の俺、けっこう美化されてますよね? その俺に同情したから付き合ってやろうって話じゃないんですか?」
 美化されてるって自覚あるのかと思ったらなんだか笑いそうだった。笑ってしまうのを堪えて、コホンと一つ咳払いしてから口を開く。
「あーうん、それは違う、かな。いやあいつの目を通した君の姿に、罪悪感煽られまくったのはあるから、それも一つの要因ではあるけど。でもさ、あいつが知らないことがあるってのも、話し聞いててわかってるし」
「あいつが知らないこと?」
「あの日、俺がどんな言葉で君を責めたか、弟は知らなかった。君に脅迫されたと言ったら、あいつ凄く驚いてたし。君たちは親友で、かなり色々と深い部分まで話をしているみたいだけど、でも弟が全てを知っているわけじゃない。あいつだって、君にあいつ自身の全てを見せているわけじゃない」
「それは、まぁ、確かに……」
「だから俺は、君自身の言葉を聞きに来たんだよ。弟から大体の事情は聞いた。君の気持ちも弟経由で聞いた。でも、君自身からは、復讐したいとしか聞いてない。今の君の気持ちはどうなってる?」
 そんなことを聞かれると思っていなかったとでも言うように、彼は口元を隠すように手を当てて考え始めてしまった。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

弟の親友がヤバイ7

1話戻る→   目次へ→

 順番に話すねと言った弟の最初の話題は、やはり中二のあの時期のことだった。
 手を出してしまった直後くらいからだろう。急によそよそしくなって、家に呼んでものらりくらりと躱されて、問い詰めたら「お前の兄さんを好きになったゴメン」と謝られてビックリした。という最初の所で、さっそく待ったをかける。
「好きになった? その段階で? あんな目に合わせた相手をか? 嘘だろ?」
 疑問符ばかり飛ばす自分に、弟の罪だよね~という言葉と苦笑が突き刺さった。
「まぁ、好きになったっていうか、性癖を自覚させられた、ってのが正しかった気もするけど。あいつ女ダメみたいだし」
 後はショックで好きだと思い込んだ可能性とか? と続けてくる弟の言葉が胸に痛い。ちょっと脅しておこう程度の軽い気持ちで、本当に、随分と酷いことをしてしまっていた。
「それで俺さ、兄さん好きでもいいから友達やめないでって頼んだの。家に遊びに来てとは言わないから、これからも一緒に遊んでってさ」
 そうして普段は普通に親友として過ごしていたらしいし、彼の想いにわざわざ触れることもなかったようだが、でも色々気付いていくよねと弟は少し重めのため息を吐いた。
「高校入ってから、あいつかなりモテだしたけど、でも全部きっぱり断ってたし。断る理由が好きな人いるからだし。たまに俺が兄さんの話とか出すと凄く楽しそうに聞いてるし。でさ、聞いちゃったの」
「何を?」
「今もまだ兄さん好きなの? って」
 しかも肯定とやっぱり謝罪の言葉とを出されて、兄の何がそこまで彼を惹きつけるのか、気になって相当しつこく聞いたらしい。
「それでようやく聞いたのが、兄さんに手コキされてイかされたのが忘れられないとか、なんじゃそりゃだよ」
 頭にきてその話聞いた日に一回兄さん殴ってると言われて、いつだったか八つ当たりみたいにして殴られたことがあったのを思い出す。珍しい癇癪起こして理由も聞けないままだったが、まさか原因がこれだったとは思わなかった。
「その頃には俺も自分があいつを、親友ってだけじゃなく、そういう意味でも好きなんだろうって自覚あってさ。というかそんな理由で兄さん好きになってんなら、俺で良くね? って思うよね」
 これもう完全に、自分が手を出した事が発端で、弟がそっちに目覚めた系だと頭を抱える。
「ほんっとーにすまなかった」
「え、それ、何に対する謝罪?」
「色々だよ。お前の親友どころかお前まで男に恋愛感情抱くようになったとか、これもうどう償っていいかわからないレベルで動揺してる」
「いや別に、そこはどうでもいいって」
「どうでも良くない」
「だって兄さんが手ださなくたって、あいつの性癖は多分変わらないし、女は好きにならないと思うし、あいつが男ありってわかってたら、俺はやっぱりあいつをそういう方向で好きになっちゃうもん。それどころか、あいつが男なしだったとしても、好きになってたかもしれないし」
 すげーいい奴なんだよと語る弟に、わかるよと返した。弟があの男を特別に思っていて、大好きだなんてことは、昨日の二人を見ていたら疑う余地もない。ただそこに、恋愛感情まで含まれているとは、流石に思ってなかったけれど。
「話戻すけど、手コキされてって聞きだした後くらいからは、まぁそれなりにぶっちゃけた恋愛相談的なこともしてたわけ。兄さん好きって気持ちと、でもやっぱりそれなりに恨む気持ちとはあるでしょ。まぁ恨む気持ちがあるって自覚させたの俺だけど」
「はい待って。恨む気持ちを自覚させた? お前が?」
「まぁね。だってあいつ、自分の気持の整理もしないで、闇雲に兄さんの影追っかけてたからね。酷いことされたって自覚あんまりなかったからね」
 自己防衛かもねと言って弟は続ける。
「じゃあなんであいつ家来なくなったの? 兄さん好きならむしろ会いに来ればいいじゃん。それしないの兄さんに怯えてたからじゃん。好きって言いつつ怖かったんじゃん。あいつは兄さんにもっと怒っていい。ってのをけっこう時間かけて自覚してもらった」
「なんとなく読めてきたけど、昨日の復讐って、やっぱお前の発案?」
「え、ちょっとそれ、ネタばらし早くね?」
「何年お前の兄貴やってると思ってんの。あーでもまぁ、ちょっと納得できる部分もある」
 なんか全体的にアンバランスで、復讐と言いつつもすぐ泣きそうになっていた。
「ちなみに兄さんの手縛ったのは俺。色々考えてたけど、ソファで寝てくれて本当良かったよ。一応気は使ってタオルとか巻いたの正解だったっぽいね」
 弟の視線が手首に注がれて、そういやかなりガッチリ拘束されていた割に、痕などは残っていないことに気づく。
「そりゃどうも。で、復讐って何させるつもりで、本来の落とし所ってなに? あいつに俺を抱かせることまでは考えてなかったんだろ?」
「基本やられたことはやり返す。だから兄さんむりやりイかせるのだけが目的だったよ。まさか勃たないとか思ってなくて、完全に想定外。あいつめっちゃテンパってたと思う」
 それはどうかな。とは藪蛇になりそうで口にしなかった。
 弟はあの日自分がどんなセリフを掛けながら彼に触れたのかまでは聞いていない。弟の計画に乗って、それ以上のことをしようと考えていた可能性はあると思う。そうでなければ、弟に手を出されたくないなら抱かれろなんて話がサラッと出てくるとは考えにくい。
「一応聞くけど、それ成功してたら、その後どうするつもりだった?」
「告白?」
「誰が誰に?」
「あいつが兄さんに。てか、振られたって言ってたから、告白はもうしたんだって思ってた。正直、兄さんがその場でOKするかは五分くらいの確率って俺は踏んでたんだよね。それはあいつにも言ってあった」
「その数字、どっから出てんの」
「弟として過ごしてきた時間から? てかさ、俺の計画では、兄さんがあいつにむりやりイかされるじゃん? でもってあいつが、昔やられた事が忘れられなくて好きになりましたって告白するじゃん? 兄さん絆されてOKするか、ゴメンちょっと考えさせてって反応かなと思ってたの。でもって俺に相談してくると思ってた。泣くほど酷いフラレ方になる想定はゼロだった。おかげですげー焦って、兄さんじゃなくて俺にしなよとか言っちゃったの本当に下手うった。まさか二人の間で、俺に手を出す出さないなんて話が出てると思ってなかった」
 弟は酷く苦々しげに言い募る。
 後半部分は独り言のような愚痴に近いが、前半部分は確かに、そういった流れで告白されてたら、抱かれる覚悟まで決めたくらいだから告白を受け入れてたかもしれないし、さすがにちょっと待ってと保留して弟に相談していただろう可能性も高いなと思う。
「あー……まぁ、お前の読みは間違ってないよ。勃たなかったけど」
「そこは正直頑張って欲しかった」
「無茶言うな」
「でさ、あいつ確実に兄さんが俺をそういう意味で好きって誤解してるけど、どうしよう?」
「それ、俺に否定しに行けって言ってんの?」
「言ってる。てか兄さん的には今の話聞いててどうなの? あいつの気持ちに応えてやろうって気が少しでもある? それとも俺と幸せになってねって感じ?」
 さすがにすぐに答えられなかった。
「俺と幸せにってんでもいいけど、誤解といた上で、俺とのことに反対しない祝福する応援するくらいの事は言ってもらうからそのつもりで」
「うっ……わかって、る。けどさすがにちょっと、考えさせてくれ」
 適当に答えられるよりいいけど、でもなるべく急いでと言って弟は立ち上がる。
「あんな状態、ちょっと放置してたくないから」
 思わずそうだなと同意すれば、弟の表情が少しだけ和らいだようだった。
 取り敢えず部屋戻るけど、気持ち決まったら声かけてと残して、弟はリビングを出て行った。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁

弟の親友がヤバイ6

1話戻る→   目次へ→

 先に昨夜何があったか聞かせてと言われて、渋々と話し始める。
 気づいたら手は拘束されてて、復讐だと言って弄られたけど、何されても勃たなくてとまで言ったら、インポなの? という言葉が早速飛んできた。発想があいつと一緒で苦笑する。
「俺、酷いことされたら萎えちゃう系なの」
 だから同じセリフを返してやった。
「えー何それ聞いてないんだけど」
「なんでお前に知らせなきゃいけないんだよ、そんなの」
 というかそんなの、自分だって昨日はじめて自覚したわ。
「あーでもそれか。そこかー……勃たない想定なかったー……」
「それとかそことか何?」
「こっちの話。後で話すからそっちの続き」
 ほら早くと急かされてため息を吐いた。
「でまぁ、泣きそうになってるからちょっとくらい付き合ってやってもと思って、復讐って何したら完了なのって聞いたんだよ」
 で色々あって抱かれることになったんだけど、と続けたら、今度はぎょっとした顔で抱かれたの? と茶々が入る。
「俺が風呂使ってるうちに気が変わったってよ。萎えたからもういいって言われてシャットアウトで終わり」
「てか、抱かれるのオッケーして風呂まで入ったのは事実なの?」
「事実だな」
「ちょっとくらいで抱かれるまでする? 兄さんビッチ説?」
「色々あったって言ったろ! なんだビッチ説って」
「同情とか?」
「違う。あー……まぁその、脅迫されて?」
 また弟の目が大きく見開かれた。
「脅迫? あいつが?」
「そう。まさに脅迫。てかあいつは俺が何言ったら頷くかはっきり知ってたよ」
「何言われて頷いたの」
「俺の弱点はお前」
「え、俺?」
「そう。お前に手を出す代わりにって言われた」
 弟はえええーと戸惑いの声をあげつつ、何やら渋い顔で考え始めてしまう。
 目の前に置かれたカップを手に取り、中の紅茶を一口すすった。リビングに入ったら既にテーブルの上に用意されていたそれは、もちろん弟が淹れてくれたものだ。弟の気遣いと暖かさが胃に染み渡るようだった。
「あのさ、まさかと思うんだけど、昔あいつに手を出したのも俺絡みなの?」
「あー……」
「マジか。てかやられた内容は聞いたけど、なんでそんな事になったかは教えて貰えなかった。てわけで、はい、聞かせて。昔あいつに何言ったの?」
「いや、それはちょっと……」
「俺に言えないような酷いこと言ったんだ」
「ざっくり言うと、弟には手を出すな」
「な、ん、で!?」
 驚きと怒りとを混ぜた弟が、強い口調で問いかけてくる。
「いやだって、あいつ絶対お前狙ってると思ったし、お前が男にどうこうされんのなんて冗談じゃないぞと思ったし……」
「俺今かなり、余計なことしやがってって思ってるんだけど。兄さんが余計なことしないでほっといてくれたら、俺たち普通に惹かれ合って恋人って可能性あったんじゃないのこれ?」
「だってお前があいつを恋愛的に好きなるとか思わないだろ。てかその時点でのお前、俺に隣のクラスのなんとかって女子が気になるって恋愛相談してたからな?」
「ああああそーか、その時期だった確かに」
 あいつに避けられだして、気になる女の子どころじゃなくなったんだったと言われて、まさか自分が手を出したせいで弟がそっちに目覚めたんだったらどうしようかと、内心焦った。
「で、兄さん的には、自分の体差し出してでも、俺をあいつから守りたかったわけ? 一応聞くけど、俺とセックスしたいとか思ってないよね?」
「思ってねぇよ!」
 大事な弟だけどセックス対象なんかにするか気持ち悪いと言ったら、まぁそうだよねとあっさり返ってきた上、今フリーだけど普通に彼女もいたもんねと続いた。
「そういや男の恋人いた事ってあるの?」
「ない」
「てことは兄さん処女じゃん? よくそれで抱かれるのオッケーしたよね、マジで」
「処女言うな。脅迫されて頷いたけど、でもまぁ、自業自得って気持ちも強かったよ。子供に手ぇ出したのは紛れもない事実だし。あいつメチャクチャモテそうなのに、復讐で親友の兄貴抱きたいとか、すっげー人生狂わせた感あるだろ。なんかもうそこまで恨まれてるなら仕方ないかなって思ったんだよ」
「まぁ完全に裏目に出てるけどね。あいつ絶対、兄さんにそこまでさせる俺に、敵うわけ無いって思って身を引いたよね」
「そう、それ。俺は復讐としか言われなかったけど、お前から見るとどうなってんの。恋させたって何? あいつ、まさか俺を好きだったりすんの?」
「そのまさかだよ」
 弟は少し呆れた顔をしながら言って、彼が家に来なくなってからの数年について話し始めた。

続きました→

 
 
*ポチッと応援よろしくお願いします*
にほんブログ村 BL短編小説/人気ブログランキング/B L ♂ U N I O N/■BL♂GARDEN■


HOME/1話完結作品/コネタ・短編 続き物/CHATNOVEL/ビガぱら短編/シリーズ物一覧/非18禁