無表情トレーナーは変態でした・直後の二人1

本編ほぼ直後。仲直りエッチの続き。鏡に写して、お尻だけでイクとこ見せて的な内容。本編の主人公は山瀬ですが、後日談は川瀬視点。

目次へ→
 
 ゆっくりと腰を前後させるたび、ひっ、ひっ、と小さな音混じりの息があがり続けている。気持ちよく喘いでいるというよりは、泣き声のようにも聞こえるそれに、腰の奥が甘く痺れるようだった。
 上体を伏せて、川瀬に支えられた腰だけを突き出すように持ち上げた体勢だから、顔が見れないのがなんとも残念だ。
「ひっ……ん、……ぁ、ァ、」
 泣きそうな息に、少しずつ色のある声が混ざりだす。また目の前の体が絶頂へ向けて登っていくのがわかって、ゆるやかな腰使いはそのままに名前を呼びかける。
「正志さん、また、気持ちぃの来そうですか?」
「ん、ぅん」
「顔、自分で上げれます?」
 声はしっかりと届いているらしく、上体を起こそうという素振りは見えた。けれど既に相当疲れているからか、持ち上がることなく再度顔がシーツに押し当てられる。
「じゃあちょっと、俺も手伝いますね」
 腕を引いて起こしますと説明しながら、片手は腕の付け根近くを、もう片手は腹を支えるように腕を回して上体を起こさせる。最後は両脇に腕を差し込んで、腕を挟み込むように固定して支えた。いわゆる羽交い締めの状態で、先程よりもグッと深くまで繋がったせいか、山瀬がイヤイヤと首を振る。
「ぁ、ゃぁ」
「深いとこも、きもちぃでしょう?」
「ぁ、ぁ、ぁっ」
 構うことなくトントンと深いところを突いてやれば、仰け反るように上向いた口から、たまらないと言いたげにトーンの上がった声が漏れた。
「ね、正志さん、前向いて。鏡見て?」
 白い喉に浮かぶ喉仏が震える様もいいが、どうせならやはりその顔が見たい。山瀬とそういった関係になってから寝室に増えた姿見は、体位を変えても山瀬のイイ顔を見続けられるようにと購入したものなのだから。
 促されて視線を鏡へと移した山瀬は、羞恥を耐える泣きそうな顔をしている。それでも嫌がることなく毎回、抱かれている最中の顔を鏡へ向かって晒してくれるのは、川瀬の性癖への深い理解と、なにより、次に続く言葉がわかっているからだ。
「正志さん、すごく、可愛い」
 鏡の中の山瀬と真っ直ぐに視線を合わせて告げてやれば、泣きそうな顔がふにゃりと緩んでいく。年上の男性に向かって「可愛い」なんて失礼かとも思っていたが、どうにも抑えきれずにこぼした「可愛い」を喜ぶような素振りを見せられたから、行為を重ねるたびに可愛い可愛いと繰り返してしまう。
 だって、泣きそうな顔も苦しげな顔も辛そうな顔も、めちゃくちゃ腰に来る可愛さなのに、その顔がふにゃっと緩む瞬間はそれ以上に可愛いのだから仕方がない。嬉しさと苦しさの混ざる顔で上り詰めていくさまは、いつだってたまらなく愛おしい。何度だって見たいと思う。
 だから今回もそのまま、またトントンと奥を突いてやる。
「ぁ、ぁっ」
 困ったように眉をひそめながら、それでも嬉しげに綻んだ口を開いて、先ほどと同じ甘い声をこぼす。仰け反ることはせず、顔は正面を向いたままだ。
「上手に気持ちよくなれてますね」
「ぁ、ん、きもちぃ」
「このままイケそうですか?」
「この、まま?」
「そうです。お尻だけで気持ちよくイッちゃうとこ、また見せてください」
「ぁ、おしり、だけ」
「そうです。お尻だけ。また気持ちいいの来そうだって言ってたでしょ? 今度は鏡みながらやってみましょう」
「ぅ、ぁ、はずかし、ゃ、ゃ、ぁっ、む、むり、ぁ、ぁんっ」
 緩く首を振って嫌がるものの、強い抵抗はない。
「正志さん、鏡見て」
 促せばやはり素直に鏡を見つめるけれど、一度は嬉しげに緩んだ顔は、またしても泣きそうだ。眉間にシワを寄せて、眉はハの字に眉尻が下がっている。そのくせ、鏡を見つめる瞳はとろりと快楽に蕩けていて、きっと脳内では、このまま川瀬に鏡越しで見られながら、お尻だけで絶頂する強烈な快感を思い描いている。
 その証拠に、視線を下げれば鏡の中、緩く立ち上がり掛けたペニスが見える。
「ね、ほら、おちんちん、期待してちょっと勃ってますよ」
「ゃ、ゃ、だめっ、やめて」
 触ってあげましょうかと提案するよりも先に、先程よりも強く、イヤイヤと首を振られてしまった。
 行為のたびに、焦らしまくってイカせてあげなかったり、逆に何度もしつこく連続でイカせまくったりを繰り返してしまうせいか、過度にペニスを弄られる苦痛を既に充分知り尽くしているせいだ。しかも今日は既に一度、もう出ないと言われるくらいにイカせた後で、潮吹きの披露をねだってしまった。
「触りませんよ。大丈夫。お尻だけで気持ちよくなってって言ったでしょう? 正志さんのおちんちん素直で正直だから、見たらわかるんですよ。もう一度お尻で気持ちよくイケるって」
「ほ、ほんと、に?」
「本当です」
「そんなとこで、はんだんして、の?」
 クスッと笑える程度には、まだ余裕があるのは事実だ。真面目にジム通いを続けてくれているおかげで、本来の目的である、脂肪を落とし筋肉をつけるだけでなく、持久力だって大幅にアップしている。
 ただ、正直に言えば、もう少し早く限界を迎えるだろうと思っていた。意識を飛ばすより先に、疲れたからもう無理だと、応じるのを嫌がられると思っていたからだ。
 でも抱き潰していいの言葉通り、川瀬が伸ばす手を拒むことはしないし、川瀬の求めに応じようとする意思も消えていない。

続きました→

 
 
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ツイッタ分(2020年-1)

ツイッターに書いてきた短いネタまとめ2020年分その1です。
その2は今夜22時頃に挨拶を添えて投稿予定です。

有坂レイの元旦へのお題は『不器用な独占欲・「あなたの匂いがする」・片恋連鎖』です。
#ふわあま #shindanmaker https://shindanmaker.com/276636

 帰省しない一人暮らし連中で年越しパーティーをしようと誘えば、相手は誰が来るのと聞いた。参加決定メンバーの名前を挙げていけば、あっさり彼も参加を決めたけれど、その理由はわかっている。彼が密かに想いを寄せる男が参加するからだ。
 なぜ彼が想う相手を知っているかと言えば、彼が自分の想い人だからだ。想う相手を見続けていたら、その相手が見ているのが誰かもわかってしまった。
 男ばかりの不毛な一方通行片想いに、気づいているのは自分だけだと思う。

 当日は一番広い部屋を持つ自分の家に総勢7名ほど集まった。
 想い人の隣席を無事ゲットした彼の、反対隣の席に腰を下ろして、彼を挟んで彼の想い人と話をする。だって彼との会話を弾ませるには、彼の想い人を巻き込むのが一番いい。彼の想い人に、彼へ返る想いなんて欠片もないとわかっているから、胸が痛む瞬間はあるけれど、割り切って利用させて貰っている。
 年明け前からいい感じに酒が回っていたが、年明けの挨拶を交わした後もダラダラと飲み続けて、気づけば大半が寝潰れていた。そして隣の彼もとうとう眠りに落ちるらしい。
 先に寝潰れた連中同様、寝るなら掛けとけと傍らに出しておいた毛布を渡してやれば、広げて被るのではなくそれにぼふっと顔を埋めてしまう。酔っ払いめ。
 そうじゃないと毛布の端を引っ張れば、顔を上げた彼がふふっと笑って、お前の匂いがする、なんて事を言うからドキリと心臓が跳ねた。
 そんな顔を見せられると、男が好きになれるなら俺でも良くない? って気持ちが膨らんでしまう。いつか、言葉にしてしまう日が来そうだと思った。


バレンタイン

 金曜だからと誘われて飲みに行った帰り、ほろ酔いで駅までの道を歩いていたら、隣を歩いていた同僚の男が前方に見えたコンビニに寄りたいと言う。急いで帰る理由もないので二つ返事で了承を返し、一緒にそのコンビニに入店すれば、その男は入口近くに設置されたイベントコーナーで足を止める。
 並べられているのはどう見たってバレンタイン用のチョコレートで、バレンタイン当日の夜というのもあってか、さすがに種類も数も残りが少ない。
「なに? まさか買うのか?」
「なぁ、どれが一番美味そうに見える?」
 それらをジッと見つめている相手に問えば、問いの答えではなく、全く別の質問が返される。それでも聞かれるがまま、一番気になる商品を指差した。
「美味そうっていうか、気になるのはこれかなぁ」
「ふーん。じゃ、これでいいか」
「え、マジで買うの」
 驚くこちらに構うことなく、その商品を手に取ると真っ直ぐにレジへ向かっていくから、頭の中に疑問符が溢れ出す。まさかコンビニに寄った理由がバレンタインチョコの購入だとは考えにくいが、相手の行動には一切の躊躇いがなく、他商品には目もくれなかった。
 すぐに会計を終えて戻ってきた相手に促されるまま外に出れば、ズイと差し出されるコンビニの袋。またしても脳内は疑問符でいっぱいだ。
「は? え? どういうこと?」
「さっき、」
「さっき?」
「言ってたじゃん。チョコ欲しい、って」
「あー……ああ、まぁ、言ったけど、でも」
 バレンタインの夜に男二人で飲みに来ている虚しさを嘆いて、ここ何年もご無沙汰だって言う話は確かにした。ただ、ご無沙汰なのは本命チョコ、って言ったはずなんだけど。確実に義理で渡されるチョコは、今年も数個は貰ってる。
「うん、だから、本命チョコ」
 グッと袋を押し付けて、くるりと踵を返すと、なんと相手は走り出す。
「あ、おいっ」
 慌てて声を掛けたが、相手の背中はどんどんと遠ざかって行く。今更追いかけたところで、多分きっと捕まえられない。
 大きく息を吐いて、押し付けられたチョコを取り敢えず鞄にしまったけれど、さて、本当にどうしよう。


SM=SiroMesiというツイを見て

 同窓会に参加して数時間。そろそろお開きも近そうだという頃合いに、少し離れた席から「SM同好会に入ってた」などという単語が飛んできて、思わず飲みかけだったビールを思い切り吹き出した挙げ句に盛大にむせてしまった。すぐさま隣から何やってんだの声と共に布巾が差し出され、わたわたと後処理に追われている間に、SM同好会についての話題は終わってしまったようだが、チラと視線が合った発言者が悪戯が成功したみたいなちょっと悪い顔で笑ったから、どうやらわざと聞かせたらしいと思う。

 二次会には参加せず、地元の同窓会だったにも関わらず自宅へも戻らず、わざわざ少し離れた駅に取っていたホテルに戻ったのは、結構遅い時間だった。隣には、先程SM同好会なる爆弾発言を投げ落とした男がいるが、もちろん偶然でも誘ったわけでもなく、元々、二人でこの部屋に泊まる予定だっただけである。
 高校時代そこまで仲が良かったわけでもなく、大学なんて飛行機移動が必要な遠さだった自分たちが、同窓会に合わせて一緒に帰省したり、同じホテルの同じ部屋に泊まるような関係になったのは数ヶ月前だ。連絡を取り合うような関係ではなかったから、まさか相手も同じ地域に就職していたとは知らなかったし、仕事絡みで顔を合わせたのは本当にただの偶然だった。
 懐かしさから意気投合し、そこから何度か飲みに出かけ、あれよあれよと恋人なんて関係に収まってしまったのは、間違いなく相手の手管にしてやられたせいだと思う。気楽に出会いを探す勇気など持たないゲイの自分には、一生恋人なんて出来ないと思っていたし、無駄に清らかなまま終わる人生だろうと思っていたのに。
 なんとなくそんな気がした、などという理由から、なぜかあっさりゲイバレした上に、バイで男とも経験があると言った相手に口説き落とされた形だけれど、今の所後悔はない。既に2度ほど抱かれたけれど、めちゃくちゃ気を遣ってくれたのは感じたし、出会いを求めたことはなくとも自己処理では多少アナルも弄っていたのが功を奏して、ちゃんと気持ちがいい思いも出来た。
 そして今夜、3度目があるんだろうという、期待は間違いなくあるんだけど……
「やっぱSM同好会、気になってる?」
 部屋に入るなりスッと距離を縮めてきた相手に、含み笑いと共に耳元で囁かれて、ビクリと体が跳ねてしまう。
「そりゃ、だって、てか、事実?」
「事実だよ。って言ったら、期待、する?」
 ピシリと体を硬直させて黙ってしまえば、可笑しそうなクスクス笑いが聞こえてくる。
「あれね、シロメシ同好会の略。白飯て白米ね。美味しい炊き方とか、白飯に合うおかず探しとか」
 吹いたビールの片付けで全然聞こえてなかっただろと続いたから、きっとあの後も、そんな説明をしていたんだろう。なるほど。あの悪い顔の意味がやっとわかった。
 ホッとしたら体から力が抜けて、咄嗟に隣に立つ男に縋ってしまう。ジム通いもしている相手の体は逞しく、よろける事なく支えてくれる。
「あんま脅かすなよ」
「んー、残念。これ、脅しになるのかぁ」
「え、残念て?」
 思わず聞き返せば。
「白飯も好きだけど、プレイ的なSMも、好きなんだよね。っつったら、どーする?」
 再度身を固めてしまえば、元々耳元に近かった相手の顔が更に寄せられ、チュッと食まれた耳朶にチリとした痛みが走った。

その2はこちら→

 
 
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抱かれたら慰めてくれんじゃないのかよ(目次)

キャラ名ありません。全26話。
同じ男を好きになったという繋がりで友人関係を続けていた社会人二人が、実は長いこと両片想いだった事が発覚して恋人になる話。ゲイバリタチ×非童貞処女(視点の主)。
共通の想い人が結婚した夜、視点の主が攻めへの恋情を隠したまま、かつて言われた「どうしても慰めが必要ならそっちが抱かれる側で」の言葉を持ち出して慰めてくれと誘い、抱かれる過程で攻めの気持ちを知っていきます。
両片想いが判明する前に、共通の想い人の代わりに抱く・抱かれる的な要素が多少混じっています。
それなりの長さがありますが、最初から最後までホテルのベッドの上です。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
ずっとベッドの上で行為中なため、性的描写がかなり多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 結婚式帰り
2話 チャンスを拾うだけ
3話 慰めてくれんじゃないの?(R-18)
4話 あいつの代わり
5話 優しくされる
6話 顔は隠して(R-18)
7話 バカって言わないで
8話 気づかれた
9話 両想いらしい
10話 一番気を許せる相手
11話 サイズ
12話 抱かれて感じるのは無理
13話 きっと次もある
14話 初めてって言えない
15話 誰にも抱かれた事がない
16話 自己拡張詳細報告(R-18)
17話 素直な気持ちを全部(R-18)
18話 早く繋がりたい(R-18)
19話 愛されている(R-18)
20話 コンプレックスと性癖
21話 緩やかな快感(R-18)
22話 真似できそうにない
23話 独占欲
24話 恋人になって
25話 お願いもう動いて(R-18)
26話 浮かれている

 
 
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ツイッタ分(2019)

ツイッターに書いてきた短いネタまとめ2019年分です。

有坂レイのバレンタインへのお題は「夢はいずれ醒めるもの」、ゆるいBL作品を1ツイート以内で創作しましょう。 https://shindanmaker.com/666427

街にチョコが溢れる季節になったら、そっとあれこれ吟味して、これだという一つを選んで購入する。最近はじっくりあれこれ眺められるから、ネット通販することも増えた。
どんな風に渡すか、渡したらどんな顔をするか、どんな反応が返ってくるか。バレンタインまで何度も繰り返し考える。告白して、受け入れて貰って、晴れて恋人になるような、そんな甘い夢を見る。
そして14日になったら箱を開けて、たくさん重ねた甘い夢ごと、自分でバリバリむしゃむしゃ食べる。だって、僕から君へのチョコなんて、渡せるはずがないんだもの。

1ツイート短縮版 → 街にチョコが溢れる季節になったら、これだという一つを選んで購入する。渡したらどんな反応が返ってくるか、何度も繰り返し考える。晴れて恋人になるような、そんな甘い夢を見る。 そして14日になったら、重ねた夢ごとバリバリ食べる。だって、僕から君へのチョコなんて、渡せるはずがないんだもの


エイプリルフール

 今日は入社式だなんだで、まともに仕事なんて出来ないのはわかりきっている。しかし後々の事を考えたら、少しでも進めておきたくて、ほぼ始発に近い電車に乗って出社した。
 最寄り駅の改札をくぐる辺りで、声を掛けられ振り向けば、同じ部署の同僚が苦笑顔で片手を上げている。
 少しだけ立ち止まって、他愛ない話をしながら並んで会社へ向かう。随分早いですね、だとか、お前もだろ、だとか、入社式面倒、だとか、仕事させろよなぁ、だとか。
「ところでさ、凄くいい機会だと思うから、ちょっと告白したいんだけど」
 会社のビルに入ってからは周りに誰も居なかったけれど、それを口に出したのはエレベーターの中だった。二人きりの密室ってやつだ。
「え、懺悔的な何かですか?」
 当たり前だが仕事絡みと思われたようだ。
「いや、恋愛的な方」
「ああ、そっち」
 面倒事を想像してか嫌そうな顔をした相手に、にやっと笑ってそう伝えてみれば、相手はなんだと言いたげにあっさり流してしまう。
「なんだつまらん」
 もっと驚けよと言えば、だってエイプリルフールですもんと、不満げに口先を尖らせる。なんだか拗ねているみたいでドキリとする。
「なんつー顔だよ」
 ドキリとしてしまった事に内心少々慌てながら、それをごまかすように、告白されたかったのかと聞いてやる。わかりやすく、からかい混じりの口調と顔で、相手の顔を覗き込んだ。
「そうですよ」
 不満げに口先を尖らせたままの拗ねた顔が近づいて、一瞬の接触の後で離れていく。
 言葉なんて出ない。ただただ目を瞠って相手を見つめてしまう中、目的階への到着を告げる音が鳴り、エレベーターが停まった。
「エイプリルフール、って事にしておきます?」
 クスッと小さな笑いとそんな言葉を残して、開いた扉から相手が出ていくのを、やっぱりただただ見送ってしまった。
 ゆっくりと扉が閉じて行く中、振り返った相手が、やっと驚く顔を見せていたけど、もちろん欠片だって楽しくない。降り損ねたエレベーターが動き出して、一人きり、小さく呻いて頭を抱えた。

 

有坂レイへのお題は「ホント、君って奴は」、赤裸々なBL作品を1ツイート以内で創作しましょう。 https://shindanmaker.com/666427

口の中に吐き出されたものをごくんと飲み込めば、焦った様子で名前を呼ばれた。顔を上げて、ニヤッと笑って、口を開けて、何も残ってませんよと教えるように舌を出す。「ホント、君って奴は」呆れた顔が寄せられて、けれど差し出す舌を食まれる瞬間には嬉しそうに笑うから。ホント、君って奴は

 

有坂レイへのお題は「君がいない今」、ゆるやかなBL作品を1ツイート以内で創作しましょう。 https://shindanmaker.com/666427

君がいない今、日々考えてしまうのは、君がどれほど僕を想っていてくれたかと、僕がどれほど君を愛していたかだ。なぜ君が去ったかはわかっているし、君の決意を踏みにじりたくなくて、それらを受け入れ追うことはしなかったけれど、でもやっぱり後悔している。君に、会いたい。会って好きだと言いたい

 

一次創作BL版深夜の真剣一本勝負 第287回のお題は、
・おやつ ・疲れた彼に ・「好き」ってなに?

 なんで、と聞かれて正直に好きだからと言ったら、相手は一気に雰囲気を固くした。
「好き、ってなに?」
「なにって言われても、好きは好きだけど。だいたい、そっちこそ、好きだから受け取ってるんじゃないの。というか、また持ってこいって言ったのそっちじゃない?」
 たまたま放課後下駄箱でかち合った相手があまりに疲れた顔をしていたから、その日の部活で作ったお菓子を一部分けてやったのが始まりで、また持ってこいよの言葉に応じて部活どころか家で作ったものまでアレコレ渡しているのは、彼があまりに美味しそうに食べてくれるから、というその一点につきるのだけど。
「俺が好きなのはお前じゃなくてお前が持ってくる菓子だけ、なんだけど」
 おもいっきり「菓子だけ」の部分を強調して言われて、彼が何を誤解しているかがわかった。
「僕が好きなのもお菓子作りだけだからご心配なく」
「は? つかこれ、お前の手作り?」
「え、今更そこ!? てか市販のお菓子じゃないのはわかって食べてたよね? 誰の手作りだと思ってたんだよ」
「お前の彼女、とか?」
「うっわ最低」
「なにがだよっ」
「僕の彼女の手作りと思いながら、それを僕に渡せってねだるその神経が信じられないんだけど」
「よその男にホイホイ渡せる程度の付き合いなんだろ」
「って思ってたって話ね。勝手な想像で決めつけてましたって話ね」
「あーくっそ、そうだよ。悪かったよ。つか、やめんなよ」
「やめるって何を?」
「菓子、持ってくるのを」
「えー……」
 渋れば焦った様子で、いやほんとゴメン、だとか、また食わせてくれよだとか言い募る。それを黙って見ていれば、今度は情けない顔になって、どうすれば許してくれるんだよと途方に暮れた様子で告げるから、少しばかり驚く。
「そんなに好き?」
「すげー好き」
 言い切ってから、お前が作る菓子の話なと慌てて付け足すから笑ってしまった。
「いいよ。そこまで好きって言って貰ったら、ヤダって言えないよ」
 あからさまにホッとする様子を見ながら、あれこれちょっとマズイかなと思う。好きなのはお菓子作りだけだからご心配なく、という言葉を撤回することになる日が、いつか来そうな予感がした。


これで今年の更新は最後になります。

一年間お付き合い下さりどうもありがとうございました。
今年もまた連載中作品(理解できない)が年またぎになってしまいましたが、年明け後、通常通り更新できるようになるのは6日以降になりそうです。が、連載途中の作品をそこまで放置するのは躊躇われるので、なるべく途中にも更新できるよう頑張りたいと思っています。

 
 
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生きる喜びおすそ分け(目次)

キャラ名ありません。全39話。
6月頃にツイッターで話題になっていた某電車広告から派生した、月収30万で楽しそうな男と月収50万でつまらなそうな男だったらどっちが攻めでどっちが受けかというアンケートで、私なら50万×30万だなぁと思ったのがこの話を書く切っ掛けになりました。

明確に給料が50万だとか30万だとは書いてませんが、同じ会社の上司×部下(視点の主)で、これも明確には書いてませんが年齢差もそこそこありそうな二人の話。
たまたま二人きりで飲んでいた酒の席で、生き甲斐のないつまらない人生だという上司相手に、人生楽しみまくっている視点の主が、楽しさ分けてあげたいと誘って恋人になります。しかし元々尊敬する上司との名ばかりの恋人ごっこが辛くなって、最後にという気持ちで誘ったラブホで上司への恋心を見抜かれ引き止められた結果、上司主導で温泉宿に一泊旅行が決定。
部屋にお風呂が3つもある豪華な離れの部屋で体だけは気持ちよく抱かれながら、二人の関係を見つめ直したり、今後を考えたり、自身の想いの確認を経て、最終的には相手に「君が傍にいてくれる人生は楽しい」と言わせます。
最後、お腹の中に出されたものを攻めの目の前で排出したり、攻めに掻き出されたりの行為があります。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的な内容を含むものが多いので、性的な描写が多い話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 上長との交際決定
2話 つまらないデート
3話 ラブホに誘ってみた
4話 義務感でもいいから
5話 自分で慣らす
6話 無神経な質問
7話 仕切り直しの提案
8話 どれくらい好き?
9話 接待デートプラン一覧
10話 離れのある温泉宿
11話 上手なキス
12話 うんと気持ち良ければ
13話 何をさせているんだろう
14話 違う、の意味
15話 嬉しい楽しいより安堵
16話 それぞれの価値
17話 早く最終手段使って(R-18)
18話 あっさり2回(R-18)
19話 イキたいのに、イキたくない(R-18)
20話 言わせたかった(R-18)
21話 余裕なんてないよ
22話 器用さの方向性(R-18)
23話 おちんちんがいい(R-18)
24話 頑張ってくれてる(R-18)
25話 一緒にイキたい(R-18)
26話 やや強引にトコロテン(R-18)
27話 綺麗なままのベッド
28話 恋人続けてみてもいい
29話 夜明け前
30話 日の出が見たい
31話 確認(R-18)
32話 ゴムを着けられる
33話 抱かれながら(R-18)
34話 このために、生きてた(R-18)
35話 中出しの約束(R-18)
36話 奥を突かれながら(R-18)
37話 ちょっと押さえてて
38話 いっぱい出たね(R-18)
39話 君がいれば(R-18)

 
 
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今更なのに拒めない(目次)

キャラ名ありません。全18話。
ED(勃起不全)バツイチ×アナニー好きノンケ(視点の主)。元同級生な社会人二人。
離婚したと押しかけてきた攻めを半年ほど居候させた結果、恋人になる話。
高校時代、二人の間で性欲発散目的なセックス経験あり。当時双方ともに恋愛感情なし。
過去にセックスをしていた仲だったこともあり、攻めが遊んでくれと言って伸ばしてくる手を拒めない中、アナニー好きを知られて行為がエスカレート。自己開発予定だったS字結腸を攻めの手で開発されたり、勃たない攻めに高校時代との違いを感じたりしているうちに双方に恋情が育っていて、先に自覚した攻めに口説かれ気持ちよく抱かれている間に受けも自身の好きを自覚していきます。
なお、攻めは受けを抱くために医者に通ってED克服。
S字結腸責めの描写多め。本人無自覚なのであまり描写は無いですが潮吹きあり。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的な内容を含むものが多いので、性的な描写が多い話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 10年振り
2話 同居3か月経過
3話 一方的に手で(R-18)
4話 アナニー道具バレ
5話 疑似セックス
6話 玩具でS字結腸開発(R-18)
7話 キスをしながらS字で(R-18)
8話 抱かせて欲しい
9話 告白
10話 久々のペニス挿入(R-18)
11話 トコロテン×2(R-18)
12話 やっと奥まで(R-18)
13話 キスしたらきっと(R-18)
14話 自ら腰を揺すって(R-18)
15話 S字の先を狙う(R-18)
16話 知らない場所まで貫いて(R-18)
17話 好きだから一緒にイッて(R-18)
18話 またしようね

 
 
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