雷が怖いので プレイおまけ3

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 バイトに来る前に何を食べたか、それは何時頃かというのを聞かれて、更に、現在服用している薬があるかも尋ねられた。まるで問診でも受けている気分になりながら、問われるままに答えれば、大丈夫そうだなのセリフとともに小さな瓶から取り出した錠剤が二粒渡される。
 飲めって意味なのはもちろんわかるのだけれど、水の入ったペットボトルを差し出す相手の、絶対に何かを企んでいる顔が引っかかってしまって、素直にそれを口にすることは出来なかった。
 このバイトを始めてからそこそこの期間が経っているけれど、バイト中、こんな風に薬らしきものを渡されるのは初めてだ。
 いや違う。一度だけあった。
 誕生日の翌日に二日酔いの薬だかサプリだかを口に放り込まれて、あの時はそのまま素直に飲み下してしまった。けれどどう考えても、これがあの時と同じものな訳がない。
「さすがに警戒してるか?」
 手の平の錠剤を凝視したまま動けずにいれば、おかしそうにそんな声が掛かった。絶対、こちらの戸惑いすら面白がられている。
「そりゃあ……」
「それな、ちょっとばかりお前の感度上げるお薬」
「かんどを、あげる」
 言われた言葉を噛みしめるように繰り返してみるものの、イマイチ脳内がそれを把握しない。何を言われているのかわからない。というよりも、多分、理解することを拒否したがっている。
「依存性の有るような危ないやつじゃないし、副作用の心配も殆ど無いくらいの、ごくごく軽い媚薬だよ。ほんの少しぼんやりして、ほんの少しいつもより感じやすくなるだけだから、出来れば飲んで。それとも、それなりに信用は得られてると思ってるけど、得体の知れない薬を飲まされるのはやっぱり不安?」
 その聞き方はズルいなと思いながら、いいえと返して小さく首を横に振った。信頼は、してる。これは本当に、飲んだってそんなに危ない薬ではないんだろう。
「あの、感じやすくなるって、どれくらい、ですか?」
 聞けば、不安はそれなのと笑われたけど、でもかなり重要なことだと思う。だって今日はもう既に、充分すぎるほど興奮しているのだから。
「少しは少しだよ。いつもよりちょっと感じやすくなるはず、ってだけ。薬が効きにくい体なら、効果なんて殆ど無い可能性もある。ただ、もし俺が狙った通りの効果が出たら、今のお前にはそこそこキツイだろうってのはわかってるし、だからこそ、今日はそれを飲ませてしたい」
 それは、既に興奮してる状態の体を、更に感じやすくされて弄られるという、今日のプレイ内容の宣言だ。そこそこキツイだろうと言われたってことは、感じすぎてイキまくって、もうイキたくないと泣き喘ぐくらいの状態にされるってことだろうか。
 そんな自分の想像に、ゾクリと背を走るのは、恐怖と期待が半々だ。
 彼の前で、みっともないくらい感じまくってイクことへの抵抗は、もう随分と薄くなっている。それどころか、そんな自分を楽しげに見ていてくれる彼の目に、いっぱい感じて可愛いよと言ってくれる声に、安堵と幸福と更なる快感を得ているのだということを、自覚してもいた。
 胸の奥が甘く疼くことも多くて、好きだ好きだと零れそうになる気持ちを飲み込むのが大変だった。
「それを飲む気にはなってそうなのにな。もう一歩が踏み出せないなら、言葉を変えようか」
 飲みなさいと穏やかな声に促されて、手の平に乗った錠剤を口に放り込み、こちらへ向かって差し出されたままのペットボトルへ手を伸ばす。口の中の錠剤を水とともに飲み下して、大きく息をついた。
「いい子だ。じゃあ次はお尻の方だな」
「えっ……」
「今日はそっちにも、少しだけ薬を使うよ」
 これもそんなに強いものじゃないけどと言って彼が取り上げたのは、先程棚に置かれたばかりの、見慣れないチューブ状の何かだった。つまりそれの中身は、媚薬クリームのたぐいだってことらしい。

続きました→

 
 
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雷が怖いので プレイおまけ2

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 移動した防音室で、まず確認されたのは、ちゃんと自宅でも綺麗に洗えているかだった。プラグを外されて、テロっと流れ出てしまうのは、排泄しきれずお腹の奥に残っていたお湯だろう。
「ひぅっっ」
 流れ出る感触も、それが肌を伝う感触も、更には彼の指がそれを掬い取る感触も。全てが恥ずかしさを伴って、ゾワゾワと肌を粟立たせていく。頭を下げてお尻を彼に向かって突き出す格好をしているせいもあるだろうけれど、頭の中が今にも沸騰しそうだ。羞恥と快感と期待とが、グチャグチャに混ざってグラグラと揺れているようだった。
「綺麗だから大丈夫。このまま中も、確かめるよ」
「はい」
 頷くと同時に、つぷりと入り込んだ指先が、そのままずるりと奥まで挿し込まれる。そうして中を探られる。
「ぁ、ぁあっ……ぁんんぅぅっっ」
 ゾワゾワが酷くて、声が抑えられなかった。開始早々ではあるものの、すでにビックリするほど体が敏感になってしまっているらしい。普段と違うことなんて、自宅での洗浄とプラグを装着した状態で外を歩いてきた、ということくらいなのに。
「随分興奮してるな。想像以上の効果があって驚いてる。けど、でもまぁこれは、体調もあるかな」
 いつも以上に中が熱くてトロトロになってると言いながら、容赦なくかき回されて、声も我慢できないし息も上がっていく。
「あ、あっ、ああっ」
「苦しいか?」
 返事を待つ気なんて最初からなかったようで、あっアッと喘ぐだけしか出来なかったのに、埋められていた指が抜けていった。
「よし。家でもちゃんと綺麗に洗えてる。興奮しちゃってしんどそうだし、そこのベッドに横になってな」
 体勢を保てなくて崩れてしまったらおしおきって言われるのはわかっていたし、感じすぎて膝なんてとっくにプルプル震えていたし、こんな時は泣いてもう無理と懇願するか、耐えきれなくなって崩れ落ちるまで弄り倒される可能性が高かったから、体勢を保ちなさいとおしおきをチラつかされることすらないまま、あっさり開放されたのは意外な気もする。ただ、意外だったけど、興奮しすぎてしんどいのは事実で、さっさと横になってていいと言われたのは正直ありがたかった。
 ベットカバーのツルリとした感触が、火照った肌に気持ちが良い。なのに過敏になりすぎた肌は、それだけでゾワゾワとしたものが走って、ぷつぷつと肌が粟立ってしまう。吐き出す息もいやに熱くて、いくらなんでも興奮しすぎだと、思わず小さな笑いが溢れてしまった。
「どうした?」
 少し離れた所で何かを準備している相手にも、その小さな笑い声は聞こえたらしい。ベッドに横になった後は、ずっと相手の背を追いかけるように見つめてせいで、ちらりとこちらを振り向いた相手と目があった。
「なんでも……あ、いや、ちょっと、なんか今日、興奮しすぎって思ったら、つい」
 なんでもないですと誤魔化そうとして、でもすぐに思い直して正直に告げた。別に隠すようなことじゃないし、せっかくこっちを振り向いてくれたから、少しでも何か話していたかったのかもしれない。
「興奮してテンションまで上がってんの?」
「あー……そう、かも?」
「今の状態でそんだけ感じまくってたら、今日はどんだけ気持ちよくなれるんだろって、期待、してる?」
「えっ……えー……」
 さすがに期待してますってはっきり返すのを躊躇って濁せば、相手はおかしそうに少し目を細めて、それからまた手元の方に顔を戻してしまった。ちょっと残念。と思ったのも束の間、すぐに準備を終えたらしい相手が、何かを手に戻ってくる。
 最近はキャスター付きのスチール製棚に、その日使われるだろう玩具類や拘束具やタオル類や水分補給用のペットボトルなどが並べられていることが多いのだけど、戻ってきた彼がその棚に新たに置いたのは、小さな錠剤が入った小さな瓶と、見慣れないチューブ状の何かだった。

続きました→

 
 
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雷が怖いので プレイおまけ1

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 前回バイトの終わりに、そろそろバイト前に自宅で洗浄することを覚えようかと言われて、了承した。その少し前から、自宅でどの程度の洗浄が可能そうか聞かれていたし、自宅の狭い三点ユニットバスの写真を撮ってきて見せたりもしたし、そろそろそう言われるのだとわかっていた。
 必要なものは当然全部彼から支給されたし、それらを使って体の中を綺麗にする。自宅では初めてでも、作業そのものはもう随分と慣れている。
 最後に、渡されていた小さなプラグを自分で嵌めて、いつも通りの時間に家を出た。
 プラグを入れて過ごす、という経験は何度かあるものの、でもその状態で外を歩いたことはない。小さな小さなプラグで、さして違和感が強いというものでもないのに、家を出た瞬間から酷くそれを意識した。たびたびアナルをキュッと引き絞って、そこに普段はないものが確かに存在していることを確認してしまう。
 そんな自分の、ほぼ無意識とも言える体の反応が恥ずかしい。この後すぐに会えるとは言え、彼が居ない所で、勝手に期待を高める体が恥ずかしい。土曜のまだ日が高い時間の、しかも自宅に近い場所の路上を歩きながら、頭の中をイヤラシイことで埋め尽くしている事実が恥ずかしい。
 ペニスも既に緩く勃起してしまっているから、ゆったりとして裾が長めのパーカーを羽織ってきたのは正解だ。けれど、いつもと同じ時間に家を出たのは失敗だったと思う。もう少し、早く家を出ればよかった。
 羞恥と興奮が混ざって、なんだか酷くぼんやりする。どこかふわふわと浮ついた足取りになっているのを、頭の中に僅かに残った冷静な部分が認識できているのが、逆になんとも心もとない。出来れば走って、さっさと彼の家に飛び込みたいのに、とても走れそうにはなかった。
 なんとかたどり着いてチャイムを押した後、へたり込みそうな体をドア横の壁に預けてしまおうかと思った所で、あっさりドアが開かれる。
 ドアの内側から顔を覗かせた相手と目があって、慌てて傾いでいた体を起こして踏ん張った。
「ぁんっ……」
 またキュッとアナルを締めてしまって、思わず零した吐息の甘さが恥ずかしい。羞恥と興奮にまみれながら歩いてきたのは事実だけれど、さすがに、こんな声を零しつつ歩いてきたわけじゃない。多少息が荒かった程度だと思う。だから思わずこんな吐息をあふれさせてしまったのは、どう考えたって明らかに、彼の顔を見て気が緩んだせいだった。
「あ、あの、あの、……遅くなって、すみま、せん」
 羞恥に顔を熱くしながら、少し驚いた様子を見せている相手に、まずは約束の時間に辿り着けなかったことを詫びる。
「いや、それはいいよ」
 こちらを労るような優しい声だった。もう、驚いた様子も消えている。
「お前の顔見たら、理由は、聞かなくてもわかるから」
 今度は笑いをこらえるような顔を見せている彼は、随分と機嫌が良さそうだった。その理由は、こちらも聞かなくてもわかる。どうせ誰も気づきやしないとわかっていても、洗浄したお尻にプラグを入れてお日様の下を歩くという行為に、こんなに羞恥を煽られると思ってなかった。自分はもちろん、きっと相手も。
 早く入っておいでの言葉に従い開かれたドアの中に入れば、その場で軽いキスが幾つか落ちて、頭を撫でられて、ちゃんと一人で洗浄してからバイトに来れたことを褒められる。頑張ったねって言われた後に、今後も自宅での洗浄が続けられそうかと聞かれたら、今後も頑張ります、頑張れますって答えていた。

続きました→

 
 
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雷が怖いので プレイ(目次)

「雷が怖いので」プレイリクエストについて

キャラ名ありません。全37話で、雷が怖いので本編の隙間を埋めるプレイ中心。
リクエストで頂いていた「オナニー披露」「おしおき」「剃毛」「おもらし」の内容を含みます。おしおき時にスパンキングも少々。剃毛時にアニリングスも少々。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
プレイ中心なため殆どが性的な内容を含むものなので、性的描写がかなり多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。
それと隙間埋め話なので、切り替わる前後で本編とも繋げてみました。

2018年4月8日追記
プレイ連載当時(昨年11月)お題箱にて「風邪っぴきの受けくんが体調悪いの隠してバイト頑張る話」「2人で子供っぽい口調を使わせてえっち」というリクエストを頂いていたのですが気づいたのが3月でした。
その2つのリクエストで書いたもの全13話を下部に追加しました。

1話 バイト二回目
2話 じっくりキスだけ
3話 焦らさないで
4話 自分で腰を揺らす(R-18)
5話 手伝って(R-18)
6話 バイト三回目
7話 自ら腰を落として(R-18)
8話 褒めてくれると思ってた
9話 報酬の基準
10話 三万円分のご褒美
11話 直接、弄って(R-18)
12話 他人の手(R-18)
13話 オナニー披露(R-18)
14話 両方してあげる(R-18)
15話 意識する尿意(R-18)
16話 おもらし披露(R-18)
17話 プレイ後の優しい時間
18話 バイト四回目
19話 プレ放置プレイ
20話 迎えに行く
21話 誕生日の少し前
22話 胸の代わりにお尻の開発(R-18)
23話 自覚前に知りたかった
24話 キツイおしおき決定(R-18)
25話 前立腺にローター(R-18)
26話 玩具で吐精(R-18)
27話 おしおき後も止まらない涙
28話 他の誰かなんて居ない
29話 相手の副業
30話 第四土曜日ホテル泊
31話 酔ってふわふわ
32話 剃られてもいい理由
33話 アナル周りまで
34話 バスルームで舐められる(R-18)
35話 舐められるだけでイク(R-18)
36話 脇もスネもツルツルに
37話 昨夜の記憶に悶える朝(R-18)

プレイおまけ
1話 自宅で初洗浄(R-18)
2話 確認(R-18)
3話 媚薬を飲む
4話 薬の効果(R-18)
5話 スッキリした目覚め
6話 本当は風邪薬
7話 初めての旅行
8話 パパって呼んで
9話 剃ってしたい
10話 舐められて焦らされて(R-18)
11話 お漏らし我慢(R-18)
12話 上手におねだり(R-18)
13話 精液お漏らしと翌朝(R-18)

おまけのオマケ
1話 悶々と一瞬間
2話 アナルに体温計(R-18)
3話 本物の媚薬(R-18)
4話 初アナニー(R-18)
5話 体勢を変えて(R-18)
6話 限界とご褒美と(R-18)

 
 
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雷が怖いので プレイ37(終)

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 バスルームでの言葉通り、移動したベッドの上で、剃られてツルツルになった所を中心に、舌での愛撫を受け続けた。
 相手から、はっきりと明確に幼い言葉遣いをするよう求められはしなかったけれど、意識していたのと求められたら応じる気でいたせいか、結局自ら幼い態度を見せたりもした。彼もそれを嬉しそうに受け止めていたから、言わないだけでやっぱりそうさせたいのだと思ったし、ちょっと調子に乗っていた可能性は高い。
 既に一回吐き出しているのに、ペニスには触れてもらえないまま、その周りばかり舌を這わされちゅうちゅう吸われれば、あっという間に音を上げてしまったのも仕方がないと思う。結果、お願いだからおちんちん舐めてと、自らフェラをねだってしまったし、二度目を彼の口の中で果てもした。
 もちろん、ひたすら舐め可愛がりたいの言葉は、彼を受け入れた後も実行され続けた。腕を持ち上げられて晒した脇の下や、抱え上げられた足のスネなど、先程丁寧にカミソリが這っていたところへ、今度は彼の舌が丁寧に這う。ビクビクと体を震わせながら、そんな部分を舐められても感じてしまうのだと、初めて知った。彼と繋がる場所をキュウキュウと締め付けてしまって、それを楽しげに見下されるのすら、新たな快感を呼び起こされるようだった。
 おちんちんズポズポきもちぃよぉって、わざとらしく舌っ足らずに喘ぎまくった記憶は、正直、消せるものなら消し去りたい。だってツルツルで子供みたいで可愛いって何度も言うから。強制される幼い言葉遣いはあんなに嫌だったのに、蕩けるみたいに甘い声で可愛いって言われまくったら、今このときくらい子供に返ってもいいかもって思ってしまった。
 彼に喜んで欲しかったし、実際喜んでくれてたと思うし、後悔しているわけではないのだけれど、でも我に返ってしまうとひたすら恥ずかしい。多分、言わされていたあの頃よりも、ずっとずっと恥ずかしい気がする。
 そんな羞恥で身を焼きながらベッドの中で一人悶えていたら、どうやら隣で眠る彼を起こしてしまったらしい。たいがい自分よりも早く起きている彼が、珍しくまだ寝ていたというのに、それを堪能すること無く昨夜の痴態を思い出して悶えていただけだなんて。本当にもったいないことをした。
「朝から楽しそうだな」
 クスリと笑う気配とともに、背後から伸びてきた腕に絡め取られるように抱きしめられる。ちゅ、とわざとらしく音をたてて首筋へ唇を落とされたあと、その場所が濡れる気配に一瞬でゾワワと肌が粟立った。
「ゃ、も、舐めない、……ぁ、んっ」
 柔く歯を立てられて、朝から甘い息を吐いてしまう。
「続き、する?」
 首筋に歯を当てながら、クスクスと笑いを零しているから、どこまで本気で誘われているのかわからない。昨夜は抱かれている途中で意識を手放してしまったし、もしそれが原因で途中中断させてしまったのなら、このまま昨夜の続きをと言われるのも当然な気がするけど。でも単にからかわれてるだけな気もする。
「舐めたりない、なら」
 あなたが満足できていないなら続きをしましょう、というつもりでそろりと吐き出した言葉には、すぐに否定が返った。
「いや。昨夜は十分すぎるほど、子供みたいなお前を堪能させてもらった。でもお前が満足してないかと思って」
「え、なんで?」
「ノリノリで楽しんでたようにも見えたけど、でもやっぱあれは、俺に気を遣った結果だろ? お前のしたいことをしてやるための日なのに、俺の遊びに付き合わせたばっかりになったなと」
「思い出すとひたすら恥ずかしいんで、積極的に自分からやりたいわけじゃないですけど、あなたが楽しそうに子供みたいな俺を可愛がってくれるの、嫌じゃなかった、です、よ」
 剃られるのも、舐められるのも、相手が楽しんでくれてるのがわかれば、自分はそれなりに満足出来てしまうらしい。こちらを辱めるためのプレイとして、こんな子供みたいな体にされた上に舐め回されて感じるなんて恥ずかしいねと、そう言われたわけじゃない。バイト中だったらきっと、そんな風に言われて、たっぷり羞恥を煽られ泣いていたと思う。
 彼自身、昨夜のあれこれをプレイとは言わずに遊びと言ったのも大きかった。全身ツルツルに剃り上げて子供になりきったセックスなんて、かなり変態度が高い気もするけど、まぁ遊びで許容してしまえる範囲だ。
 もちろん、自分の感覚がおかしくなってる自覚はある。でも自分の感覚をずらしてでも、彼との時間を楽しみたいのだから仕方がない。
「楽しそう……」
 噛みしめるみたいな呟きが聞こえてきて、次には確かめるように問いかけられた。
「昨夜の俺は、楽しそうだった?」
「そう、見えましたけど……」
「そうか」
「楽しく、ありませんでした?」
「いや。お前に言われるまで、あまり自覚がなかっただけだ」
 楽しかったよと囁く声は、どこかしみじみとしている。だからか、今彼がどんな顔をしているのか、気になってしまった。
 ゆるく抱えられているだけなので、もぞりと動いて寝返りを打つ。見つめた顔は、柔らかに苦笑していた。
 自覚がなかったと言うから、子供みたいにツルツルにした体を楽しげに抱いていたと指摘されて、気まずい思いでもしているんだろうか?
 そんな人並みの感覚が、もしもあるなら、だけど。
「お前、なんか変なこと考えてるだろ」
 どうやら顔に出たらしい。
「変なこと、って?」
「俺に知られたくないようなこと」
 確かに。
「言わないと、ダメ、ですか?」
「言わされたい?」
 ニヤッと笑われブンブンと首を横に振ったら、にやけた顔はすぐに穏やかな笑みに変わった。ふふっと小さな笑いが漏れる。
「慌てなくても、言いたくないなら無理に聞いたりしないって。今日はそういう日だろ。それより、続きしないなら、起きてご飯を食べに行こうか」
 ビュッフェでいいんだろと言われて、今度は思いっきり盾に首を振ってみせた。

<終>

プレイおまけ7話へ→

随分あれこれ書いてしまいましたが、頂いたリクエストも、出来れば書いておきたかった気がかりも、全て消化できたと思います。長々とお付き合いありがとうございました〜

 
 
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雷が怖いので プレイ36

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 今度は意識がはっきりしたままなので、脇やらスネやらに生えた毛を丁寧に剃り上げられるだけでも十分に恥ずかしい。あとスネはともかく、脇の下を滑るカミソリの感触はちょっと擽ったい。
 自分で剃れる、という主張は当然あっさり却下されたし、相手は随分と真剣で、そのくせ酷く楽しげだし、許可したのは自分だし、別に嫌なわけじゃない。でも性的興奮を煽るような触れ方はされてないのに反応してしまうのは恥ずかしいし、それを見てニヤつかれるのも恥ずかしい。
 からかわれるのでもいいから、いっそ何か言ってくれればいいのにと思う気持ちもあるが、何を言われたって恥ずかしい気持ちが増すだけだとわかってもいる。
「のぼせそう……」
 恥ずかしさで、という意味で呟いた言葉は多分相手にも正確に伝わったと思うのだけど、壁のフックに掛けられたまま湯を吐き出し続けているシャワーの、湯温を少し冷たいくらいに下げるという対応をされた。
 傍らの床に跳ねるぬるい水が、浴室内にこもる熱気をいくぶん払ってくれるようで、頭がスッキリしてくる気がする。のぼせそうなのは事実で、顔が熱くてぼんやりするのは、羞恥からだけじゃなかったらしい。
 げんきんなもので、頭の中の靄が晴れたら、この状況を楽しめる余裕が少しばかり自分の中にも湧いてくる。だっていつも見上げてばかりの彼を、見下ろす状況なんて珍しい。
 目の前に片膝をついて、立てた方の膝上にこちらの足を乗せて、熱心にカミソリを這わせている。そんな彼へこちらも熱心に視線を注ぎ続けてしまえば、気づいた彼が顔を上げて、ふ、と楽しげな吐息を漏らした。明確に笑っているわけではないけれど、柔らかな表情はかすかな笑みを湛えている。
 楽しそうで良かったと思うし、彼のそんな様子がたまらなく嬉しいとも思う。
 童顔とあいまってますます子供みたいになってるはずだし、もしかしたらこの後、また幼い言葉遣いをねだられるかもしれない。わかってるし予測もしてる。もし本当にそれを求められたら、応じる気でもいる。
 それで彼が満足気にしてくれるなら、多分きっと、もっともっと嬉しくなれる。
 だって、好きな人が喜んでくれたら、楽しそうにしてくれたら、嬉しいに決まってる。ツルツルにされるくらい、実年齢を大きく離れた幼い子供扱いされるくらい、どうってことないと思える。
 彼が欲しいものも、したいことも、自分にできることは全部叶えてあげたい。こちらが差し出せるものは全部差し出したい。
 良かった、嬉しい、という気持ちが、彼が好きだという気持ちへ転化していく。好きだ好きだと、胸の内で想いを膨らませてしまう。
「もう、終わるよ」
 ゆっくりと足を降ろされて、目の前に跪いていた彼が立ち上がる。湯温を戻した温かなシャワーが掛けられて、毛を剃るために塗られていたシェービング剤を流していく。
 肌を撫でていく手つきはやっぱり酷く丁寧で優しかった。
「好き……」
 膨らみきって抱えきれなくなった想いが、ほろりと音になってこぼれ落ちていく。
 返るのは優しいキスだけだけれど、繰り返し落とされる優しいキスは、この想いを否定も拒絶もせずにいてくれるから、ちょっとくらいの胸の痛みは我慢してしまう。胸が痛いとか、抱えてしまった想いが辛いとか、そう言って泣いて彼を困らせるより、優しく降るキスが嬉しいと笑ってみせるほうがいい。
「好き、……好き、です」
 キスの合間にもほろほろと想いを零してしまうせいで、キスはいつまで経っても終わる気配がない。だから自分で先を誘った。
「ね、早く、ベッドへ」
 好きの言葉をぐっと飲み込み、待ちきれないとばかりにねだる。
 好きだと返さなくていいから、彼の指も舌も肌も、もっともっと感じたかった。心に触れて貰う代わりに、彼以外には決して触れさせない、体の深い場所へと触れて欲しかった。
 早く、と口に出したせいか、本当に待ちきれなくなる。早く早くと気がはやる。
 はやく、埋まらない心なんて気にならなくなるくらいに、彼の熱で、その熱に呼び起こされるキモチイイで、体の中も頭の中も満たされてしまいたい。

続きました→

 
 
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