酔った弟に乗られた話1

酔った勢いで兄に乗ってしまった話の兄視点です。兄×弟(騎乗位)。

 トイレと言ってリビングを出ていった弟が戻ってこない。ということに意識が向いたのは、弟が消えてから既に結構な時間が経ってからだった。
 なんとなくで点けっぱなしになっているテレビをぼんやりと見続けてしまったせいだ。
 自分もそれなりに酔っている自覚はある。
 もしかしてトイレで潰れているのだろうか。今日は二人して気分良く飲みまくってしまったから、その可能性は高い。
 様子を見に行ったほうが良さそうだと腰を浮かしかけたその時、リビングのドアが開いて弟が戻ってきた。
「大丈夫か?」
 ちょうど様子を見に行こうと思ってたとこだと告げれば、弟は曖昧に頷いて見せる。やはり相当酔っているのか、どこかぼんやりとしているし顔も赤い。
「大丈夫じゃなさそうだな。簡単な片付けは俺がやっとくから、お前もう、自分の部屋行っていいぞ」
「やだ」
「やだじゃなくて。お前にこれ以上飲ませられないって」
「飲まなくていいよ。けどもっと兄貴と一緒にいたい」
「なんだよ甘ったれモードなの?」
 酔って自制が効いてないのか、ずいぶん素直にもっと一緒にいたいなんて言われたら、どうしたって嬉しい。
 くすっと笑って、じゃあおいでと隣のスペースをペシペシ叩いた。さきほどまでは向かい合って座っていたのだから、どうやら酔って自制が効いてないのはお互い様だ。
 まぁ酒のせいってことでいいかと、嬉しそうな顔でそそくさとやってきて隣に腰を落とす弟を、こちらもニコニコと迎えいれる。
「酒はまじでナシな」
「ん、わかってる」
「お茶か水飲むか? 取ってきてやろうか?」
「いらない。それよりさ」
 じっとこちらを見つめる視線に気づいて振り向けば、熱に浮かされたみたいな、少し潤んだ瞳とかちあった。酒のせいで全体的に赤みを増した顔に潤んだ瞳で見つめられて、ドキリと心臓が跳ねる。
 あ、ヤバいかも。
 頭の片隅でそんなことを考えるも、既にあとの祭りだった。
「おれが欲しいの、兄貴、なんだけど」
 そんな言葉が耳に届くと同時に、体はラグの上に押し倒されていた。
「や、ちょ、欲しいとか言われても……」
 やばいやばいと心臓が跳ねまくって、酔いがいっきに冷めていく。しかし幾分冷静になったところで、この場を逃げ出せるわけじゃない。
 そもそも酔ってなくたって、自分より背も高く体格もいいこの弟に押し倒されたら、その時点で詰みでしかないんだけど。
 いつかこんな日が来るかも、という予想はあったのに、油断しすぎていた。
「兄貴が痛いようなことは絶対しない、から」
 どうしようと焦るこちらに何を思ったのか、弟が泣きそうな顔で見下ろしてくる。その顔に、緊張で固まっていた体から力を抜いた。
 いつかこんな日が来るかも、と思う程度には弟の気持ちは日々ダダ漏れだったのに、酔わなきゃ言い出せない程度には自制できてたわけだし、酔って口に出してしまうくらいには追い詰められても居るんだろう。
 だったら酒のせいってことにして、ちょっとくらいなら応じてしまってもいいんじゃないか。絶対痛くしないって言い切るってことは、尻の穴に突っ込もうとまでは考えてないのだろうし。
「あにき……?」
 力を抜いたのが不思議だったのか、不安げに呼びかけられて、じっと弟の目を見つめ返す。
「ホントだな?」
「う、うん?」
 頷くものの語尾に疑問符が見えてしまったので、再度確認するように言葉を重ねる。
「痛いの、絶対ナシだからな」
「うん!」
 勢いよく頷く弟の顔は嬉しそうに綻んでいて、思わず伸ばした手でその頭をくしゃくしゃっと撫でてしまう。
「大好き」
 ますます嬉しそうに笑った弟から、ほろりと溢れてきた好きには、胸の中が暖かくなる。言われて嬉しく思ってしまうくらいには、自分も、いつかこうなる日を待ち望んでいたのかもしれない。
「俺も好きだよ、お前のこと」
「じゃ、じゃあ、ちゅー、していぃ?」
 緊張気味に聞かれて思わず笑ってしまえば、嬉しげだった顔があっさり曇ってしまうから、ますます笑いながら弟へ向かって両手を伸ばした。
「いーよ」
 言いながら、掴んだ肩を引き寄せるようにして、自分からも顔を寄せていく。

続きました→

 
 
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酔った勢いで兄に乗ってしまった話

※ 兄×弟です。乗った=騎乗位。

 食欲をそそるいい香りに意識が浮上する。なんで自室じゃなくリビングで寝てたんだと思いながら体を起こせば、ローテーブルの向こう側、味噌汁椀と箸とを手にした兄とバッチリ目があい、一瞬で昨夜何があったかを思い出す。
「ぅ、あっ、痛っ」
 声を詰まらせながらも慌てて立ち上がろうとして、でも叶わなかった。腰に響いた痛みに呻いて眉を寄せる。
 腰というか、腿というか、尻の穴と言うか、つまりは昨夜のヤラカシの影響が思いっきり体に残っていた。
「大丈夫か?」
 心配そうに声をかけてくる兄の声はいつも通りだ。
 まさか、こちらと違って昨夜の記憶がないのだろうか。昨夜は兄も相当飲んでたはずだから、可能性はゼロじゃないけど。
 だったら、痛いのは頭で、二日酔いが酷くて、辺りで誤魔化せるだろうか。なんて思ったのもつかの間。
「お前、昨日結構むちゃしてたし、あんま無理すんなよ。で、切れてはなさそうだったけど、痛いのはやっぱ尻の穴なの?」
「むちゃ、って、てか、切れてない、とか、えっ、なんで」
 尻の穴、なんて単語が出た以上、兄にも昨夜の記憶はばっちり残っているようだけれど、言われた言葉が理解できない。というよりは多分、したくない。
「昨日、終わった後一応確認した。お前、爆睡してて起きなかったけど」
「な、なんでっ、そんなこと」
「いやだってお前、けっこう強引にねじ込んだろう?」
 痛いって泣いたじゃんと言われて、そうだっけ? と思う。どうやら自身の記憶のほうが一部飛んでいる。
「もしかして、覚えてない? てかどこまで覚えてる?」
 言われて昨夜に記憶を馳せる。はっきりと思い出せるのは、自分の下で色っぽく喘ぐ、兄の可愛い顔ばかりだった。それと、ずっと焦がれていた兄のちんぽが、ちゃんと勃起して自分の体の中にあるという充足感。
 尻穴で兄のちんぽを擦り立てるのに必死で、自分の動きに合わせて兄がアンアン気持ちよさそうにするのが嬉しくて、その瞬間に自分の体が痛かったかなんてのは全然覚えてなかった。
「まさか、俺に乗っかって腰振ったことも記憶にないの?」
「それはさすがに……てか、言い方ぁ」
 見た目だけの話で言えば、童顔かわいい系の兄のが断然女役にふさわしい、はずだ。兄弟だからそこまで顔のつくりに大きな差はないんだけど、なんせ、こちらは長年体育会系に所属してガッツリ作り込んだ筋肉をまとっているので。背だって5センチは兄より高いので。
 でも乗ったは乗ったでも騎乗位で、可愛い兄のことをずっと性的に見ていたのは事実でも、抱きたいのではなく抱かれたい側だった。強引にだろうと初めての体に兄のちんぽを受け入れられたのだって、兄に抱かれる妄想で、尻穴をいじるオナニーをしていたせいだ。
「まぁ突っ込んでたのはこっちだけど、でも、そうとしか言えないだろ。てか一応言っとくと、俺、怒ってないわけじゃないからな?」
「それは、ごめんなさい」
 お前が寝落ちた後大変だったんだぞと、多大な呆れを含んだ声で言われて、そこは素直に謝った。
 兄をイカセて満足した後、後始末もなにもないまま寝落ちただろうことはわかる。だって片付けをした記憶が全くないし、でも満たされて目を閉じた方の記憶はちゃんとある。
「お前しばらく酒禁止な。まぁ、俺だけ飲んだりもしないけど」
「はい」
「あと、体治ったらでいいから、もっかいちゃんと抱かせて」
「は、えっ!? なんで???」
 素直にハイと言いかけて、慌てて飲み込み疑問の声をあげた。
「てかさ、お前がさ、俺追っかけて同じ大学に来た辺りから、お前の気持ちにはなんとなく気付いてたんだよね」
「えっ」
「あと、お前が同じ大学通うなら借りる部屋一箇所にしたら出費抑えられる、って、お前の合格聞いたときに、実は俺も親にそれ提案したんだよね。お前が既に、そういう方向で親説済みだったけど」
「え、と、それは、どういう……?」
「最初は、俺が一緒だったら家事とか押し付けられて楽できそう。みたいな下心かと思ってたけど、でもお前、けっこう家事もしっかりやるし、重たい物欲しい時の買い出しとかは率先してやってくれるから、むしろ俺のが得してるし。とか考えると、わざわざ兄貴と一緒にくらしたい理由って何よと思ってさ。だってお前、親の金の心配するようなタイプじゃないだろ。たださ、」
 そこで一回口を閉じた兄の視線が、頭から腹のあたりまでを上から下へ向かって降りていく。
「ただ、なに?」
「お前が抱かれたい側、ってのは、考えてなかった」
 いつか押し倒される可能性は考えてたけど、酒の勢いで突っ込まされるとは思ってなかった、らしい。
「だろうね」
「けどまぁ、考えてなかっただけで、違和感はないんだよな」
「なにそれ」
「お前けっこう甘ったれなとこあるし、体はデカくなっても、2個しか違わないおにーちゃんにすごいなーとか、えらいなーとか、ありがとーって、頭ヨシヨシされて素直に喜んじゃうタイプだし。だから、実は俺に抱かれたいって言われても、あんまり違和感はないなって」
 そこまであからさまに甘えてたつもりは無いし、本音を言えば、もっともっと構われたいくらいなんだけど。だって、そんな甘えたな自分を前にして、兄が嫌な顔をする事が殆どない。呆れたような顔をする事はあるけど、でもそれも、形だけって感じだし。
「それ言ったら兄貴は2個しか違わない弟相手に、ニコニコしながらヨシヨシすんじゃん」
「それな。だからさ、お前が俺の上で必死に腰振って、すげー苦しそうなのに、俺が気持ちぃって喘ぐたびに満たされてますみたいな顔してんの見たらさ、お前のこと、気持ちぃって喘がせながら抱いてやりたいな、って」
 思っちゃったんだよね、と兄が優しい顔で笑いかけてくる。
「あんまり甘やかすのはお前のためにならないかと思って自制してたけど、でも抱く相手、ってことなら、セックス中なら、もっとデロデロに甘やかしても許されそう」
 そんな事を言われてしまったら、今すぐにでも抱いてくれないかなって思ってしまう。まぁ、思うだけでなく口から出ちゃったんだけど。
「それはダメ。体が治ってからだって言ってるだろ」
「はーい」
 でしょうね、と思いながら、そこは素直に頷いておいたけど。でも、体が治れば。多分、そう遠くないうちに。
 兄に思いっきり甘やかされつつ抱いて貰えるのだと思うと、その日が楽しみで仕方がない。

リクエストは「弟を構いたいけどお互いいい年なので自制している童顔な兄×めちゃくちゃお兄ちゃんに甘えたいけど素直になれないガチムチ系弟の二人が酒に酔ってやらかす話」でした。リクエストありがとうございました〜

 
 
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兄は疲れ切っている(目次)

キャラ名ありません。全40話。
雄っぱい持ち大学生弟(視点の主)×疲労困憊社会人兄。どちらも女性経験ありで男性経験なし。
同情から雄っぱいを揉ませたことで兄を意識するようになった視点の主が、彼女ができそうという兄に焦って、酔い潰して先に体だけ手に入れたら大失敗だった話。
目一杯優しくしても一向に絆されてくれないどころか心を閉じていく兄と、最終的には恋人同士になります。
21話から先はダラダラと恋人同士の甘ったるいセックスをしているだけですが、S字結腸まで突っ込んじゃったり、後始末でお湯の排泄させたりが混ざってます。描写は控えめ。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的なシーンが含まれるものはタイトル横に(R-18)と記載してあります。

1話 1分百円
2話 酔った兄に絆されて
3話 兄の奢りで居酒屋へ
4話 ラブホ連れ込み(R-18)
5話 兄覚醒と抱く宣言(R-18)
6話 とにかく諦めて(R-18)
7話 泣かれて一時中断(R-18)
8話 再開したけど(R-18)
9話 その後の迷い
10話 上手くいかない(R-18)
11話 兄だけ先に(R-18)
12話 兄の口奉仕(R-18)
13話 精飲と湧き上がる怒り(R-18)
14話 嫌だと言えば開放する
15話 兄の告白
16話 ポンコツなりに必死
17話 兄の惨めさの正体
18話 土下座で謝罪
19話 セックス前から好きだった
20話 やっと恋人同士
21話 初デートの余韻を残して
22話 ちっぱい堪能(R-18)
23話 襲っていいよ
24話 嬉しくて仕方がない(R-18)
25話 いつもと違って(R-18)
26話 耳元に甘い声(R-18)
27話 ゴムを口で着けてみたい
28話 初の対面座位(R-18)
29話 兄が自分で(R-18)
30話 初トコロテン(R-18)
31話 もっと、愛して(R-18)
32話 中出しマーキング(R-18)
33話 奥までじっくり(R-18)
34話 奥のその先(R-18)
35話 これから先はいつだって
36話 抱っこで風呂場
37話 後始末のお手伝い了承
38話 排泄中だって可愛い(R-18)
39話 湯船でうとうと
40話 おやすみ

 
 
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親睦会(目次)

キャラ名ありません。全18話。
< 寮で親睦会をかねて鍋を囲んでいたら友人が襲われていて、その横で自分もまた違う男に襲われていてのちに二組のカップルが出来る話 > というお題を頂いて書いたもの。

セックスは上手いが色々酷いバツイチ先輩 × 流されやすくて御しやすい色々無頓着な貧乏人(視点の主)
童顔かわいい系先輩 × 童顔先輩に恋する視点の主の同期
の二組のカップルが出てきますが、童顔先輩と同期のカップルについては前半軽くしか出てません。

寮住まいの先輩社員に恋してしまった同期に情報提供していた寮住まいの視点の主が、同期が寮へ引っ越してきた際の親睦会で酔い潰されて、同期が恋する先輩とは別の先輩相手にアナル処女喪失。
あっさり想い人と恋人となった同期を横目に、視点の主はずるずるとセフレのような状態でセックスを繰り返す。やがて攻めを好きになってしまうが、相手の態度から想いが報われないことはわかりきっていて、辛く感じることが増えていく。
そんな中、急に誘われた温泉旅行で攻めの過去やなぜ抱き続けるかなどを聞かされ、謝罪と共に優しくされる。今後の二人の関係をどうするかという話は、結局視点の主が泣き疲れて眠ってしまったため中断するが、一週間後、気持ちの整理をつけたという攻めに付き合って欲しいと言われて恋人になります。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
性的なシーンが含まれるものはタイトル横に(R-18)と記載してありますが、中盤風呂場での描写はかなり控えめ。優しいエッチはありません。

1話 親睦会で鍋
2話 気づけば抱かれてた(R-18)
3話 幸せそうな同期
4話 温泉に誘われる
5話 大浴場から戻ったら
6話 一緒に昼寝
7話 起きたら一人
8話 様子がおかしい相手と夕食
9話 夜中の露天風呂
10話 最後のセックス宣言(R-18)
11話 揺れる思考と気持ちよさのない指(R-18)
12話 泣いたら優しい
13話 バツイチ
14話 重ねて見ている
15話 試していた
16話 好きの出処
17話 泣き疲れて眠る
18話 恋人に

 
 
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タチ予定だったのにネコにされた1

 ノリと勢いと酒の力で長年胸の奥に燻っていた想いを告げたのは三ヶ月ほど前で、その告白を嬉しいと言って喜んだのは、告白相手だったはずの男の隣りに座っていた別の友人だった。
 なぜそんな誤解を生んだのかわからない。会話の流れ的に、ずっと好きだったの言葉が誰に向けられたかはわかったはずだ。
 多分、きっと、おそらく。
 イマイチ自信を持って言い切れないのは、自分自身相当酔っていた自覚があるからで、もしかしたらそう誤解されるような何かを言うかするかしたのかもしれない。そうでなければ、いくらノリ良い連中ばかりとは言え、周りがあんな反応だったのが解せない。
 結局酔っ払い共に囃し立てられながら、あれよあれよと恋愛的な意味でなんて欠片も意識したことなどなかった男と、恋人という関係になっていた。
 もちろん酔いが覚めた翌日には、昨夜のは冗談だったで関係解消を試みようとした。しかしこちらが恋人なんて関係を続けられないと伝えるより先に、ずっと好きだったから本当に嬉しいと告げられてしまって、結局今もずるずると関係は続いている。
 元々友人ではあったけれど、今までは仲間内で集まる時に同席する程度で、そこまで親しくしていたわけではないような相手だったから、恋人なんてことになって初めて、二人きりで出歩くようになった。恋人である以上、多分これらはデートなんだろう。
 二人きりでもつまらないなんてことはなかったし、むしろ相手と過ごす時間は心地よかった。ずっと好きだったらしいから、こちらを気遣っているというか、機嫌を損ねないようにと振る舞っている可能性も高いけれど。
 ただ、恋人になってデートを重ねた所で、恋愛的に好きになれるかというと難しい。だって本当に想いを告げたいと思っていた友人と、重なるような部分がほとんどない。端的に言えば好みじゃない。
 それでも雰囲気に流されてキスは何度かした。さすがに嫌悪はないが、だからといって興奮もない。積極的に抱きたい感情は皆無で、むしろこんな状態でベッドに乗ったら、いろいろな意味で相手を失望させそうだ。
 相手はキスの先を望んでいる気配が濃厚だったけれど、それには気付かぬふりで、のらりくらりと避けていたのは認める。
 だからってこんな強行手段に出るとは思わなかった。外で夕飯兼ねて軽く飲んでいたはずが、気づけば相手の家に連れ込まれていて、しかもベッドの上であちこち拘束されていた。
「お前、俺にいったい何盛った?」
 どれくらい眠っていたのかわからないが、酔いはすっかり覚めているらしく、頭はスッキリしている。しかし寝ている間に弄られまくったらしい下半身は、握って数度強めに擦られたらあっさり達してしまいそうなくらいビキビキに張っていたし、尻穴の周りから腹の奥の方までが熱を持ってジンジンと疼いていた。
「飲ませたのは睡眠導入剤。お酒と併用ダメってわかってたから、そっちにはちょっとしか入れなかったけど、それでも随分効いたよね」
 たっぷり入っていたのは、帰宅後に水分補給しておきなよと渡されたペットボトルの水の方らしい。味がどうだったかは覚えていないが、そういえば渡された時、既にキャップは開いていた。
 ああ、でも、なんだか納得した。酒にはそこまで弱くないのに、あんなに眠いのはオカシイと思ってたんだ。
「それだけじゃない、だろ」
 どう考えたって精力剤とかのたぐいも使ってるはずだ。じゃなきゃ下半身がこんなになってるはずがない。
「後は媚薬クリームだね」
 アナニーサイトのレビューで高評価だったやつなどという、かなりどうでもいい情報と共に小さなケースを見せられた。

続きました→

 
 
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昨夜の記録

 少々遠方への二泊三日の出張が決まった時、その地方に就職した学生時代の友人に、久々に会えないかと連絡を取ったら、あっさりオッケーだったどころか最終日の金曜とその翌日の土曜はウチに泊まってけばと宿の提供まで申し出てくれた。行きたいところがあれば観光地の案内もしてくれるらしい。
 そんなわけで金曜夜に待ち合わせて、久々に会った友人と楽しく飲んだ。
 そして、飲んで潰れて翌日は昼過ぎから遊びに出かけてやっぱり飲んで潰れてを繰り返した日曜の昼近く。目覚めた自分の隣の布団では、友人がまだ気持ちよさそうに眠っていた。
 昨日の朝もそうだったし、学生時代に何度も繰り返した光景でもある。自分もそこまで酒に弱いわけではないはずなのに、彼と飲むと先に潰れてしまうことが多かった。
 しかも潰れるほど深酒した割に、目覚めがなんだかスッキリしているのもどこか懐かしい感覚だ。話し上手で聞き上手な友人だからか、普段溜め込みがちな鬱憤をあれこれ聞いて貰うことも多く、だから気持ちごと体まで軽くなるような気がするのかもしれない。
 友人を起こしてしまわないように起き出して、隣のリビングへと移動する。テーブルの上は既にあらかた片付けてあったが、だからこそデジカメがポツンと残されているのが目についた。
 自分なんかは携帯のカメラで十分派だけれど、彼に言わせれば全然違うようだ。昨日も一緒に出かけた観光地であちこちシャッターを切りまくっていたし、酒を飲みながらわざわざテレビに繋げてそこそこの大画面で見せられたそれらの写真は、確かに綺麗と言えば綺麗だった。
 ふとした悪戯心から、そのデジカメを手に取り電源を入れる。気持ちよさそうに眠る相手の寝顔を、こっそり撮ってやれと思ったのだ。
 出来れば自分が帰った後で、その悪戯に気付いて欲しい。なんてことを思いながら、手の中のデジカメをあれこれ弄る。うっかりフラッシュをたいてしまって友人が起きたら困るし、操作音やらシャッター音のオンオフ機能もありそうだ。
「なんだ、これ……?」
 いきなり動画が再生されて焦ったのも束の間、そこに流れる映像に目が釘付けになる。映っているのは目を閉じて布団の上に横たわる自分自身だった。
『今夜もぐっすりだね。ホント、無防備で可愛い』
 カメラがぐっと顔に近寄り、そんな囁きが聞こえてくる。どことなく甘ったるい声は友人のものに違いないが、友人のこんな声をリアルで聞いたことはない。
 背中に冷や汗が流れる気がした。鼓動は速くなり、嫌な予感もビンビンなのに、画面から目が離せない。
 顔を映していたカメラはその後遠ざかり、やがてどこかに置かれたようだった。カメラを手放した友人が、眠る自分に近づく姿が映っている。
 躊躇いなく顔を寄せた友人が、眠る自分にキスを繰り返す。寝間着代わりのシャツを捲り上げ、腹から胸までをゆっくり撫でる手の動きがイヤラシイ。
 画面は小さいが明かりは煌々と点けられたままなので、何をしているか、されているのかは嫌でもわかってしまう。眠る自分が気持ちよさそうに吐息を零したのも、それを満足気に眺める友人も、可愛いねと繰り返される囁きも、触れた唇が離れる時の少し湿ったリップ音でさえ、そこには収められている。
 部屋は確かに静かだが、それらは随分と生々しい。もしかしたら集音マイクでも使っているのかもしれない。
 やがて友人の手は下腹部にも伸びて、下着ごとズボンを下ろされた。下半身だけ剥き出しになって眠る自分はなんとも不格好で居た堪れないのに、全く記憶にないせいか、自分なのに自分ではないようにも見えてくる。画面の中の友人だって、姿形は友人でも、やっぱり自分が知っている彼とは別人のようで現実感がない。
『昨日より楽に入るね。どう? 気持ちいい?』
 カメラの位置は固定されたままのなので、開いた足の間に座る友人が何をしているかの詳細は見えないが、でも音と声とで何をされているかはわかってしまう。
『前立腺弄られるの、昔っから、好きだもんね。おちんちん、プルプルしてる』
 ふふっと愛しげに笑う声と、グチュグチュと響く卑猥な音と、アンアン声を上げている自分に、ますます現実感が遠ざかる。
 だってこんなに喘いでて、なのに記憶が無いってオカシイだろう?
 タチの悪い悪戯を仕込まれてて、ここに映っているのは自分たちによく似た俳優だと言われたら信じてしまいそうなくらいなのに、部屋はどう見たって昨夜の寝室で、奥の方には自分が持ち込んだカバンだって映り込んでいる。
『そろそろイキそうかな? いいよ。気持ちよく吐き出しちゃいな』
 目を閉じたままの自分の体が小さく痙攣している。まさか扱かれもせず、ケツ穴を弄られただけで射精したとでも言うのだろうか?
『さすがに昨日よりは薄いし量も少ないか』
 カメラの遠さか画面の小ささか角度的にか、見ただけでは射精したかどうかははっきりわからなかったが、間違いなくイッたらしい。しかも腹の上に吐き出されたそれへ、友人が楽しそうに舌を這わせているのが衝撃的だった。
 そうして綺麗にした後、友人は満足したのかこちらの体を丁寧に拭いて、服を着せて掛布を掛けてくれる。一連の流れをずっと見ていたのに、最後の画面だけ見れば、そこにはただただ眠る自分の姿が映っているだけだ。
「なんだ、これ……」
「昨夜の記録」
「んぎゃっ!」
 背後からの突然の声に心底驚いて体を跳ねれば、驚きすぎと笑われたけれど、こんなの驚くに決まってるだろう。
「っえ、お前、いつから」
「真剣に魅入ってたね。興奮した?」
 声は耳元で聞こえた。
 椅子に座るこちらを閉じ込めるように、相手の両手がテーブルに突かれている。ドキドキが加速して、ヤバイヤバイと頭の中を巡るのに、どうしていいかわからず固まったまま動けない。
「久々に会ったらさ、もう、寝てるお前じゃ我慢できなくなってたんだよね」
「それ、って……」
「学生時代、時々お前に薬盛って、寝てるお前に悪戯してた。でも卒業と同時にお前ごと諦めるつもりで、こっちに就職決めたのにさ。わざわざお前から連絡してくるんだもん」
「俺を、好き、なの?」
「好きだよ。ずっと好きで、でも友情壊すの怖くて言えなくて、酷い真似した。お前が気づかないからって、そのまま続けるのも怖くなって距離おいて、そのまま忘れられると思ったのに全然無理だった。今もずっと、お前が好きで、苦しいまんまなんだよ」
 テーブルに突かれていた両手が持ち上がり、背後から緩く抱きしめられる。緊張で体が強張りはしたが、振り払うことはしなかった。
「録画したのは、これを最後にお前とは完全に切れようと思って、最後の思い出にするつもりだった。でも、どうせ最後にするなら、当たって砕けるのもありかなと思って、一つ賭けをしたんだ」
「賭け?」
「お前がその録画に気付いたら、俺がやったことも、抱えてる気持ちも、全部正直に話すって」
 軽蔑してくれて構わないし二度とお前の前に現れないから、一度だけ、起きてるお前に触らせて。出来れば抱かせて欲しいけどそこまでは無理ってなら俺の口でイッてくれるだけでもいい。
 そう続いた声は必死で、本気なのだと思った。二度と会わない、という言葉までも。
 気持ちを整理する時間が欲しい。けれど考えさせてくれと頼んだとしても、結局彼は自分との連絡手段を断ってしまうだろう。
「わか、った」
 だからそう返す以外の道は選べなかった。

お題箱から <寝てる内にいたずらされて録画されていたのを発見してしまう話>
結局この後、視点の主は友人の過去ごと許して受け入れちゃうと思います。

 
 
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