カウントダウンで怯えて泣いて1

 神への冒涜って感じがするから初詣だけは嫌だ。と言われていたので、とあるテーマパークの年越しカウントダウンイベントを選んだ。
 せっかくなので同じ学科の友人何人かに声を掛けたら、あれよあれよとそこそこの大人数になってしまったが、どうせ春には卒業だと思えば、万が一バレても残り数ヶ月がちょっと気まずい程度だろう。
 そういうことになったからと伝えるまでもなく、それは学科が一緒の恋人の耳にも入り、当たり前だが何考えてんだとめちゃくちゃ怒られた。それを、きっと最高に興奮する夜になるよと、うっとり笑って封殺する。この笑顔に相手が弱いことなんて、とっくに知ってる。
 もちろん気付かれないようにはするし、万が一の時には絶対に守りきってやるつもりではいるけれど、そんなこちらの覚悟を相手に知らせる必要はないだろう。互いの性癖を知ったことから、そういった関係になって日が浅いのもあって、まだまだ信頼なんて程遠いのはわかっている。でも信頼がないからこそ、相手の不安を大きく煽れそうだとも思っていた。

 カウントダウンを待つ人混みの中、仲間内では一番後方にそっと陣取り、右隣に立つ恋人にピッタリ寄り添ったあと、相手のポケットへ右手を突っ込んだ。コートはもちろん事前に細工済みで、手はそのままポケットを突き抜けて、すぐに相手の服へと触れる。
 相手がビクリと肩を跳ねるのに構わず、目指したのは当然股間部分で、そこにはズボンのフロントから引きずり出されているペニスが熱を持って硬く勃ち上がっていた。確かめるように触れた先端は、たっぷりと先走りを零してびしょびしょに濡れている。
 愛しさがこみ上げふふっと漏れ出る小さな笑いに反応して、ガチガチに緊張している相手が、チラリと縋るような視線を流してくるから、耳元へ口を寄せて可愛いと囁いてやった。囁きながら、握り込んでゆるゆると上下に扱きだす。
「ふぁ……んっっ」
「うん。声はなるべく我慢しとこうね」
 慌てて口を両手で押さえた相手に、アイツらに気付かれて振り向かれたら大変だもんねと釘を差してから、耳元へ寄せていた頭を離した。
 後はもう、カウントダウンの間中握ったペニスへ緩やかな刺激を送り続け、カウントゼロを数える間際に数度だけ、イかせる強さでギュッギュと扱く。大きく体を震わせたものの、根本を戒められているせいで、その程度で射精してしまうことはない。
 年が明けた瞬間にポケットからは手を引き抜いたけれど、ガクリと沈んだ隣の体を支えるのに必死で、お祝いムードで盛り上がる周りのテンションには一切乗れなかった。しかしそれも却って好都合というものだ。一番近くに居た友人に、向こうのベンチで休ませるからと声を掛けて、恋人を抱えて人波をかき分け隅のベンチへ向かって進む。
「ぁ、……っあ、ぁあっ……」
 口から外れた手はダラリと垂れ下がっていて、もう声を押さえ込む余力がないらしい。フルフルと頭を振って嫌がるのを無視して、脇の下から回した手でコート越しに相手の胸辺りをグニグニと強く揉んでやれば、泣いているようにも聞える切なげな吐息が漏れた。
 さすがにコート越しにピンポイントで乳首を責めてやることは出来ないけれど、胸の先に付けてやった飾りが揺すられれば、興奮してぷっくり腫れているだろう乳首に、十分な刺激が与えられているはずだ。
「気分は悪くなってない?」
 運んだベンチに腰を下ろさせ、自分は座らず正面に立って、相手を窺うように腰を曲げる。もちろん、感じ入ってトロトロになっているはずの恋人の顔を、自分の体で隠すためだ。
 両頬を手の平で挟んで少し強引に上向かせた顔は、想像通りに興奮しきって真っ赤になっている。少し怯えさせてしまったのか、潤んでユラユラと揺れる瞳が不安げだ。でも、怒っては居ない。まだまだ踏み込んでも良さそうだ。
「もう少し頑張れそう?」
 さすがにキツイのか、無理だというように首を横に振る仕草をした相手に、連れて帰るから暫く具合悪いふりしててと告げて、一度背後を振り返る。多少は落ち着いた様子の人混みの中から、そろそろ友人たちが出てくるだろう。

続きました→

 
 
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雷が怖いので プレイ(目次)

「雷が怖いので」プレイリクエストについて

キャラ名ありません。全37話で、雷が怖いので本編の隙間を埋めるプレイ中心。
リクエストで頂いていた「オナニー披露」「おしおき」「剃毛」「おもらし」の内容を含みます。おしおき時にスパンキングも少々。剃毛時にアニリングスも少々。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
プレイ中心なため殆どが性的な内容を含むものなので、性的描写がかなり多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。
それと隙間埋め話なので、切り替わる前後で本編とも繋げてみました。

2018年4月8日追記
プレイ連載当時(昨年11月)お題箱にて「風邪っぴきの受けくんが体調悪いの隠してバイト頑張る話」「2人で子供っぽい口調を使わせてえっち」というリクエストを頂いていたのですが気づいたのが3月でした。
その2つのリクエストで書いたもの全13話を下部に追加しました。

1話 バイト二回目
2話 じっくりキスだけ
3話 焦らさないで
4話 自分で腰を揺らす(R-18)
5話 手伝って(R-18)
6話 バイト三回目
7話 自ら腰を落として(R-18)
8話 褒めてくれると思ってた
9話 報酬の基準
10話 三万円分のご褒美
11話 直接、弄って(R-18)
12話 他人の手(R-18)
13話 オナニー披露(R-18)
14話 両方してあげる(R-18)
15話 意識する尿意(R-18)
16話 おもらし披露(R-18)
17話 プレイ後の優しい時間
18話 バイト四回目
19話 プレ放置プレイ
20話 迎えに行く
21話 誕生日の少し前
22話 胸の代わりにお尻の開発(R-18)
23話 自覚前に知りたかった
24話 キツイおしおき決定(R-18)
25話 前立腺にローター(R-18)
26話 玩具で吐精(R-18)
27話 おしおき後も止まらない涙
28話 他の誰かなんて居ない
29話 相手の副業
30話 第四土曜日ホテル泊
31話 酔ってふわふわ
32話 剃られてもいい理由
33話 アナル周りまで
34話 バスルームで舐められる(R-18)
35話 舐められるだけでイク(R-18)
36話 脇もスネもツルツルに
37話 昨夜の記憶に悶える朝(R-18)

プレイおまけ
1話 自宅で初洗浄(R-18)
2話 確認(R-18)
3話 媚薬を飲む
4話 薬の効果(R-18)
5話 スッキリした目覚め
6話 本当は風邪薬
7話 初めての旅行
8話 パパって呼んで
9話 剃ってしたい
10話 舐められて焦らされて(R-18)
11話 お漏らし我慢(R-18)
12話 上手におねだり(R-18)
13話 精液お漏らしと翌朝(R-18)

おまけのオマケ
1話 悶々と一瞬間
2話 アナルに体温計(R-18)
3話 本物の媚薬(R-18)
4話 初アナニー(R-18)
5話 体勢を変えて(R-18)
6話 限界とご褒美と(R-18)

 
 
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雷が怖いので(目次)

「雷が怖いので」プレイリクエストについて

キャラ名はありません。全47話で、他の話に比べるとかなり長めです。
お金持ちなS ✕ 貧乏大学生(視点の主)。はっきりとした年齢差は出てませんが、8歳前後上のイメージで書いてました。
雷が怖い視点の主が、突然の雷雨に逃げ込んだ先で出会った男に、愛人契約という高額時給のバイトを持ちかけられて頷いてしまい、お金と引き換えにほんのりSM混じりの開発調教をされまくるうちに相手の男への恋心を自覚していく話。
攻めは親に売られて痛めつけたいタイプのサディストに所有されていた過去あり。人を好きと思う気持ちがわからないという相手に視点の主が諦めずに奮闘し、最後には「お前が好きだ」と言わせます。

下記タイトルは内容に合わせたものを適当に付けてあります。
今回は性的な内容が含まれるものが多いので、性的描写が多目な話のタイトル横に(R-18)と記載してあります。

2017年3月6日追記。
最終話直後のオマケ話、全4話を追加しました。

1話 逃げ込んだガレージ
2話 雷が聞こえない部屋へ
3話 バイトはクビに
4話 愛人契約の提示
5話 時給千五百円
6話 お試しチャレンジ
7話 契約成立
8話 バイト初日
9話 キスだけで(R-18)
10話 やだって言ったのに(R-18)
11話 初日終了
12話 次回はお泊り
13話 豪華ホテルで誕生祝
14話 食事の前に(R-18)
15話 二日酔い
16話 昨夜の記憶(R-18)
17話 チェックアウト
18話 イヤラシイおねだり(R-18)
19話 抱いてもらえない理由(R-18)
20話 抱かれたい理由と恋の自覚
21話 アナルプラグを入れて向かう(R-18)
22話 ずっとこの日を待っていた(R-18)
23話 気持ちいいばかりの初めてだったのに(R-18)
24話 逃げ出す
25話 雷と彼に追われて
26話 ずぶ濡れの告白
27話 彼の肌に残る傷
28話 一緒にお風呂
29話 痛くて怖いだけのおしおき
30話 好きで居てもいい
31話 洗ってもらう
32話 突き返すバイト代
33話 少し変わったその後の関係(R-18)
34話 彼の過去
35話 大学生活最後の年末
36話 ただただ裸で寄り添って
37話 彼の目的
38話 気づいてしまった
39話 それでも受け入れてはくれない
40話 親から勘当されてきた
41話 彼のものになっていく
42話 心に言葉を刻むということ
43話 ポジティブシンキング
44話 彼を貰う(R-18)
45話 互いに互いだけのもの(R-18)
46話 最奥まで全部(R-18)
47話 いつか二人で挨拶に

直後1 ゆっくり抱かれ続ける(R-18)
直後2 嬉しくて泣きそう(R-18)
直後3 繰り返される好き(R-18)
直後4 目覚めた後もずっと幸せ(R-18)

本編隙間埋めプレイ(目次)

 
 
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夜の橋/髪を撫でる/ゲーム

 家の比較的近くに、一応観光場所として名を連ねる大きな橋がある。
 観光地とは言っても、さして有名ではないその場所に、観光に来ている人なんてほとんどいない。地元民だって歩いてそこを渡ろうという人間はほとんど居ないし、それどころか時間帯によっては車通りでさえまばらな田舎だ。
 土曜の夜、その橋の中央で。というのが待ち合わせの場所だった。
 昔、とあるゲームの中で知り合ったその人と、直接会うのは初めてになる。
 初めて彼と出会ったゲームはすでにサービスを終了しているが、別の似たようなゲームの中で再開してから、ぐっとその人との距離は縮んだと思う。ゲーム内の問題に限らず、リアルの相談にも色々と乗ってもらっていたから、こちらの状況はかなり彼に知られている。
 その彼が、ネット越しに付き合ってみないかと持ちかけてきたのは、大学入試が終わって希望大学への合格を報告した時だった。付き合うというのはもちろん恋愛的な意味でのことだ。
 自分の恋愛対象が同性だということは、もうずっと前に知られている。親友への恋心やどうしようもない自分の性癖への悩みを、彼に吐露し続けた時期があったからだ。彼自身、女性がダメということはないけれど、どちらかというと男性の方が好きだと言っていたからでもある。
 リアルでの距離はあるものの、自分の身近で、同性に惹かれるという性癖を持つ人を彼以外知らない。狭い世界しか知らない子供にとって、当時の彼は唯一の救いだった。
 けれど、その彼の恋愛対象に、自分が入るということは考えたこともなかった。彼は自分よりも一回り近く大人で、ずっと可愛がって貰ってはいるものの、それはやはり子供扱いでしかない。そして自分にとっても、彼は頼りになる兄のような存在だった。
 もしも彼を恋愛対象にしていたら、あんなに自分を曝け出しての相談なんて、きっと出来なかっただろうと思う。
 だから、おめでとうの後にもう言っても良いよねと前置いて、ずっと前から好きだったと言われた時は心底驚いた。驚き反応できずに居る自分に、大人になるのを待っていたとも、君の望みを叶えてあげるとも彼は続けた。
 画面越しの言葉に、体の熱が上がっていくのを自覚する。
 最後の言葉が決め手になって、直接会ったことのない彼の申し出を受け入れたのは、まだ1週間ほど前のことだ。嬉しいよと言った彼の行動は早かった。
 とりあえずは観光地ということで、一応近くに建っているホテルに、さっそく宿をとったとのことだ。午前中に外せない用事があるそうで、到着が夜になってしまうことを謝られたが、遠方からわざわざ来てくれるというだけでもかなり驚いていて、到着時間など些細な問題でしかなかった。
 泊まれるかという問いに大丈夫と即答すれば、画面の向こうで相手が笑う気配がした。少しは警戒しなさいと怒られたけれど、さすがにそれはちょっと理不尽だなと思う。
 会ったことのない相手でも信頼しきっていたし、恋愛的な意味を置いても、ずっと彼に会ってみたいと思っていたのだ。
 もう随分と長い付き合いになるけれど、子供だった自分には、遠方の都会で行われるオフ会やらに参加出来たことは一度もない。だからリアルの彼については人伝に聞くばかりだったけれど、そこからも彼の人としての魅力は伝わってきていた。
 もちろん、恋人としてお付き合いを開始した相手と、一つ同じ部屋に泊まることの意味がわからないほど、子供なわけでもない。そう言ったら、まずは会うだけでも構わないんだよと返されてしまった。
 そういうものなのかと納得する気持ちや、彼の気遣いをありがたく思う気持ちもある。けれどせっかく会えるのに、それだけでお終いだなんてと残念に思う気持ちも大きかった。
 だから、恋人になろうってのに会っていきなりはどうかと思ってたけど、そのつもりがあるなら、と言って出された指示にも従う旨を返した。そう返すだけで、ドキドキが加速していく。
 今も、人通りも車通りもなく静かな橋の上で、ずっとドキドキしっぱなしだった。
 やがて橋の入口に人影が見えて、ゆっくりとこちらに近づいてくる。地元民が散歩という可能性もないわけではないから、あまり不審な態度にならないようにしつつも、やはり緊張しつつその姿を目で追ってしまう。
 小柄で童顔でとてもじゃないが歳相応には見えないとは聞いていたが、それが確かなら多分彼本人だろう。
「こんばんは」
 近づいてきた男は、そう挨拶した後で、ハンドルネームを呼んで柔らかに笑って見せた。長いこと使っているハンドルネームだから、字面は馴染んでいるが、音で呼ばれるのは初めてに近く、それだけでなんだか照れくさい。
「ごめんね。思ったよりホテルから距離があって遅くなっちゃった」
「歩いて、来たんですね」
「この距離がわかってたら車でも良かったかな。でも、やっぱり君と歩いて戻りたいじゃない?」
 ずっと待ってて寒くない? と言いながら手を取られて、ギュッと握られる。彼の手は驚くほど熱かったが、こちらの驚きに気付いた様子で、ホッカイロ握ってたんだよという種明かしが続いた。
「寒く、ない、です」
「本当に? 随分手が冷えてるけど、じゃあこれは緊張かな?」
「はい」
「初めましてだもんね。実際会ってみて、どう?」
「どう、……って?」
「俺にエッチなこと、されても平気?」
「そんなの……そっちこそ、俺相手に、そういうことしたいって、思えるんですか?」
「うん。想像以上に魅力的」
 可愛いよと言いながら、頭に伸びてきた手がそっと髪を撫でていく。
「部活で鍛えた筋肉を見せてもらうのも、楽しみにして来たんだよ」
 見せてくれるよねと言われて頷けば、嬉しそうに笑った後で、じゃあチャックおろしてと返されさすがに戸惑う。なぜなら、コートの下は裸でという指示に従って、チャックを下ろした中は何も着ていないからだ。
「こ、ここで?」
「そうだよ。ちゃんと言われたとおりに出来てるか、ここで見せて」
「でも、」
「露出の趣味はないんだっけ。でもイヤラシイ命令はされたいんだよね?」
「そ、です。けど……」
「うーん……まぁ、初めましてじゃハードル高いか。じゃあ後3分あげる。3分でチャック下ろせたら後でご褒美。無理だったらお仕置きね」
 その言葉に体の熱が急速に上がっていき、その興奮を指摘されつつ、再度本当に可愛いという言葉と共に頭を撫でられた。
 
  
有坂レイさんは、「夜の橋」で登場人物が「髪を撫でる」、「ゲーム」という単語を使ったお話を考えて下さい。shindanmaker.com/28927
 
 
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戸惑った表情/拘束具/同意のキス

 本日のデートの目的地はSMプレイが可能なラブホテルで、部屋に入った瞬間から、相手はやはり戸惑いの表情が隠せていない。
「やめる? 無理強いする気はないけど」
 相手は緊張を滲ませながら、それでも否定を示すように首を横に振った。
「嫌だ。お前は俺のもんだ」
「それを否定する気はボクにだってないよ。でも、大事な子に酷い真似をしたいわけでもない」
 恋愛感情と性癖は必ずしも一致しない。
 拘束されて逃げられない男を相手に、鞭打って苦痛にゆがむ顔を見ることも、野太い悲鳴の声を聞くことも。イかせないギリギリの所で弄りまわして、イかせてくれと涙混じりに懇願させることも。そのまま吐精は許さず空イきさたり、吐き出すものが無くなるまでイかせ続けることも。
 それらのことで最高に興奮するという事実は確かにあるが、今目の前にいる男に対しても同じようにしたいのかと言えば、正直否定の気持ちのほうが強い。彼は大切に慈しみたい大事な恋人で、性的な興奮を満たすためだけの行為に利用するのは、性癖が性癖だけに躊躇われた。
 自分の異常性には気づいていたから、ずっと隠して、彼の前では常に優しい恋人を演じていたのに、先日とうとう彼にも知られる運びとなってしまった。
 彼の体に無体なことをしないために、他で発散させている。という事への理解は辛うじて得られたように思う。けれど今後もそれを見逃してくれる気は一切ないようで、彼は自分が相手をすると言って譲らない。どうしても別の誰かでなければダメなら、恋人関係を解消するとまで言われてしまえば、それはもう頷かざるをえない。
「俺だけで満足できないなら、恋人やめるって言ったよな?」
 これはもはや脅迫でしかない。
「わかってるよ。だからこうして連れてきたでしょ。そっちこそちゃんと覚悟できてるの?」
「しつっこいな。お前の話はちゃんと聞いたし、自分でもそれなりに調べてみた。ちゃんと覚悟もしてるし、何されたってそれでお前をふったりしない」
 俺が信じられないか、などと真っ直ぐな目で見つめられながら言われれば、否定の言葉など返せるはずもなかった。
 もちろん、いくら大丈夫と言われた所で彼はまったくの未経験者なのだから、彼で自分の性癖を満たした結果、お前の嗜好についていけないと言われて、振られてしまう不安がないわけではないのだけれど。それでも。
「それならまずは簡単な拘束から始めようか」
 視線で促す先にはX字の磔台がある。ゴクリとかすかに喉の鳴る音が聞こえてきたが、気づかなかったふりをした。
「おいで」
「服は?」
「脱がなくていいよ」
 初心者には服のままでという方が抵抗感が薄いことを知っている。もちろん、プレイ中にその服が汚れる可能性が高いことを教える気などないし、替えの服を用意してきていることも知らせるつもりはなかった。
「さて、これで簡単には逃げ出せなくなったけど、どうしようか?」
 両手足を磔台に括り付けた後で問いかける。
「どうでも、お前がやりたいように」
「本当に?」
「ああ」
「服越しにずっと焦らされ続けて下着の中を先走りでドロドロにするのと、利尿作用強いお茶を飲んでもらってお漏らしか、どっちの方がいい?」
 想像したのかうっすらと頬を染め、迷うように視線が彷徨った。
「ねぇ、本当に覚悟してきたの?」
「して、る」
 もう一度やめておくかと尋ねる前に、肯定の言葉が返される。
「どっちでも、いい」
「お漏らしで濡れたジーンズ履いて帰ることになっても?」
「着替えは、持ってきてる」
「そうか。それは残念」
「ゴメン」
「いや謝られるような事じゃないけどね」
「けど、服を汚すかもって不安になる姿が見たかったのかと思って」
「うんまぁ、それはあるけど……」
 彼に自分の性嗜好を推察されるとは思わなかった。なんとも不思議な気分で眉を寄せたら、もう一度ゴメンという言葉が聞こえてきた。
「お前がどんなことに興奮するのか、調べながら色々考えた。お前のことが好きだよ。お前のことをもっと知りたい。他の誰かに俺の知らないお前を知られてるのは許せない。何をしたっていい。だから、俺だけのもので居てくれ」
 真摯な言葉に胸が熱くなる。その気持のまま、両手足を桀られ動けない相手の顔を両手で包み込み、そっと唇を寄せる。
 何度も軽く触れ合わせ、やがて深く触れ合おうと舌が伸ばされてきた所で顔を離す。相手を焦らすというよりも、自分自身を焦らす目的で。
「じゃあ、お茶を飲んでから、おしっこ我慢しつつ下着の中をドロドロにしてみよっか」
 愛しくて愛しくて大切な彼を、めいいっぱい辱めて可愛がって、そしてそんな彼にめちゃくちゃ興奮する自分の姿を見せてあげたいと思った。

 

 

レイさんにオススメのキス題。シチュ:デート先、表情:「戸惑った表情」、ポイント:「拘束具」、「お互いに同意の上でのキス」です。
#kissodai http://shindanmaker.com/19329

 
 
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電ア少年 家教と生徒の場合

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「ナツ先生、電気アンマの刑って、知ってます?」
 予定された授業時間の半分が過ぎた頃だろうか。今日はめずらしくソワソワしていると思っていた教え子の青治が、意を決した様子でそう口にした。
「電気アンマの刑?」
 つい先ほどまで青治が挑戦していたミニテストの解答を赤ペン片手にチェックしていた夏至は、答案用紙から目を離さないままで聞き返す。
「そう、です。あの、今、クラスで流行ってるんですけど、先生が小学生の頃も、ありましたか?」
「ああ、そういえば、そんなのが流行った事もあったかな」
「本当ですか? 先生も、したり、されたり、したんですか?」
 チェックを終えて顔をあげれば、真っ赤になりながらも真剣な表情で夏至を見詰める青治と目が合った。随分と興奮している。
「どうしたの?」
 本当に珍しいと思いながら、柔らかな声で問い掛ければ、教えて欲しいんです、なんて言葉が返ってきて、さすがの夏至も驚いた。しかし、表情には出さない。それくらいのポーカーフェイスはお手の物で、やはり柔らかな表情を崩さないまま、再度問い掛けの言葉を口にする。
 今度はもう少し、詳しい話を聞くために。
「僕は家庭教師だから、教えてくれと頼まれれば、教科外だろうと知ってることは教えてあげようと思うけれど、クラスで流行ってるなら、今更何を教えて欲しいと言っているんだろうね? 青治は」
「それは、あの……」
「はっきり言ってくれないと、何を教わりたいのかわからないよ?」
「されたこと、ないんです。もちろん、したことも。別にそれでクラスの友達から仲間はずれにされてるわけでもないんですけど。僕がその刑をされそうな雰囲気になると、なぜか途中で止まっちゃうんです。みんな、僕にはしたがらない。だから僕だけ、流行ってるのに一度も経験した事がない」
 夏至は目の前の少年の顎に手を添えると、不躾にジロジロとその顔を眺め見る。青治の優しく整った面立ちを、クラスメイトの男の子たちが、電気アンマなどという遊びで歪ませたくないと思うだろうことは容易に想像がついた。
「それは、みんなが青治の事を大好きってことだろう?」
「どういう意味ですか?」
「痛い事、したくないんだよ。青治には。例え遊びでもね」
「でも、僕だって……」
「されてみたい?」
 コクリと頷く顔は上気している。変な頼みごとをしているという自覚からか、それとも行為への期待からか、どちらにしろ面白そうだと思った。
「いいよ」
「本当ですか!?」
 答えれば、目を輝かせて夏至を仰ぎ見る。内心では、この綺麗な顔を苦痛に歪ませても構わないなんて、飛んで火に入る夏の虫とはまさにこのことだなどと思いながらも、夏至は柔らかな笑顔を湛えたまま頷いて見せた。
「ああ。このミニテスト、一問もミスがなかったご褒美にね」
 言いながら青治の手を取り立ち上がった夏至は、青治のズボンのポケットから、ハンカチをスルリと抜き取った。
「口を開けて、青治」
「え?」
「これからすることが痛みを伴うと言うことは知っているんだろう? 叫ばれてお家の方が飛んできたら、家庭教師をクビになってしまうからね。コレを噛んで、声を出すのは我慢しなさい」
「はい」
 素直に開かれた青治の口に、夏至は丸めたハンカチを押し込める。小さな口からはみ出したハンカチに、それだけでも、酷く嗜虐心を煽られた。
 そうしてから、青治の身体をベッドの上ではなく、あえて床上へと横たえる。両足首を掴みあげて見下ろせば、既に潤んだ瞳が期待の熱を孕んで見詰め返した。やはり行為への興奮なのかと思うと、笑ってしまいそうになるのを堪えるのが、いささか大変だった。まさか青治に、こんな素質があるとは思っていなかった。
「いい? するよ?」
 それでもまだ、優しい家庭教師の仮面を被ったまま、問い掛ける。ただし、頷くのを待って、股間を踏みにじる足に、容赦はしなかった。
「んんーっ……!!」
 ハンカチに吸われ、くぐもった悲鳴。
 ハンカチを吐き出したらその時点で終了するつもりだったが、青治はギュッとそれを噛み締め耐えている。痛みに身悶え、嫌々と首を振るのに合わせて、溢れた涙が散る姿が愛おしいと思った。
 もっとずっと眺めていたい気持ちを押さえ込んで開放した後は、グッタリと身体の力を抜いた青治の脇へと膝を付き、その身体をゆっくりと起こし、口からはハンカチを抜き取ってやる。
「大丈夫?」
 そう言って覗き込んだ、涙で濡れた瞳の中、興奮は去っていなかった。期待通りの反応に、嬉しさがこみあげる。
「痛かっただろう?」
 返事を待たずに、股間に手を伸ばしてそっと撫でてやった。確かめるように握りこんだ小さな膨らみは、硬く手の平を押し返す。
「痛いのに、感じてた?」
 さすがに恥ずかしいのか、赤くした顔を逸らそうとする。その顎を捕まえて、顔をジッと覗き込んだ。
「正直に言えたら、もっと手伝ってあげるよ」
「えっ……」
「こんな状態だったら、イきたいだろう?」
 再度、足で踏まれて感じたのかと問えば、困ったように頷いてみせる。
「本当は、最初から、こうなることがわかってて、誘ったの? それとも本当に、試してみたかっただけ?」
「それはっ、本当に、こんなになるなんて思わなくてっ」
 誘ったのならお仕置と言いたいところだったが、無自覚だったと言うのなら、それはそれでも構わない。
「ずいぶんいやらしい身体をしてるね、青治は。踏まれて痛い思いをしたのに、それでもここはこんなに硬くなってる」
「あ、あっ、ごめんなさい。先生、ダメっ、触らないでっ」
 少し強めに揉み込んでやれば、小さな悲鳴が甘く響いた。
「どうして? 痛いのが気持ちいいんだろう? ちゃんと、もっと手伝ってあげるよ?」
「でもっ」
「それならどうして欲しい? 青治が自分でするのを見ていてあげようか? それとも、もう一度、足で踏んであげようか?」
 見詰める顔に浮かぶ期待の色に、夏至はうっすらと笑みを浮かべた。
「足でイかせて欲しいなら、今度は下着も全部脱ぎなさい。下着が汚れたら困るだろう? 先生も靴下を脱いで、今度は直接、踏んであげるよ」
 逡巡はそう長くは掛からず、青治はズボンのボタンに自ら手を伸ばす。ズボンと下着とを脱ぎ捨てた青治の口に、再度ハンカチを押し込んだ夏至は、ハンカチを咥えるその口にそっと口付けた。
「さっきよりずっとイヤラシイ格好だよ、青治。可愛くて、うんと泣かせてあげたくなる」
 驚きに目を見張る青治に、いままで見せた事のない笑顔を湛えながら、先ほどと同じように両足首を掴んで持ち上げる。剥きだしの股間の中心では、小さな性器がそれでも頭をもたげながら、刺激を待ちわび震えていた。
 もちろん、簡単にイかせてやるつもりなどなかったが、達してしまわない程度に、まずはゆっくりと足の裏で捏ね回してやる。
「んーっ、んっ、んっ……」
 身体を震わせ、夏至の与える快楽に素直に身悶える青治を見ながら、この子供の持つマゾヒストとしての素質を、自らの手で開花させてやりたいと思った。

 
 
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